韓国株にはサムスン電子などのグローバルな優良銘柄があり、1株単位で投資できる魅力もある。少額で始められる韓国株投資だが、配当はいったいどうなっているのだろうか?ここでは韓国株の高配当銘柄ランキングや利回り、該当企業の概要などを紹介。韓国株投資を検討中の人は必見だ。

目次

  1. 1,韓国株の3つの特徴
  2. 2,世界的に有名な韓国企業の配当利回りは?サムソン電子やSKハイニックスなど
  3. 3,韓国株の優良企業配当利回りランキングTOP10!金融系が圧倒的に強い
  4. 4,韓国株投資の5つの注意点
  5. 5,韓国株は持続的な成長に期待しつつ配当でコツコツと
  6. 6,韓国株の利回りについてよくある5つのQ&A
  7. 実際に株式投資を始めてみる

1,韓国株の3つの特徴

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

韓国株式市場に上場する企業の特徴や配当政策の傾向を、これまでの経緯を含めて簡単に説明しておこう。

韓国株の3つの特徴
  • 大手金融グループや大手証券会社の配当利回りが高い
  • 大手財閥系の配当性向は上昇傾向
  • 日本でも有名な、注目度の高い大企業が上場している

特徴1,大手金融グループや大手証券会社の配当利回りが高い

韓国の銀行を中心とした大手金融グループや財閥系証券会社など、大手金融機関の配当利回りは総じて高い傾向にあります。

例えば、韓国の大手金融機関「新韓金融グループ」<055550>の2020年末時点での予想配当利回りは5.22%にもなります。

東証一部上場企業の2021年6月末現在の加重平均利回りは1.96%、東証二部上場企業の同時期の加重平均利回りが1.63%、韓国の上場企業の平均配当利回りが2%程度であることを考えると、新韓金融グループの予想配当利回り5.22%がいかに高いかわかるだろう。 出典:日本取引所グループ『その他統計資料』

韓国の銀行、証券、保険を中核とする大手金融グループは財務状態も比較的安定しており、高配当利回りなので、長期投資による配当目的の投資に適しています。

特徴2,大手財閥系の配当性向は上昇傾向

かつて韓国の上場企業の配当性向は、その他の国・地域の上場企業に比べて低かった。

しかし近年は、外国人株主の持株比率が高い財閥系大企業を中心に配当を拡大している。

潮目が変わったのは2015年です。韓国政府が配当税の引き下げなどによる配当拡大政策を実施しました。その2年後の2016年末時点で、韓国上場企業の配当性向はまだ20.2%でした。

当時の韓国上場企業の配当性向は株主還元に積極的な米国(53.4%)やフランス(65.9%)をはるかに下回るだけでなく、配当性向が低い中国(33.8%)や日本(35.2%)よりも低い(※中央日報日本語版(2017年6月5日付)より)

2017年になると株主還元を強く求める海外機関投資家の影響もあり、現代自動車<005380>やLG化学<051910>といった財閥系上場企業の配当金が急増した。

以後も韓国大手企業の配当性向は上昇しており、韓国上場企業の配当金は2018年までの4年間で約2倍に増えたという(※韓国経済新聞(2019年2月19日付)より)。

2021年8月現在で公表されている業績予想では、サムスン電子<005930>の2021年12月期の配当性向(予想)は29.20%の見込みです。サムスン電子の配当性向は、欧米の上場企業の配当性向には及びませんが、韓国国内の平均配当性向を大きく上回る予定です。

その他、韓国の代表的な企業の予想配当性向は下記の通りだ。

<2021年12月期予想配当性向>
・SKテレコム<017670> 33.25%
・LGコーポレーション 20.94%
・現代(ヒュンダイ)自動車 17.07%

2021年8月現在では、業績好調な財閥系企業であっても、サムスン電子やSKテレコムをはじめとする一部の財閥系企業を除くと、株主還元にそれほど積極的といえる状況ではありません。こうした状況を踏まえた上で、投資先の韓国株銘柄や投資戦略を検討したほうがよいでしょう。

特徴3,日本でも有名な、注目度の高い大企業が上場している

韓国株式市場には、知名度の高さを特徴とする企業の大型IPO案件がたびたび登場しています。こうしたIPOを機に、日本の一般投資家たちの関心が韓国株式市場に集まってきます。

