■ 艦船による物資輸送
航空機による緊急輸送が進む中、援助物資輸送の主役を担うのは船です。まずニュージーランド海軍が1月19日に哨戒艦ウェリントンと補給艦アロテオロアを派遣。沖合から島々の状況を把握し、補給物資を積んだ艦艇の活動に備えた情報収集を行いました。



オーストラリア海軍は1月17日、緊急援助物資と人員を乗せた強襲揚陸艦アデレードがトンガに向けて出発しました。強襲揚陸艦が選ばれたのは、物資を大量に積載できるだけでなく、港湾施設が使えない場合でも揚陸艇を使って物資を荷揚げできるからでもあります。


同じく、日本からもエアクッション艇LCACで物資を輸送可能な輸送艦おおすみが、1月24日トンガに向けて出発。陸上自衛隊のCH-47輸送ヘリコプターのほか、火山灰除去のための用具や、不足している飲料水などを輸送しています。
イギリス海軍は、南太平洋からハワイに向けて航行中だった哨戒艇スペイをタヒチに緊急寄港させ、30キロリットルの飲料水や400個のファーストエイドキットなど援助物資を積載。トンガへ向けて19日に出港しました。また、オーストラリアの強襲揚陸艦アデレードにも、イギリスの援助物資が積み込まれています。



また、アメリカ海軍は同じく南太平洋を哨戒中だった駆逐艦サンプソンのトンガ派遣を決定。ニュージーランドの補給艦アロテオロアから燃料の補給を受けつつ、艦載ヘリコプターで救援活動を1月25日に始めました。
■ 活動を阻む新型コロナウイルス
緊急援助活動が進む一方、気掛かりなのが新型コロナウイルス。トンガの医療インフラはもともと脆弱で、WHOの援助が入っているところに火山災害が起こり、新型コロナウイルス対策をする余裕がありません。
そんな中、日本から派遣された人員の中から4名の感染が確認されました。現在、濃厚接触が疑われる計36名が感染防止策として、現地の宿泊施設で隔離されています。
また、オーストラリアからトンガに向かっていた強襲揚陸艦アデレードでも、23名の感染が確認されました。こちらでもオーストラリア軍が定める規定に従い、濃厚接触が疑われる人員を含めて艦内で隔離措置がとられたといいます。
強襲揚陸艦アデレードは災害派遣も考慮した設計となっており、ベッドが40床あるほか、新型コロナウイルスの検査設備など医療設備が充実しています。このため、オーストラリア国防省は救援任務遂行に影響はないとしています。
火山灰に覆われた大地は植物が枯れ、火山噴出物による海洋汚染など、トンガの災害はこれからが本番だといえます。新型コロナウイルス禍という困難な状況下、各国の救援活動は続きます。
<出典・引用>
防衛省 トンガ王国国際緊急援助活動ページ
防衛省・統合幕僚監部 報道発表資料
ニュージーランド軍 トンガ救援情報ページ
オーストラリア国防省 ニュースリリース
イギリス海軍 ニュースリリース
アメリカ海軍 ニュースリリース
画像:New Zealand Defence Force/Commonwealth of Australia/Crown Copyright
文・咲村珠樹/提供元・おたくま経済新聞
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