コンビニ大手といえば、セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートだ。この「御三家」の牙城が崩れることなど考えられないかもしれないが、今後御三家に入る可能性があるとすれば、北海道の「セイコーマート」(セコマ)だろう。御三家よりも顧客満足度が高く、ポテンシャルは十分だからだ。

店舗数1位はセブンイレブンで2万1,327店舗

まず、日本の各コンビニチェーンの店舗数を比較してみよう。

2022年2月末時点のセブンイレブンの国内店舗数は、2万1,327店舗。第1号店がオープンしたのは1974年で、1980年に1,000店舗、1993年に5,000店舗、2003年に1万店舗、そして2018年には2万店舗を突破した。

続いて、ファミリーマート。2022年2月末時点の国内店舗数は1万6,569店舗と、セブンイレブンに次ぐ規模だ。1号店がオープンしたのは1973年で、セブンイレブンよりも1年早い。

過去にファミリーマートは店舗数でローソンに負けていたが、「サークルK」「サンクス」がファミリーマートと統合したため、現在はローソンの店舗数を上回っている。

2021年2月末時点のローソンの店舗数は1万4,476店舗で、御三家の中では最も少ない。ローソンの1号店は1975年にオープンし、1982年に1,000店舗を突破、1994年に5,000店舗を突破し、2011年に1万店舗を突破した。

<2022年2月末時点の国内店舗数>
セブンイレブン 2万1,327店舗
ファミリーマート 1万6,569店舗
ローソン 1万4,476店舗
出店:各社の公式ウェブサイトより

セコマは1,176店舗だが、顧客満足度が抜群に高い

では、北海道発祥のセイコーマートの店舗数は現在何店舗だろうか。2022年2月末時点の店舗数は1,176店舗で、北海道が1,084店舗、茨城県が83店舗、埼玉県が9店舗だ。

ちなみに1号店は1971年にオープンしており、セブンイレブンの1974年、ファミリーマートの1973年、ローソンの1975年よりもずっと早い。

日本国内には、他にもミニストップやデイリーヤマザキ、NewsDaysなどがあり、ミニストップとデイリーヤマザキはセイコーマートより店舗数が多い。それでもセイコーマートが御三家の対抗馬と考えられるのは、顧客満足度が抜群に高いからだ。

顧客満足度が高いということは、それだけ全国展開を果たした後の成功確率も高いということだ。事業の拡大が成功して収益が増えれば、出店のスピードも加速するだろう。

顧客満足度調査で6年連続1位

コンビニを対象に行った顧客満足度調査の結果を見てみよう。

2022年2月、公益財団法人「日本生産性本部」のサービス産業生産性協議会は「日本版顧客満足度指数」(JCSI)の第4回調査の結果を公表した。その中で、コンビニの顧客満足度ランキングが紹介されている。

<コンビニの顧客満足度ランキング>
1位 セイコーマート
2位 セブンイレブン
3位 ミニストップ
出典:日本版顧客満足度指数(JCSI)第4回調査・詳細資料

調査対象はコンビニ御三家とセイコーマート、デイリーヤマザキ、ミニストップで、セイコーマートは6年連続で1位に輝いている。

このランキングでは6項目の評価の総合スコアで順位が決まるが、セイコーマートは6項目すべてで1位に輝いているというから驚きだ。

<6項目におけるスコアの順位>
項目 1位 2位 3位
顧客期待 セイコーマート セブンイレブン ローソン
知覚品質 セイコーマート セブンイレブン ミニストップ
知覚価値 セイコーマート デイリーヤマザキ ミニストップ
顧客満足 セイコーマート セブンイレブン ミニストップ
推奨意向 セイコーマート セブンイレブン ローソン
ロイヤルティ セイコーマート セブンイレブン ローソン
出典:日本版顧客満足度指数(JCSI)第4回調査・詳細資料

全国展開は簡単ではないが、将来は御三家の一角を成す可能性も

2022年3月、セイコーマートは茨城空港に出店した。セイコーマートが空港に出店するのは初めてだ。順調に事業規模を拡大していることが伺える。

しかし、セイコーマートが全国展開を果たすのは簡単ではない。コンビニチェーンの店舗展開と物流網の構築は、セットで考える必要がある。北海道では強いセイコーマートでも、これから進出する都府県では、ほぼゼロの状態から物流網を構築しなければならない。

茨城県でセイコーマートの店舗が多いのは、茨城の地場系コンビニ「マミーチェーン」を吸収したからであり、ゼロから物流網を構築できたからではない。このことからも、セイコーマートが御三家の牙城を崩すのは簡単ではないことがわかる。

とはいえ、顧客満足度が抜群に高いことは、セイコーマートの強力な武器だ。その武器を携えて、今後セイコーマートが本格的に全国展開に乗り出すことも十分考えられる。少なくともあと数年は御三家の天下が続くと思うが、その先はどうなるかわからない。今後のセイコーマートの動きに注目したい。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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