近年もっとも話題に上ったのは、2020年10月15日にKOSDAQに上場したビッグヒットエンターテインメント<352820>(2021年3月末に、社名をハイブに変更)である。

ハイブ(旧ビッグヒットエンターテインメント)
世界中に熱狂的なファンを抱えるBTSの所属事務所であり、上場後の2021年3月には、BTSが米国グラミー賞にノミネートされたことでも注目を集めた。

世界的に見ると、ハイブのように、人気タレントを抱える大手芸能事務所の上場は少数派だ。

その上、時価総額が11兆6,761億9,000万韓国ウォン(1韓国ウォン=0.094円換算で1兆975億6,186万円)にものぼる大型上場は日本国内と比べても珍しい。

日本の上場企業で2兆円前後の時価総額(2021年8月15日終値基準)といえば、1兆9,690億円の東芝<6502>や1兆9,655億円のオムロン<6645>といった大企業が該当する。

2021年8月6日には、インターネット専業銀行「カカオバンク」<323410>がKOSPIに上場した。

カカオバンク
韓国で2番目に開業したインターネット専業銀行。インターネット専業銀行の韓国初上場で話題をさらった。親会社の「カカオ」は韓国で人気の高い「カカオトーク」(無料のメッセージアプリ)の運営会社であり、日本でもSNSの一部ユーザーには認知されている。
上場初日から高値で取引され、初日の時価総額は33兆1620億ウォン(1ウォン=0.094円換算で3兆1,172億円)となり、金融株としては第1位、韓国株式市場でも第12位に躍り出ました。2021年8月15日終値基準でも、韓国市場の時価総額第11位にランクインしています。

韓国株式市場に上場したばかりの銘柄を購入したければ、SBI証券の「外国株式銘柄リクエスト」で銘柄の追加を依頼しましょう。社内基準に適合し、新規取扱銘柄に採用されれば、他の銘柄同様に売買できるようになります(2021年8月16日現在では、ハイブ取り扱いあり、カカオバンク取り扱いなし)。

2,世界的に有名な韓国企業の配当利回りは?サムソン電子やSKハイニックスなど

(画像=S_E/stock.adobe.com)

世界的に競争力の高い韓国企業の多くは、財閥系企業である。

韓国株式市場における財閥系企業の存在感は圧倒的で、全上場企業の時価総額上位10銘柄のうち7銘柄は財閥系だ。

本項では、韓国株式市場に多大な影響を及ぼす時価総額上位10銘柄と、2021年8月13日終値基準の配当利回りなどを確認しておこう。

韓国時価総額上位10社の配当利回り

順位 会社名<コード> 株価(2021/8/13終値) 時価総額 配当利回り
下段:1韓国ウォン=0.094円で円換算
1 サムスン電子<005930> 7万4,400ウォン 444兆1,518億2,200万ウォン 2.26%
6,994円 41兆7,502億7,100万円
2 SKハイニックス<000660> 10万1,500ウォン 73兆8,922億4,000万ウォン 1.40%
9,541円 6兆9,458億7,100万円
3 NAVER<035420> 43万6,500ウォン 71兆7,009億7,200万ウォン 0.10%
4万1,031円 6兆7,398億9,100万円
4 サムスンバイオ<207940> 98万3,000ウォン 65兆401億9,500万ウォン 0%
9万2,402円 6兆1,137億7,800万円
5 カカオ<035720> 14万6,000ウォン 64兆9,272億4,200万ウォン 0.02%
1万3,724円 6兆1,031億6,100万円
6 LG化学<051910> 89万6,000ウォン 63兆2,507億3,900万ウォン 1.23%
8万4,224円 5兆9,455億6,900万円
7 サムスン電子
(1P)<005935>
※優先株(議決権なし)
6万9,600円 57兆2,729億1,400万ウォン 未発表
6,542円 5兆3,836億5,400万円
8 サムスンSDI<006400> 81万7,000ウォン 56兆1,806億2,100万ウォン 0.12%
7万6,798円 5兆2,809億7,800万円
9 現代自動車<005380> 21万7,000ウォン 46兆3,659億9,700万ウォン 1.89%
2万398円 4兆3,584億400万円
10 セルトリオン<068270> 27万5,500ウォン 37兆9,960億500万ウォン 0%
2万5,897円 3兆5,716億2,400万円
11
参考
カカオバンク<323410> 7万6,600ウォン 36兆3,926億7,800万ウォン 未発表
7,200円 3兆4,209億1,200万円
12
参考
起亜自動車<000270> 8万5,200ウォン 34兆5,369億5,700万ウォン 1.48%
8,009円 3兆2,464億7,400万円
※時価総額ランキングは、KRX公式ホームページ「株式マーケットデータ/時価総額ランキング」(2021年8月13日終値基準)を参照した。1韓国ウォン=0.094円で円換算

