2021年3月期に赤字だった自動車メーカーは、7社中3社。日産、三菱自動車、マツダだ。特に注目したいのは、業界1位のトヨタは黒字を維持したにも関わらず、2位の日産は赤字となったこと。日産のV字回復はあり得るのか?

日産の業績推移と最新決算の概要

まず、日産の業績を振り返っておこう。2016年3月期から2020年3月期にかけ、売上高と最終損益は以下のように推移していた。

<2016年3月期〜2020年3月期の業績の推移>

会計年度 売上高 最終損益
2016年3月期 12兆1,895億円 5,238億円
2017年3月期 11兆7,200億円 6,635億円
2018年3月期 11兆9,512億円 7,469億円
2019年3月期 11兆5,742億円 3,191億円
2020年3月期 9兆8,789億円 ▲6,712億円
※出典:日産自動車・IRページ

2020年3月期にかけて売上高が2期連続で減少しており、2020年3月期の最終損益は赤字に転落している。これを踏まえて、日産が2021年5月に発表した2021年3月期の連結業績(2020年4月〜2021年3月)を見ていこう。

<2021年3月期の業績>

会計年度 売上高 最終損益
2021年3月期 7兆8,625億円 ▲4,486億円
※出典:日産自動車・決算短信

売上高は前期比20.4%減の7兆8,626億円と3期連続で減少、最終損益はマイナス4,487億円と2期連続の赤字となった。

日産は2022年3月期の最終損益が600億円の赤字になると予想しており、そのとおりになれば3期連続の赤字となる。

トヨタと明暗、なぜ日産は2期連続の赤字となったのか

なぜ日産は、2期連続の赤字となったのか。その理由は明白だ。日産はここ数年販売不振が続いており、それに新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけたからだ。コロナ禍によって各国での販売が落ち込み、回復も遅れた。

他の自動車メーカーの業績はどうだろうか。日本の自動車メーカー7社の2021年3月期の業績は以下のとおりだ。

<自動車メーカー7社の2021年3月期の業績>

自動車メーカー 売上高 前年比 最終損益 前年比
トヨタ 27兆2,145億円 8.9%減 2兆2,452億円 10.3%増
ホンダ 13兆1,705億円 11.8%減 6,574億円 44.3%増
日産 7兆8,625億円 20.4%減 ▲4,486億円 -
スズキ 3兆1,782億円 8.9%減 1,464億円 9.1%増
マツダ 2兆8,820億円 16.0%減 ▲316億円 -
スバル 2兆8,302億円 15.4%減 765億円 49.9%減
三菱自動車 1兆4,554億円 35.9%減 ▲3,123億円 -
※出典:各自動車メーカーの決算短信から

自動車メーカー大手7社の中で赤字は3社で、その中でも日産の赤字額は最大である。一方でトヨタは売上高を落としながらも、最終損益は前期比10.3%増の2兆2,452億円を確保している。なぜ、このような差が出たのだろうか。

日産の赤字の理由は前述のとおりで、トヨタの黒字は長年にわたる原価改善やコスト削減によるもの。これらによって「損益分岐台数」も落としており、トヨタ自動車は不況にも強い企業になっているわけだ。

日産は今後どうなる?苦境から抜け出せないのか?

日産は、このまま苦境から抜け出せないのだろうか。そのカギは、日本の日産の成長戦略「NISSAN NEXT」が握っている。

NISSAN NEXTでは、「最適化」「選択と集中」「将来への投資」を基盤に、着実な成長を遂げることを目指すとしている。特に注目したいのがEV(電気自動車)部門で、2030年代早期には主要市場に投入する新型車をすべてEVにすることを掲げている。

EVはこれから大きく拡大する市場であり、そこで確固たる地位を築けば、日産の利益を支える収益源となるはずだ。そのためには日本のライバルだけでなく、米EV大手テスラなどにも負けない技術力やデザイン力、そしてPR戦略も求められる。

また、日産の先進運転支援システム(ADAS)や自動運転機能にも注目したい。同社は、すでに高速道路において一定条件下で手放し運転が可能な「プロパイロット2.0」を新型スカイラインに搭載しており、「技術の日産」の底力を見せている。

このような技術力が市場で評価されれば、日産のV字回復は現実味を帯びる。

日産の今後の決算発表に注目を

新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済が正常化しつつある。日産の当面の目標は、黒字転換だ。黒字に転換するまでにどのくらいの時間がかかるのか、今後の決算発表に注目したい。

文・MONEY TIMES編集部

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