「もしあのとき買っていたら……」「売らずに保有し続けていれば……」。株式投資の世界においても「たら・れば」には意味がない。しかし、どのような銘柄が爆上げしたか知っておけば、今後の銘柄探しの参考になるかもしれない。過去、米国株で爆上げした銘柄を紹介しよう。

Amazon(ティッカーシンボル:AMZN):株価は15.4倍に

この記事では、記事執筆時点の「2022年1月24日」とその10年前の「2012年1月24日」の株価を比較し、「10年前に買っていたら、現在は株価が何倍になっているのか」を算出する(株式分割が行われた銘柄もあるため、その場合は「調整後終値」で10年前と比較する)。

まずは、EC(電子商取引)業界の最大手企業となった米アマゾン・ドット・コムからだ。アマゾン・ドット・コムの2012年1月24日の終値は187.00ドル で、2022年1月24日の終値は2,890.88ドル 。つまり、株価は10年間で約15.4倍になったわけだ。

アマゾン・ドット・コムの創業者はジェフ・ベゾス氏。1995年に創業し、当初はインターネット上の書店として書籍販売をメインに行っていたが、その後販売する商品のラインアップをどんどん増やし、在庫システムや物流システムの最適化などによって高収益を上げていく。

ちなみに、この1年の株価の騰落率はマイナス15.83%で、好調とはいえない。しかし近年はクラウドサービス事業にも力を入れて収益力を高めており、今後の株価の回復に対する投資家からの期待は大きい。

Apple(ティッカーシンボル:AAPL):株価は10.7倍に

MacBook、iPhone、iPad、Apple Watch、AirPodsなど、さまざまなヒット商品を世に送り出している米Apple。2022年1月4日には、株価の値上がりによって時価総額が一時3兆ドル(約340兆円)を突破した 。過去、時価総額が3兆ドルを突破した上場企業はない。

Appleの2012年1月24日の終値は15.01ドル で、2022年1月24日の終値は161.62ドル 。この10年で株価は約10.7倍になった。直近1年の騰落率は+11.61%となっている。

Amazon同様、Appleも株価のさらなる上昇余地が大きいとみられる。現在世界が注目しているのが、俗にいう「Apple Car」だ。シークレットプロジェクトとして自動運転の電気自動車(EV)を開発しているとされ、実際に発表されれば株価は一気に跳ね上がるかもしれない。

一方でスマホ事業においては、韓国企業や中国企業がライバルとして台頭しつつある。韓国のサムスンや、中国勢のシャオミ、OPPOなどだ。このような環境の中、Appleがスマホ事業でシェアを維持できるかどうかは、気になるところだ。

テスラ(ティッカーシンボル:TSLA):株価は169.7倍に

現在時価総額が1兆ドル規模の企業の中で、この10年で一際大きく株価を上げたのが米EV大手テスラだ。2012年1月24日の終値は5.48ドル だったが、2022年1月24日の終値は930.00ドル と、10年で株価が約169.7倍になった。

テスラのEVの生産台数と販売台数は驚くべきスピードで伸びており、発表された数字が市場予想を大きく上回ることも珍しくない。カリスマ経営者であるイーロン・マスク氏はTwitterでの前のめりなツイートが注目されがちだが、経営手腕は見事だ。

現在自動車業界では、自動車メーカーやIT企業、スタートアップ、ベンチャーなどが自動運転技術の開発競争を繰り広げているが、その中でテスラのアプローチは他社とは少し異なる。具体的には、カメラだけで自動運転を実現しようとしているのだ。

多くの企業が「地図データ」をベースにした自動運転技術を開発しているのに対し、テスラは人間が「目」と「脳」だけで運転するように、地図データを使わない自動運転の実現を目指している。実現難易度は高いが、その技術を確立すれば株価が高騰するのは間違いないだろう。

10年前に100万円分株式を買っていたら……

この記事ではAmazonとApple、Teslaの株価を10年前と比較した。時価総額が高いDomino PizzaやNetflixなどと合わせて一覧にすると、以下のようになる。もし10年前に100万円分株式を買っていたら、現在いくら儲け(含み益)が出ているのかも算出した。

<10年前との株価の比較>
企業 2012/1/24 2022/1/24 倍率 100万円分
買っていた場合
Amazon 187.00ドル 2,890.88ドル 15.4倍 1,440万円の儲け
Apple 15.01ドル 161.62ドル 10.7倍 970万円の儲け
Tesla 5.48ドル 930.00ドル 169.7倍 1億6,870万円の儲
Domino
Pizza
31.89ドル 456.24ドル 14.3倍 1,330万円の儲け
Netflix 13.24ドル 387.15ドル 29.2倍 2,820万円の儲け

もちろん10年前は5社の株価が堅調に上がっていくかどうかはわからなかったが、先見の明がある投資家はこのような企業への投資で大きな利益を得ている。さあ、次なる爆上げ銘柄を探そう。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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