時価総額TOP10企業の大半は、日本でも有名なグローバル企業です。10社の配当利回りを見ると、いずれも高いとはいえません。配当利回りが2%以上あるのは、2.26%の予想配当利回りを公表している時価総額第1位のサムソン電子だけです。

韓国企業は伝統的に、配当を抑えて研究開発や設備投資、内部留保に充てる傾向がある。

それが韓国企業の高度経済成長を支え、競争力の強化につながった。

政府主導の配当拡大政策が実施されてからも、サムスン電子のような一部の財閥系企業以外は配当を抑える政策が維持されています。

3,韓国株の優良企業配当利回りランキングTOP10!金融系が圧倒的に強い

(画像=number1411/stock.adobe.com)

次は、韓国の上場企業の中から配当利回りが高く、業績も好調な企業を10社紹介しよう。

以下の表は、ネット証券で唯一韓国株を取り扱っているSBI証券の韓国株取扱銘柄を対象に、2021年8月13日の終値を基準にした予想配当利回りを高い順に並べたものだ。

韓国株高配当利回りランキング

順位 銘柄名<コード> 予想配当利回り 株価(2021/8/13)
最低投資金額(円換算※)
1 サムスン証券<016360> 7.11% 4万7,000ウォン
4,418円
2 ウリィフィナンシャルグループ<316140> 6.67% 1万1,100ウォン
1,043円
3 NH投資証券<005940> 6.42% 1万2,800ウォン
1,203円
4 韓国中小企業銀行<024110> 6.02% 1万250ウォン
964円
5 ハナ金融グループ<0864790> 5.96% 4万4,650ウォン
4,197円
6 KT&G<033780> 5.96% 8万1,800ウォン
7,689円
7 DGBフィナンシャルグループ<139130> 5.88% 9,360ウォン
880円
8 サムスン火災海上保険<000810> 5.76% 21万9,000ウォン
2万586円
9 新韓金融グループ<055550> 5.20% 3万8,900円
3,657円
10 KB金融<105560> 5.20% 5万3,200ウォン
5,001円
※最低投資金額は、「株価×1株×0.094円」で算出した。為替レートは1韓国ウォン=0.094円を想定


韓国株高配当利回りランキングTOP10で特徴的なのは、たばこ会社のKT&Gを除いた10銘柄中9銘柄が、銀行や証券会社、保険会社を中心とする金融グループであることです。ランクインした銘柄はいずれも資産規模が大きく、業績もしくは財務基盤が安定しています。

韓国株の売買単位は1株であり、株価も比較的安いので購入しやすい。配当目的でまとまった株数を長期保有する、あるいは徐々に買い増しながら長期保有を目指すのに適しています。

ここからは、TOP10銘柄の概要と財務指標を紹介していこう。

第1位,サムスン証券<016360>――サムスングループの金庫番、業績好調の証券会社

サムスン証券
サムスングループの傘下で、主に金融投資事業を担う金融機関。株式仲介事業のほか、IPOやM&A、PFなどのコーポレートファイナンス事業、先物仲介事業、法人事業、自己勘定取引事業などを展開している。

サムスン証券の財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
7.11% 5.24倍 0.79倍 9.89% 0.93%
※1,予想配当利回りは2021年8月13日終値基準
※2,その他の財務指標は、SBI証券の韓国株個別銘柄情報より引用した
※3,ランキング第2位以下の銘柄についても同条件
韓国株式市場の伸長やサムソン電子の業績好調の影響を受けて、サムスン証券の2020年12月期の業績も大幅増収増益となり、株価も順調に伸びています。7.11%の高配当利回り(予想)ですが、業績好調のため、利益剰余金からの配当であると考えられます。

