目次
東京五輪2020後の経済状況
パンデミックで変わる働き方
東京五輪2020後の経済状況
先ほどお伝えした経済状況を踏まえ、これからどうなるかを見ていきましょう。
まずは、延期となって来年に控えたオリンピックの影響からです。
東京オリ・パラ開催の経済波及効果
オリンピックの波及効果については、日本銀行が算出したものが有名です。
2014年にオリンピック誘致が決まった後に、一人当たりの消費や外国人・観光客、そして建築投資といった実需が増えます。
2019年以降は、実需に加えて付加価値がプラスされ、GDPを0.2~0.3%押し上げると言われています。
また、東京都は、オリンピックの波及効果をオリンピック誘致が決定した2013年~2030年の17年間で32兆3億円と試算しています。
オリンピックが終わってからも、まだ波及効果があると見ているということです。
ただし、オリンピックの開催は1年延期となりました。そのため、今年見込まれていた2~3兆円の押し上げ効果が失われます。
来年のオリンピックが規模を縮小せずに開催されるかといった懸念はありますが、無事に開催されれば波及効果は十分に期待できます。
五輪前後の開催国の成長率
一方で、オリンピックを開催すると景気が悪くなるという意見もあります。
実際にオリンピック開催国の前年、開催年、翌年の成長率を比較すると、
- 韓国(ソウル・1988年)
- スペイン(バルセロナ・1992年)
- オーストラリア(シドニー・2000年)
- ギリシャ(アテネ・2004年)
- 中国(北京・2008年)
の五カ国は開催翌年の経済効果が下がっています。
対してアメリカ(アトランタ・1996年)とイギリス(ロンドン・2012年)は開催翌年に成長率が上がりました。
この結果からどういったことが読み取れるかというと、オリンピックに多大な費用がかかると反動が来るということです。
アトランタとロンドンはすでに出来上がった都市だといえます。そのため、大きく無理をする必要がありませんでした。
その結果、着実に成長率が上がったと考えられます。
東京はロンドン型と言われているため、オリンピック開催が不景気にはつながらないと推測できます。
パンデミックで変わる働き方
続いて、今回のパンデミックで何が起こったのかを見ていきましょう。
大きく変わったのは働き方です。
テレワーク導入率の変化
東京の調査によると、企業の約6割がテレワークを採用しました。東京の調査には中小企業も入っていますが、大企業だけだとテレワーク採用率は9割を超えています。
平均すると全国で約7割がこの度テレワークを導入しました。
実際にどれくらいテレワークを実施したのかを見てみると、1週間のうち5日間実施した企業が全体の約43%です。
全体の約24%はテレワークを実施していません。
ただし、10.8%は今後利用する予定だと回答しています。
それでは、テレワークを導入した効果はどうだったのでしょうか。
業務効率が上がったとの回答は33.8%にとどまり、66.2%は効率が下がったと回答しています。
テレワークに期待される効果
テレワークの効果にはさまざまなものがあります。
今回のパンデミックでクローズアップされたのは、事業継続性の確保という観点です。
事業継続性だけで約76%が実際にテレワークを導入しました。
テレワーク実施は、1980年代には女性社員の活躍が主な目的でした。
21世紀に入ってからは、ワークライフバランスにこだわってきましたが、今回のパンデミックで事業継続性という点が、テレワークの普及に大きく役立つことが分かりました。
テレワークの実施場所、平均仕事時間
テレワークには以下の3種類があります。
- 在宅勤務
- サテライトオフィス
- モバイルワーク
今回は、外出自粛という背景もあり、テレワーク実施場所としては自宅(在宅勤務)が圧倒的でした。
しかし、約65%は効率が下がったと回答していることから、今後、テレワークの内訳として、在宅が占める割合が減ることも想定されます。
在宅勤務に対して、サテライトオフィスとは、本社・支社以外の郊外型小規模オフィスのことを指します。
そして、どこでもできるのがモバイルワークです。
モバイルワークの作業場所として、コワーキングスペースが世界的に普及しています。
コワーキングスペースの多くは都市型です。
日本においてもコワーキングスペースの大多数は東京23区にあり、次いで大阪市や名古屋市といった政令市例都市、そして、八王子市といった中核市が続きます。