2. 「再エネ」装置の使用期限後はどこがどのように解体・廃棄するか?

「再エネ」装置も機械だから、必ず耐久期限があり、いずれ壊れて使えなくなる。(B)のデータ解説によると、「道内における再生可能エネルギーの導入量は、2018年10月末から2021年10月末の3カ年で374万kWから479万kWと約1.3倍」(:12)になっていて、この趨勢は変わりそうもない。

「再エネ」のますますの増加を道庁や日本政府は推進する方針だが、しかしそうすると、2040年辺りからは陸上風力、太陽光発電、少し遅れて洋上風力の各装置の解体・廃棄の問題が「見えてくる」。それは、ローター系、伝達系、電気系、運転・制御系、構造系のいずれかで材質の劣化や故障などが発生するからである。

当然ながら、25年後の解体・廃棄に際しては、現在「再エネ」装置を建設した企業法人が存在しているとは限らない。それは日本近代史のエネルギーを支えた財閥系石炭企業や地場の石炭企業が、現在では全く存在しない事実からも「見えてくる」はずである。具体的には、福岡県の旧産炭地域の「鉱害」復旧事業を参考にすると、「再エネ」装置解体・廃棄の問題点の所在が鮮明になる。

鉱業法109条から見る

鉱業法第109条では、「賠償義務者は、原則として損害発生のときにおけるその鉱区または租鉱区の経営者(鉱業権者または租鉱権者)であり、そのときに鉱業権または租鉱権が消滅しているときには、消滅時の経営者である」とされる。

石炭を掘り出すための立坑を掘り、坑道を拡張したのは石炭企業であり、地震などによりその坑道が真下を通る道路や水田や家屋などが傾き、地盤沈下が起きてしまう。これは典型的な「鉱害」の一つだが、石炭を掘っていた企業はすでに法律上は消滅している。しかし「鉱害」という災害として今でも「見える」。

今日、石炭企業そのものは当時のままでは存在しないが、財閥系の場合は関連する後継企業があるので、そこが「賠償責任」を果たしてきた。しかし、中小零細の石炭企業の後継はないために、そこが掘った坑道などが原因の地盤沈下や家屋の傾斜などについては、2001年に出来た国と県による「基金」を基に、「特定鉱害復旧事業センター」が復旧事業を行っている。もちろん「基金」の原資は税金である。

具体的には、福岡県でもこの法律により、「県内に発生する特定鉱害(石炭鉱業又は亜炭鉱業による地表から深さ50m以内の採掘跡又は坑道の崩壊に起因する鉱害)のうち、無資力賠償義務者が賠償責任を負うこととなる鉱害の復旧事業」が「特定鉱害復旧事業センター」を中心に今でも行われている。