ワクチン接種の遅れもあり、日本では今もなおコロナウイルスの脅威が続いている。過去の休業や時短営業によって、すでに大きなダメージを受けている企業が多い外食業界。主要外食大手企業の赤字額・黒字額ランキングを紹介する。

大手外食企業の赤字額ランキング・ワースト5

この記事で紹介する赤字額ランキングと黒字額ランキングでは、2021年2月期もしくは2021年3月期の通期の決算発表をすでに行った外食企業を対象にした。

まずは、赤字額ランキングから紹介しよう。ワースト3が赤字額100億円以上という厳しい結果となった。

企業名 当期純利益 売上高※()内は前期比
クリエイト・レストランツHD ▲138億円 744億円(46.6%減)
ワタミ ▲115億円 608億円(33.1%減)
ドトール・日レスHD ▲109億円 961億円(26.7%減)
コロワイド ▲97億円 1,681億円(28.5%減)
リンガーハット ▲87億円 340億円(28.0%減)
※各社決算より、筆者制作

1位:クリエイト・レストランツHD(138億円の赤字)

居酒屋「磯丸水産」や和食レストラン「かごの屋」などを展開するクリエイト・レストランツは、2021年2月期の通期決算で138億円の赤字を計上した。

商業施設内にある店舗の多くは、商業施設の一時休業によって休業を強いられ、商業施設外の店舗も緊急事態宣言のたびに休業要請や時短要請を受け、前年から売上を大きく落とした。

2位:ワタミ(115億円の赤字)

ワタミの2021年3月期の最終損益は、115億円の赤字となった。赤字は2期連続で、こちらも新型コロナウイルスの感染拡大に伴う時短要請や休業要請の影響を直接受けた。

ワタミは酒類を提供しにくくなっていることを受け、フライドチキン店や唐揚げ店など「非居酒屋」業態を拡大する方針だ。

3位:ドトール・日レスHD(109億円の赤字)

ドトール・日レスHDは、2021年2月期の通期決算で109億円の最終赤字を計上した。店舗の休業や営業時間短縮によって売上が激減し、人件費や家賃などの固定費も業績を圧迫した。

しかし、この状況下で何の対策も講じていないわけではない。テイクアウトメニューの拡充や、量販店への卸売事業の拡大などに取り組んでいる。

大手外食企業の黒字額ランキング・トップ5

外食企業では赤字を計上した企業が多いが、黒字を維持もしくは増収増益を果たした企業もある。黒字額ランキングのトップ5は以下のとおりだ。

企業名 当期純利益 売上高※()内は前期比
王将フードサービス 42億円 806億円(5.8%減)
コメダHD 35億円 288億円(7.6%減)
日本KFCHD 28億円 896億円(12.6%増)
壱番屋 17億円 442億円(14.1%減)
モスフードサービス 9億円 719億円(4.3%増)

1位:王将フードサービス(42億円の黒字)

王将フードサービスの2021年3月期の通期決算は、最終損益を大きく落とす結果にはならなかった。純利益は前期比19.3%減となったが、42億円の黒字を確保できた。

店舗内飲食の売上は落ち込んだが、テイクアウト需要やデリバリー需要をうまく取り込むことができた。また、自宅で王将の餃子を調理したい顧客向けに「生餃子セール」も実施したことも奏功した。

2位:コメダHD(35億円の黒字)

喫茶店チェーンを展開するコメダHDは、2021年2月期通期決算で純利益を前期比で33.2%落としたが、赤字に転落することはなく35億円の黒字を確保している。

臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされた時期もあったが、来店客1人当たりの消費額を高めるため、くまモンとのコラボ商品「シロノワールくまもとモンブラン」などを展開し、売上全体の落ち込みを前期比7.6%減にとどめた。

3位:日本KFCHD(28億円の黒字)

「ケンタッキーフライドチキン」を展開する日本KFCホールディングスは、コロナ禍においても増収増益を果たしている。純利益は82.9%増の28億円、売上高は12.6%増の896億円だった。

もともとテイクアウト事業に力を入れていたことがプラスに働いたが、デリバリーサービスの強化など、さらなる売上増に向けた取り組みに注力した。

明暗を分けたものは?

赤字額ランキングと黒字額ランキングを比較すると、テイクアウトやデリバリー需要が高い商品を提供している企業は、コロナ禍においても大きなダメージを受けていないことがわかる。一方で居酒屋などを展開している企業は、コロナの影響をもろに受けている。

日本では再び新型コロナウイルスの感染者が増え、東京や大阪のほか主要都市でも緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などによる影響が外食業界に出ており、予断を許さない状況が続いている。

執筆・
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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