ブランドの価値を金額に換算し、ランキングを作成している企業がある。イギリスのインターブランドだ。同社の日本法人が最近発表した日本ブランドのランキングでは、どのブランドが1位になったのだろうか。また、初めてTOP100にランクインしたのは、どのブランドだろうか。早速ランキングを見てみよう。
1位はトヨタ!調査開始以来14年連続
インターブランドジャパンは、2022年2月に「Best Japan Brands 2022」を発表した。このランキングは日本発のブランドを対象としており、そのブランドに関連する事業の財務分析や、ブランドによってもたらされた利益などを分析して金額に換算している。
ランキングが発表されるのは14回目で、今回から医薬品ブランドも対象になっている。上位10ブランドは、以下のとおりだ。
2022年 | 2021年 | ブランド名 | ブランド価値 | 前年比 |
---|---|---|---|---|
1位 | 1位 | トヨタ | 541億700万ドル | +5% |
2位 | 2位 | ホンダ | 213億1,500万ドル | −2% |
3位 | 3位 | ソニー | 144億4,500万ドル | +20% |
4位 | 4位 | 日産 | 111億3,100万ドル | +5% |
5位 | 8位 | 任天堂 | 91億9,700万ドル | +26% |
6位 | 6位 | ユニクロ | 90億9,600万ドル | +13% |
7位 | 7位 | NTTドコモ | 69億3,900万ドル | −9% |
8位 | 5位 | キヤノン | 68億9,700万ドル | −14% |
9位 | 9位 | パナソニック | 58億3,200万ドル | 0% |
10位 | 11位 | ソフトバンク | 54億3,500万ドル | +10% |
この調査が始まって以来14年連続でトヨタが1位であり、ブランド価値は2021年のランキングから5%上昇している。
上位10ブランドに大きな変化はないが、「任天堂」(今回5位)と「キヤノン」(今回8位)の順位が入れ替わり、「ソフトバンク」が11位から10位になっている。
ブランド価値成長率では「メルカリ」が1位
では、ブランド価値の成長率が高かったのは、どのブランドだろうか。「前年比ブランド価値成長率」の上位5ブランドは、以下のとおりだ。
順位 | ブランド名 | ブランド価値成長率 | ブランド価値 |
---|---|---|---|
1位 | メルカリ | +39% | 4億100万ドル |
2位 | 富士フイルム | +34% | 12億8,200万ドル |
3位 | 味の素 | +30% | 12億800万ドル |
4位 | ワークマン | +29% | 6億1,300万ドル |
5位 | ニトリ | +29% | 7億3,900万ドル |
ブランド価値成長率が最も高かったのは、フリマアプリを展開する「メルカリ」だった。2021年ランキングからのブランド価値成長率は39%。中高年層に対して「60歳からのメルカリセット」を配布するなどして、顧客層を拡大していることなどが評価された。
ブランド価値成長率で4位の「ワークマン」も、新製品の開発による顧客層の拡大がブランド価値の向上につながっている。具体的には、子育て中の女性やソロキャンパー向けの商品開発に力を入れたという。
初めてTOP100にランクインしたブランドは?
最後に、このランキングのTOP100に今回初めてランクインした7ブランドを紹介しよう。
ブランド名 | 2022年順位 | ブランド価値 |
---|---|---|
ニッセイ | 52位 | 9億2,200万ドル |
中外 | 68位 | 6億3,300万ドル |
明治安田 | 69位 | 6億2,400万ドル |
住友ライフ | 84位 | 4億6,900万ドル |
アステラス | 88位 | 4億1,200万ドル |
ダイハツ | 95位 | 3億2,000万ドル |
カインズ | 99位 | 2億7,200万ドル |
「ニッセイ」のブランド名で知られる日本生命は、初ランクインながら52位と高く評価されている。「お客様本位の業務運営」の実践を目指していることや、「今日と未来を、つなぐ。」という新たな企業メッセージを発表したことなどが、ランクインにつながった。
今回から対象となった医薬品ブランドでは「中外」(中外製薬)が初めてランクインし、68位だった。「創薬改革」「開発改革」「製薬改革」など、5つの改革を掲げて実行に取り組んでいることなどが、ブランド価値の向上につながったようだ。
企業の成績表
上位ブランドの順位はあまり変わっていないが、ブランド価値成長率が高いブランドや、今回初めてTOP100にランクインしたブランドは非常に興味深い。
ブランド価値ランキングは、各ブランドを展開する企業の努力を反映したものであり、「企業の成績表」といっても過言ではないだろう。来年以降のランキングにも、ぜひ注目してほしい。
文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
【関連記事】
・国内の巨大工場が続々閉鎖……JT、キユーピー、ホンダなどなぜ?
・外食業界の赤字ランキング、黒字ランキング 明暗を分けた要因は?
・あの大手企業も!?コロナ禍で倒産した企業10選
・自動車メーカー7社の明暗分かれる 赤字メーカーは?国内大手日産の行く末は
・食品スーパーの売上ランキングTOP10!ライフ、マルエツ、ヤオコーなど1位はどこ