9. すでに研究が始まっている!?6Gの未来

5Gの普及に注目が集まる中、既に次世代通信規格「6G」の実装に向けた研究開発が進んでいます。ここでは最後に、5Gから6Gにかけてどのような進化が見込まれているのかを簡単にまとめて、みなさんに5Gがあくまで通過点に過ぎないと理解していただきます。

繰り返しとなりますが、5Gの強みは「高速通信」「低遅延」「同時多数接続」です。NTTデータの調査報告によると、6Gになると、これらが更にパワーアップし、「超高速通信」「超低遅延」「超同時多数接続」になります。通信速度は5Gからさらに10倍早くなり100 Gbpsを超え、遅延は1 ミリ秒以下と5Gより早くなり、1つの基地局に接続できる端末も1,000万台と1,000倍にも跳ね上がります。

これに加えて、陸地の電波カバー率が100%になったり、5Gでリスクとして取り上げたデータの信頼性が99.99999%に向上することで非常に安心の通信が可能になるなどの付加価値もあります。例えば超同時多数接続、超高速通信、高信頼通信が組み合わさり、​​無線ネットワークが電波の代わりになってセンチメートル級でのユーザの測位を可能にする未来も予測されています。現在ユーザ端末はどこからどの基地局に対して接続しているのか、ユーザがどのぐらい動いているのか、その通信は信頼性があるのかが担保されることで、難しかった数センチ単位での測位が可能になりうるということです。このように、5Gでは考え付かなかったような、性能の組み合わせによるさまざまな強みが際立ってくるのが6Gの魅力と考えられます。

5Gって何?を基礎から徹底解説。5Gのメリット・デメリットと期待される活用事例
(画像= 通信における様々な要件に対して、これまで以上の突出した性能を提供するイメージ図 、『宙畑』より引用)

5Gでは、通信の周波数がギガヘルツ帯まで使用されたことが注目されました。周波数が高くなればなるほど、遠くへの通信が難しくなる一方で、大容量の通信を一度に行えることで通信速度も向上させられる利点があります。6Gではさらに高い周波数帯の利用が考えられており、95 GHzからなんと3 テラHzになるので、より大容量通信が実現する見込みです。

6Gになることで、提供されるサービスにも更なる変革が起きるでしょう。例えば今まで電波が届きにくかった山奥や海上などのエリアにも6Gの超低遅延・超高速・大容量な通信サービスが提供されたら、遠隔操作などアプリケーションの幅が広がるので、人力に頼っていた農業や林業、水産業などの第一次産業を機械で自動化することが可能になり、一気に自動化が加速する可能性があります。

ここに衛星データによる地上の情報が組み合わされば、今まで利用されてこなかった地域の活用など、更なる社会の変革が起きるかもしれません。

10. まとめ

話題の5Gについて紹介しました。5Gがどのような技術によって支えられている通信サービスなのか、導入されることでどのような恩恵を受けることができるのか、デメリットはどんなところにあるのか、など具体的にイメージしていただけたのではないでしょうか。

5Gは今後、宇宙ビジネスと密接に関わっていくことになります。5Gをバックアップするための衛星インターネット通信や、5Gの特性を生かした宇宙エンターテイメントなどを例として挙げましたが、今後はさらに広い範囲で「宇宙 × 通信」が進んでいくと筆者は考えています。私たちの生活に密接に関わる通信技術と宇宙をセットで考えていくことで、今後発展していく宇宙ビジネスを、より楽しむことができるのではないでしょうか。

提供元・宙畑

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