サムスン証券はもともと高配当銘柄だったため、インカムゲイン投資に適した銘柄でした。2021年8月現在では株価も堅調なので、配当あるいは売却益のどちらを目的とする投資にも対応できます。

第2位,ウリィフィナンシャルグループ<316140>――韓国内預金高第3位ウリィ銀行の金融持株会社

ウリィフィナンシャルグループ
傘下に中核銀行のウリィ銀行ほか、証券やクレジットカード会社などを抱えている金融持株会社。ウリィ銀行の前身は、大韓帝国時代に初の民族資本銀行として設立された大韓天一銀行。アジア通貨危機下で韓一(ハニル)銀行と合併し、現在のウリィ銀行となった。ウリィ銀行の預金高は韓国で第3位。

ウリィフィナンシャルグループの財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
6.67% 3.74倍 0.35倍 5.64% 0.39%

2020年12月期の業績は減収減益となり、とりわけ当期純利益は前期比30%減となった。

2021年12月期は業績が大幅に回復する見込み。

2020年初旬のコロナショックによる株価暴落後、順調に株価は戻りつつあるが、2021年6月以降は上値が重い状態が続いている。

ウリィフィナンシャルグループの中核は韓国屈指の優良銀行として知られるウリィ銀行なので、一時的な業績悪化に見舞われても、倒産リスクや無配を心配する必要はないでしょう。配当利回りも高いので、韓国株初心者の投資先としては無難です。

グループには韓国初のモバイル専門銀行などもあり、グローバル展開を推進しています。今後の傘下企業の業績次第では、株価が上昇する可能性もあります。

第3位,NH投資証券<005940>――韓国の大手証券会社

NH投資証券
1969年に設立された韓宝証券が前身。何度も合併を繰り返し、2014年にNH農協証券との合併によって現在のNH投資証券になった。

多くの国内支店や海外子会社を持つ総合証券であり、個人や機関投資家向けに株式の仲介や資産管理サービスを提供している。

企業の資金調達やM&Aなどの企業向け金融サービス事業(投資銀行事業)も行う。

NH投資証券の財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
6.42% 4.83倍 0.63倍 10.50% 1.02%
2020年12月の業績は増収増益となりました。コロナショック後の株価の戻りも堅調で、2021年8月現在では目立った不安材料も見当たりません。3年ぶりの高値圏も目前に迫っているので、購入を検討している場合は、早めに投資判断を下したほうがよいでしょう。

NH投資証券は、サムスン証券同様に、業績好調で高配当利回りの、中長期投資に最適な証券会社です。

第4位,韓国中小企業銀行<024110>――半官半民の中小企業向け取引が主力の銀行

韓国中小企業銀行
韓国政府によって、企業育成政策の一環として設立された銀行。主に中小企業への融資や取引を中心に行っている。現在でも韓国政府が株式の過半数を保有しており、政府系銀行としての性格が強い。預金高は韓国で第6位。

韓国中小企業銀行の財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
6.02% 4.01倍 0.31倍 5.65% 0.45%
コロナ禍の影響を受けて、2020年12月の業績は若干の減収減益となり、各種財務指標も前期を下回る結果となりました。もともと財務健全性の高い銀行なので、多少の業績の変動では配当の支払いに大きな影響はないでしょう。

韓国中小企業銀行は、例年、高配当利回り銘柄として名前の挙がる銀行です。

第5位,ハナ金融グループ<086790>――韓国最大規模のKEBハナ銀行が中核、金融事業を幅広く展開

ハナ金融グループ
韓国で最も資産規模が大きいKEBハナ銀行を中心とする金融グループ。銀行事業、金融投資事業、クレジットカード事業、融資、ローンなど、幅広く金融事業を展開している。

中核のKEBハナ銀行は、韓国外換銀行(外為専門の特殊銀行)とハナ銀行(かつての韓国投資金融)が合併して誕生した。

韓国女子ゴルフツアーで賞金額が最も高い「ハナ金融グループチャンピオンシップ」を主催していることでも知られている。

ハナ金融グループの財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
5.96% 4.28倍 0.43倍 8.77% 0.60%
ハナ金融グループは、高配当利回り上位銘柄の常連です。配当性向(予想)は25.52%であり、サムスン電子のような一部財閥系企業を除いた韓国上場企業の中では、良好な株主還元策をとっている企業です。

