米国株の主要な株価指数である「S&P500」は、時折大幅な下落に見舞われながらも、長期的に見れば右肩上がりが続いている。そのため、米国株で資産運用を始めようという日本人も多い。しかし、中には1年前に買っていたら株価が半値以下になっている銘柄も少なくない。
特に下落率が高かった米国株を5銘柄紹介
この記事では、米国株において注目度が高い銘柄の中から、特に下落率が高かった株を紹介する。紹介する銘柄の一覧と、過去1年間の騰落率は以下のとおりだ。
銘柄 | ティッカー | 1年前 | 現在 | 騰落率 |
---|---|---|---|---|
ズーム・ビデオ・ コミュニケーション |
ZM | 394.34ドル | 126.96ドル | ▲67.80% |
ヴァージン・ ギャラクティック |
SPCE | 47.13ドル | 8.40ドル | ▲82.18% |
フォレサイト・ オートノマス |
FRSX | 8.01ドル | 1.23ドル | ▲84.64% |
ドラフトキングス | DKNG | 60.37ドル | 17.29ドル | ▲71.36% |
サンダイアル・ グローアーズ |
SNDL | 1.44ドル | 0.58ドル | ▲59.79% |
ズーム・ビデオ・コミュニケーション(ZM)
ズーム・ビデオ・コミュニケーション(ZM)は、米国株でありながら日本人にもなじみのある銘柄。オンライン会議ソフト「Zoom」を展開している企業だからだ。コロナ禍の中、仕事やオンライン飲み会で利用したことがある人は少なくないだろう。
「巣ごもり需要」の波に乗って株価が高騰した時期があったが、ワクチンの開発などが進むにつれて、その後の業績への期待感が薄れ、株価は下落していった。コロナ禍が終息すれば、Zoomがあまり使われなくなることが予想されるからだ。
ヴァージン・ギャラクティック(SPCE)
ヴァージン・ギャラクティックは、宇宙旅行ビジネスを展開する企業だ。本格的な商用展開に向けて動いているが、事業は当初の計画どおりに進んでおらず、それが投資家に嫌気され、株価は下落傾向にある。
同社がSPAC(特別買収目的会社)を利用して上場したことも、株価の下落に拍車をかけている。
SPACを利用すると事業規模が小さい企業や極端な赤字企業でも上場できるが、近年そのようなSPAC上場という仕組みに疑問を呈する声が高まっており、SPAC上場した企業の株価が下落する例が相次いでいる。ヴァージン・ギャラクティックもその1社だ。
フォレサイト・オートノマス(FRSX)
自動運転向けのセンサーを開発するイスラエル企業。自動運転市場は将来有望とされ、1年前は自動運転関連銘柄があまり多くなかったこともあり、フォレサイト・オートノマスの人気は高かった。
しかし、その後続々と自動運転向けセンサーを開発する企業が増えた。同社の業績は目を見張るものではなかったことから株価は下落基調に入り、その後も回復する兆しは見られない。
ドラフトキングス(DKNG)
ドラフトキングスは、スポーツ賭博やオンラインカジノを展開している企業だ。同社の株価はコロナ禍によって大きく上昇した。その理由は、財政難に陥ったアメリカの地方政府が、税収確保のためにスポーツ賭博の合法化に乗り出す動きが見られたからだ。
スポーツベッティングは合法化されている州とされていない州があり、今後合法化する州が増えれば、ドラフトキングスの業績は大きく伸びることが予想された。しかし、ワクチンの開発が進むにつれて地方政府の財政難も解消の兆しが見え、スポーツベッティングの合法化の話はしぼんでいき、同社の株価は下落していった。
サンダイアル・グローアーズ(SNDL)
サンダイアル・グローアーズは、大麻を生産・販売しているカナダ企業だ。一時期、同社の株式は急騰した。大麻に対する規制緩和が進む期待感を背景に、インターネット上の掲示板で同社の株式に対する注目度が急上昇し、短期間で株価が大幅に上昇した。
過去1年で株価が1.6ドル台になったこともあったが、現在は、0.5ドル台で推移しており、過去1年の最高値から約64%安となっている。
利上げによる金融引き締めも逆風
銘柄によって、大幅下落につながった理由は異なる。SPAC上場したことが嫌気されて下落基調から抜け出せなくなった銘柄もあれば、国や州政府の政策の方向性に翻弄された銘柄や、コロナ禍の影響を強く受けた銘柄もある。
現在、アメリカで高まったインフレ率を下げるために、利上げによる金融引き締めが始まろうとしていることも、株価の下落に拍車をかけている。一般的に利上げ局面は、急成長が期待されるグロース株にとって逆風だ。
ズーム・ビデオ・コミュニケーションやヴァージン・ギャラクティック、フォレサイト・オートノマスは典型的なグロース株であり、利上げによる金融引き締めがなければ、下落率はもう少し小さかったと考えられる。
文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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