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2021年のオリパラに向けた動き「臨海部に陽が当たる」
2020年代の東京を俯瞰する動き
2021年のオリパラに向けた動き「臨海部に陽が当たる」
今回の東京オリンピックの最大のテーマは「臨海部に陽が当たる」ということです。
今回の東京オリンピックでは、前回のオリンピックのような大規模なインフラ整備は行っていません。
偶然にも、新橋と虎ノ門を結ぶ新虎通りが出来上がっているというタイミングだったからです。
新虎通りは、虎ノ門から伸びて、勝どきを通って晴海、有明まで行き、オリンピック道路となります。
現在はこのエリア一帯に建設が行われています。
東京都が建設しているのは、
- アクアティクスセンター
- 有明アリーナ
- 海の森水上競技場
- 有明体操競技場
の4つです。
一番脚光を浴びているのは、選手村をオリンピック終了後に一般分譲してマンションにするという計画です。
オリンピック終了後、中央に超高層マンションを2棟建築予定で、このエリアだけで1万人が住む予定です。
選手村跡の住宅地分譲は、都心開発の象徴ともいえるでしょう。
道路輸送のインフラ状況としては、3環状の整備が進んでおり、整備率は現状74%です。
オリンピックまでには80%となる見通しで、これによって都心部の渋滞が減ってきています。
続いて、鉄道についてです。いくつかの鉄道計画があるなかで、一番のポイントは臨海で計画されている新しい地下鉄です。
この地下鉄は、東京駅から銀座を通り、新しい会場全てを通って国際展示場まで行きます。
実は国際展示場は渋谷・新宿と同じく東京駅から6km圏内です。
今回のオリンピックで脚光を浴びている臨海一帯は、都心に近く良い場所です。
これから何が起こるか注目すべきところだといえるでしょう。
もう一点評判となっているのは、都心から羽田空港に直結する線路です。
現在建設中で、貨物駅から羽田空港の地下にトンネルを掘っています。
この線路が完成すると、東京駅から羽田空港までは18分、新宿から羽田までは23分で到着します。
そうなると、東京は世界で最も主要駅から空港が近い街へと変わります。
ただし、この計画はオリンピックには間に合わず、2028年ごろに完成の予定です。
2020年代の東京を俯瞰する動き
東京では、都心を中心にさまざまなプロジェクトが進行中です。
そのほとんどが大規模なプロジェクトで大手ディベロッパーが開発に関わっています。
つまり、官が主導となった開発ではなく、民間が実施しているということです。
東京都心におけるこれからの都心開発プロジェクト
これから2026年までに完成する、具体的なプロジェクトをエリアごとに見ていきましょう。
東京駅北側では、日本橋口の目の前に、三菱地所が作っている常盤橋のビルがあります。
とても巨大な超高層ビルで、六本木ヒルズ森タワー6棟分のビル供給を行います。
そして、その足元には大規模な広場が完成予定です。
東側の八重洲口側では、3棟の超高層ビルが建築中です。そのうち1棟は2年ほどで完成します。
八重洲口から東側の京橋一帯は、これから5、6年で急激に建物が増え、大きく変わっていくでしょう。
東京駅周辺は三菱地所が開発していましたが、日本橋エリアは三井不動産が開発を進めています。
三井不動産は、江戸の街並みを復活させるという構想に取り組んでおり、すでに神社を復活させました。
この先15年ほどで高速道路がなくなり、その先に江戸時代の日本橋を木で復活させるという計画があります。
虎ノ門ヒルズの周りでは次々と新たなビルの建築が進んでおり、2棟のオフィス棟と住宅棟がほぼ完成しています。
2023年には、駅の北側にステーションタワーという新たなビルが完成予定です。
以下の4棟が出来上がると、虎ノ門エリア一帯が完成となります。
- 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(仮称)
- 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー(仮称)
- 虎ノ門ヒルズ 森タワー
- 虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー(仮称)
虎ノ門から麻布台に向かっても、開発が始まっています。
麻布台で建築中のタワーは高さが約330メートルあり、2023年に完成すると、あべのハルカスを抜いて日本で一番高いビルとなります。
ただし、先にお伝えした常盤橋の超高層ビルは390メートルあるため、麻布台のタワーが日本一でいられるのは常盤橋のビルが建つまでです。
なお、麻布台のタワーが想定しているテナント・入居者は、主として外国人富裕層を中心としたオフィス街と住宅です。
渋谷でも大規模な開発が進んでおり、駅前を含めて急激な変化が進んでいます。
以下の建物が、すでに完成したものを含めた渋谷駅周辺のビルです。
- 渋谷ヒカリエ
- 渋谷ストリーム
- 渋谷スクランブルスクエア東棟
- 渋谷スクランブルスクエア中央棟・西棟(2027年度開業)
- 渋谷駅桜丘口地区(2023年度竣工)
- セルリアンタワー
- 道玄坂一丁目駅前地区(2019年竣工)
- 渋谷マークシティ
埼京線ホームが山手線と並列する位置に変わるといった駅の大改造や地下を流れていた渋谷川を地上に出すといった計画も進んでいます。
続いては品川地区です。
品川車両基地の跡地に高輪ゲートウェイという新駅が2020年に開業となりました。
新駅周辺では、JR東日本が新たな建物5棟を建築しています。品川駅側に2棟が新たに建設予定であり、2025年前に完成予定です。
そういった流れで、南の都心の象徴である品川も今後変わっていきます。
品川駅の大改造も進んでいます。
品川駅と国道15号の上に大きなデッキを設け、広場を作る計画があります。
2027年にリニアが開業することもあり、品川駅一帯は今後大きく変わっていくでしょう。
広域中枢拠点が広がり都心回帰が起きている
さまざまな場所で少しずつ開発が進み東京全体が変わっていく中、東京では何が起こっているのでしょうか。
ポイントとなるのは都心中枢部です。
- 神楽坂
- 飯田橋
- 水道橋
- お茶の水
- 秋葉原
- 神保町
- 神田
- 馬喰町
- 市ヶ谷・番町
- 四谷
- 大手町
- 日本橋
- 人形町
- 丸の内
- 八重洲・京橋
- 茅場町
- 赤坂
- 永田町・霞が関
- 日比谷・内幸町
- 有楽町
- 銀座
- 八丁堀
- 六本木
- 虎ノ門
- 新橋・汐留
- 築地
- 芝公園
- 浜松町・竹芝
以上のエリアは全て不動産価格が上がっており、何をやっても失敗しないと言われている場所です。
この中枢部に新宿・渋谷・品川がくっついてくるという構図が見えてきます。
都市の中枢部ではマンションが増えていますが、周辺でも増えていくことが分かっています。
今の東京で何が起こっているかというと、中心業務地区が広がり都心回帰が起こっています。
つまり、都心の業務機能が多くなる一方で、「住」が都市に集まってきているということです。
これからの東京は、品川は羽田につながってグローバルになり、名古屋にはリニアがつながるという状況です。