中核銀行のKEBハナ銀行は、もともと外為専門の特殊銀行だったこともあり、市中銀行(日本の普通銀行に相当)となった現在でも、韓国内最多の世界120カ国以上の通貨を取り扱かっています。

第6位,KT&G<033780>――韓国のたばこ製造販売会社、高麗人参事業が特徴的

KT&G
たばこ製造と販売を手掛ける韓国企業。「esse」「raison」「the one」のブランドを冠したたばこを製造し、中東や中央アジア、ロシアなどの海外市場で販売。たばこ事業以外に、高麗人参事業と不動産事業、医薬品の製造・販売なども行っている。

高麗人参事業では、高麗人参を使った健康食品や化粧品を製造・販売しており、不動産事業では不動産の販売や賃貸を行っている。

KT&Gの財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
5.96% 9.44倍 1.12倍 13.22% 10.54%
2019年12月期と2020年12月期は2期連続で増収増益となりました。KT&Gは、高配当利回りランキングの常連であり、投資対象としては理想的な銘柄です。
ただし、買付のタイミングは各自の投資目的に照らし合わせて判断したほうがよいでしょう。。

新型コロナウイルス感染拡大で株価が下がった後、若干株価を戻してから保合(もちあい)相場が続いている。

現状では、配当が目的であれば、それほど買付タイミングを気に掛ける必要はないが、値上がり益を狙いたければ、上昇トレンドに転換するタイミングを待つ必要がある。

KT&Gは、韓国内でたばこと高麗人参の専売権を握っている、韓国で唯一無二の会社です。韓国の高配当銘柄TOP10の中で、総合金融グループ以外でランクインしている唯一の事業会社でもあります。

第7位,DGBフィナンシャルグループ<139130>――地方銀行中心の金融グループ

DGBフィナンシャルグループ
地方銀行の大邱(テグ)銀行を中核とする金融グループの持株会社。傘下には預金、外国為替、クレジットカード、保険信託業務などを行う大邱銀行や、金融情報と関連サービスを手掛ける大邱クレジットインフォメーション、金融業務を行うDGBキャピタルなどがある。

DGBフィナンシャルグループの財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
5.88% 3.64倍 0.31倍 6.73% 0.49%
高い配当利回りに加えて、コロナショック後、右肩上がりに株価を上げているのが特徴の銘柄です。レンジ相場、あるいは下落トレンドに転換する兆しも未だ見えておらず、タイミングを逸することがなければ、売却益の獲得も可能です。

DGBフィナンシャルグループは、地方銀行が中心の金融グループですが、海外展開にも積極的です。

第8位,サムスン火災海上保険<000810>――業績好調なサムスングループの損害保険会社

サムスン火災海上保険
グローバル企業であるサムスン電子や各業界を代表するトップ企業を抱える、サムスングループの損害保険会社である。

火災保険、船舶保険、自動車保険など、個人向けから企業向けまで、さまざまな保険商品を取り扱っている。

韓国国内だけでなく、インドネシア、ブラジル、中国などの海外市場でも事業を展開している。

サムスン火災海上保険の財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
5.76% 9.04倍 0.56倍 4.90% 0.84%

2020年12月期は、サムスン電子の好調な業績を背景に、コロナ禍ながらも増収増益となった。

株価が大きく動くわけではないので、初心者にとってはキャピタルゲイン投資向きではありませんが、配当利回りが高いのでインカムゲイン投資には向いています。

サムスン火災海上保険は、韓国株式市場で高配当利回り銘柄として、上位に名前を連ねる企業です。

第9位,新韓金融グループ<055550>――成長著しい韓国発の純民間資本銀行のグループ

新韓(シンハン)金融グループ
韓国の主要銀行である新韓銀行を中心とした金融グループの持株会社。
新韓銀行

1982年に在日韓国人信用組合業界が設立した韓国初の純民間資本銀行。商業銀行サービスやクレジットカードサービス、証券取引と委託取引、生命保険事業などを行っている。傘下には地方銀行の済州銀行や、日本の現地法人であるSBJ銀行もある。韓国第2位の規模を誇る。

