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日本の国土構造はどう変わる ~2050
東京の都市力

日本の国土構造はどう変わる ~2050

コロナ禍が東京の不動産市況に与える影響
(画像=『レイビー』より引用)

東京に続いて、2050年までに日本の国土構造がどう変わるかを見ていきます。

都市圏の人口推移

1960年の人口は、地方圏は三大都市圏の1.5倍ありました。
現在では1.1倍程度になり、この先は地方圏が0.5倍まで減少すると見られています。

都市圏の人口が増加して地方が減少を続ける流れのなかで、人口が増えているのは東京圏です。

東京都は1998年に2050年までの人口増を1250万と推計しました。
しかし、2020年の発表によると、東京の人口はすでに1400万まで到達しています。
恐らく、まだもう少し増え1500万には届くのではないでしょうか。

一体何が起きているのか過去の時代の分岐点を見てみると、これまでのオイルショックやバブル崩壊、リーマンショックなど、各々の後で必ず東京の力が上がっていることが分かります。

その背景には、国内総生産のシェアは第三次産業が猛烈に上がっていることが挙げられます。
そのため、大都市が発展し、東京が発展してきたのが事実です。

都心回帰は、今回の新型コロナウイルスの影響で少し鈍るかもしれません。
しかし、流れとしては続いていくと考えられます。

悩ましいのは人口です。2030年から高齢化が進んでいきます。

戦後最大の経済成長の時代である1960年は、日本の人口構造はピラミッド型に近い状態でした。
バブル経済が崩壊して成熟経済へ移行した2005年は、真ん中が膨れたビア樽状態です。

そして、2035年には若者が減り中高年層が増えます。
そのような時代となり、日本が危ないのではないかと見られています。

日本創成会議と国土交通省は、2040年までに日本の自治体の約6割が消滅すると見ています。

それでは、仮に6割の自治体がなくなったらどうなるのでしょうか。

そもそも、日本列島は85%が山で可住地が多くありません。そのため、自然の形に戻ると考えれば、そう恐れることではないでしょう。

西日本国土軸

実は、日本の国力は、東京から現在は福岡までつながっている 西日本国土軸にあります。
以前は東京から大阪までの太平洋ベルトでした。

西日本国土軸の人口シェアは、1962年62%から2012年72%まで伸びています。
しかし、この先を推計してみても80%には届きません。

なぜかというと、西日本国土軸以外の地域、すなわち北海道や東北等があり、少なくとも4分の1程度はこれらの地域以外に残るからです。

対する4分の3が西日本国土軸上に住むことが分かり、自治体が6割なくなったとしても、どこに住むかというのが見えてくるでしょう。

また、2027年に予定されているリニア新幹線が開通すると、東京名古屋間が40分で行き来できるようになります。

これは、東京から福岡の軸のなかで、特に東京名古屋を強くする効果があります。

40分で行き来できるとなれば、時間的には東京立川間と変わりません。リニア新幹線の効果で、名古屋は東京郊外といった位置付けになり、同様に大阪は関東地方に入ります。

東京と名古屋が一緒になると、5,000万人ぐらいの大都市圏が出来上がります。
東京はすでに世界最大の都市圏ですが、さらにその規模を拡大するということです。

以前、大阪と東京が新幹線でつながってから、ストロー効果によって大阪の衰退が始まりました。

しかし、東京と名古屋がつながったときに同様のことが起きるのかというと、そうはなりません。

なぜなら、愛知県は製造業が強く、東京と名古屋の経済構造は大きく異なるからです。
そのため、東京は名古屋を吸うことなく、ストロー効果は起こりません。

現在、東北が東京の経済圏に入ってきています。リニアができると、さらに名古屋も入ってくるでしょう。

この経済圏の力がどれくらいかというと、2014年の時点では、東北から中部までのブロックが国内総生産の65%を占めています。リニアができればさらに75%まで達すると予測できます。

日本の人口が減少するなかでも、リニアのおかげで東京から福岡の軸と生産は、東京を中心に持ちこたえるのではないかというシナリオが見えてくるのではないでしょうか。

東京の都市力

コロナ禍が東京の不動産市況に与える影響
(画像=『レイビー』より引用)

続いて、東京の都市力がどこにあるのかを、森記念財団 都市戦略研究所が発表しているGPCI(世界の都市総合力ランキング)で見てみましょう。

GPCIでは、

  • 経済
  • 研究・開発
  • 文化・交流
  • 居住
  • 環境
  • 交通・アクセス

以上6つの分野で世界の都市力を見ています。
対象は48都市で、主要都市を全てカバーしています。

順位は以下のとおりです。

  1. ロンドン
  2. ニューヨーク
  3. 東京
  4. パリ
  5. シンガポール

東京の課題は、どうやってロンドンとニューヨークに追い付き追い越すかという点です。
東京はオリンピック発表で4位から3位に浮上しました。ただし、この先どうなるかは分かりません。

ロンドンとニューヨーク、東京は構造が明らかであり、東京が弱いのは文化・交流です。
この先は、この点を強化すればよいことが分かります。

対して、ロンドンは文化・交流の偏差値が高く、6項目のなかで飛び抜けています。

ニューヨークは経済と研究・開発の偏差値が75を超える一方で、居住や環境は偏差値50周辺です。

この二都市は尖った部分のある「特化」型都市です。

日本は6分野全てで偏差値が60~70で、非常にバランスが取れています。
日本文化と同様に、どう尖らせるかという点が今後の課題となるでしょう。