クレジットカードが第三者によって不正に利用されると被害額は補償される。しかし、カードの持ち主が正しい使い方をしていなかった場合、補償が適用されないこともある。そうした事態を避けるため、補償対象外となるNGなカードの使い方を事前に知っておこう。

不正利用被害総額は年間250億円超

日本クレジット協会が調査した「クレジットカード不正利用被害の発生状況」によると、2020年1年間のクレジットカード不正利用被害額は253億円、そのうち88.4%が番号盗用被害だ。

このことからも、カード番号やセキュリティコードなど、カード情報の重要性をよく理解できる。こうした情報はネットショップなどから流出するほか、カード会員自身の不手際で第三者に知られてしまうこともある。

その原因がカード会員にある場合、「重大な過失」とされて不正利用分の補償外となるだろう。

このNG行為で不正利用時の補償がなしに

そのような「重大な過失」にあたるNG行為を事前に知っておくと、万が一の事態にも補償が適用され、また不正利用そのものを未然に防ぐことにもつながる。次に、してしまいがちなNG行為を紹介しよう。

NG1 家族に自分のカードを使わせる

家族だからといって気軽に自分のクレジットカードを使わせてはならない。これはカード会社の規約違反であり、家族による不正利用を誘発することにもなる。

子どものスマホにひも付けしたアカウントにクレジットカードを登録し、ゲームアプリなどに自由に課金できる状態にするのも同様の理由でNGだ。家族による不正利用は、補償対象外となるのでよく注意したい。

18歳以上の家族にクレジットカードを持たせたい場合は、家族カードを作るようにしよう。一方、18歳未満の子どもでも16歳以上であれば、国際ブランド付きのプリペイドカードを持たせられる。これはクレジットカードとほぼ同様に使えるカードだ。

NG2 第三者にカードを預ける

第三者にクレジットカードを預ける機会はそうそうないと思うが、巧みに理由をつけてカードを預かろうとする詐欺事例があるので注意したい。レストランなどで会計の際にカードを預けるケースがあるが、信頼のできない店舗ではそうしたことも避けたい。特に海外ではそうした警戒心を忘れないことだ。

NG3 カードの署名欄に名前を書いていない

カードの署名欄を空欄のままにしていると、紛失したカードを不正利用されたケースで補償されないことがある。カードは届いたらすぐにサインしよう。

NG4 推測されやすい暗証番号を設定する

続き数字や並び数字、生年月日、自宅住所の番地、自家用車のナンバーなど第三者から推定されやすい暗証番号を設定していた場合、補償対象外とされるケースがある。

NG5 暗証番号のメモがある

暗証番号をメモしてはならない。特にそうしたメモをカードと一緒に携帯していたり、カード券面にメモしていたりすると「重大な過失」とみなされ、補償を受けられないケースがある。

NG6 ETCカードを車載器に挿入したままにする

車から離れるときは車載器からETCカードを抜くこと。挿入したままで車上荒らしに遭い、ETCカードが不正利用された場合は補償されないケースがある。レンタカーの返却時にもETCカードの抜き忘れに十分注意したい。

不正利用に気付いたらまずすること

不正利用に気付くパターンは、カード会員自らが利用明細で気付くか、カード会社側が不正利用の疑いのある利用を検知するかのどちらかになる。

前者の場合はすぐにカード会社に連絡することが必要だ。一方、後者の場合はカード会社から連絡が入り、身に覚えのある利用かどうか確認することになる。あるいは緊急性を要すると判断された場合、その確認の前にカードの利用が一時的に停止されることもある。

基本的には、不正利用の届出(あるいは紛失・盗難の届出日)から60日までさかのぼった期間中の不正利用分が補償対象となる。それ以前の分は補償されない可能性があるので、利用明細をこまめにチェックして早めに気付くようにしたい。

利用停止・強制解約される使い方も

第三者による不正利用ではなく、カード会員自身の使い方が不適切なために、カードの利用停止や強制的に解約されてしまうケースもある。

ショッピング枠の現金化を疑われる、金券など換金性の高い商品の大量購入や、カード利用代金の支払い延滞、キャッシング利用が多すぎる……といった使い方をしていると、信用に値しない会員として利用停止や強制解約されることもあるので注意したい。

モリソウイチロウ
執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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