新韓金融グループの財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
5.20% 4.92倍 0.46倍 8.06% 0.60%

2020年12月期は、コロナ禍の中、若干売上げを落としながらも、前期比とほぼ横ばいの当期純利益で着地した。

コロナショックで下落した株価も、その後上下しながら、現在では下落前の株価水準まで戻りつつある。

新韓金融グループは、業績、財務状態、株価、いずれも目立った悪材料がないので、インカムゲイン投資の投資先としても向いています。

新韓銀行は、仮想通貨取引所の一つであるKorbitが設立した仮想通貨カストディ(仮想通貨管理業務代行業者)に投資することで、Korbitでの仮想通貨取引をサポートしています。提携発表当時は、大手の新韓銀行が仮想通貨取引所のサポートに乗り出したことから大きな話題となりました。

第10位,KB金融グループ<105560>――外資資本が過半数を超える市中銀行

KB金融グループ
国民銀行を中心とした金融グループの持株会社。中核の国民銀行の母体は、非銀行系の無尽会社(掛金を払い込んだ人を入札などで選んで、金銭以外の財産を給付する)であった。1963年に政府系金融機関として改組され国民銀行となり、1995年に民営化された。現在は外資資本が過半数を超える。

リテールバンキングサービスのほか、中小企業や個人事業主、個人投資家向けに貸付、証券、デリバティブ投資、あるいは資金調達事業なども行っている。

KB金融グループの財務指標

予想配当利回り 予想PER 実績PBR ROE ROA
5.20% 5.01倍 0.48倍 8.47% 0.62%
KB金融グループは、韓国の典型的な優良金融グループの一つです。高配当、順調な業績は2020年12月も変わらず、コロナショック後の株価の戻りも堅調です。配当を目的とする中長期投資だけでなく、上昇トレンドを活かした短期投資の選択肢にもなりえます。

米経済紙フォーチュン発表の「2020グローバル企業500」において、韓国企業からは、KB金融グループをはじめとする計14社が選出されました。KB金融グループの企業規模や業績などが、世界水準であることの証だと考えてよいでしょう。

4,韓国株投資の5つの注意点

(画像=MONEY TIMES編集部制作)

日本でも馴染みあるグローバル企業の株を購入できる韓国株投資。

配当性向も増加傾向とあって、注目している人もいるだろう。

しかし、韓国株ならでの以下5点の注意点は、投資をする前にしっかり把握しておきたい。

韓国株投資の注意点
  • ボラティリティが大きい銘柄がある
  • 中国の動向に影響を受けやすい
  • 韓国経済が財閥系グループの業績に左右される
  • 銘柄によって配当回数や権利付き最終日が異なる
  • ネット証券で情報を得にくい

注意点1,ボラティリティが大きい銘柄がある

韓国株には、価格の変動幅が大きい銘柄があります。半導体関連銘柄はその典型です。

半導体銘柄の成長余力や好配当に魅力を感じて株式を購入しても、その後株価が乱高下する可能性がある。

そのような場合でも目的を見失わずに、株式を保有し続ける覚悟も必要になる。

実際、コロナショックによるテレワーク需要拡大などの理由で、半導体関連銘柄は一時高値を更新したが、その後、2021年8月現在に至るまで、半導体関連銘柄の株価の振り幅は非常に大きかった。

たとえば、以下のようなさまざまな要因が半導体関連銘柄の株価に影響を及ぼした。

・米インテル社の半導体産業復権に向けて動きの加速化
・台湾TMSCによる半導体委託生産分野での世界占有率拡大といった半導体業界の構造変化
・サムスン電子やSKハイニックスなどの韓国半導体メーカーの輸出好調に起因する好業績
・半導体のピークアウトに対する懸念

仮想通貨取引所と提携関係にある大手銀行グループの株価も、韓国内での仮想通貨関連制度の未整備あるいは過度の期待により、将来的に大幅に変動する可能性もある。

高配当利回り銘柄として紹介した金融グループや証券会社の株式についても、このような株価の変動を見越して、購入あるいは長期保有するべきでしょう。

長期保有を前提とするインカムゲイン投資では、保有中の株価の変動は、倒産リスクがない限りは、「見て見ぬフリ」が基本です。

注意点2,中国の動向に影響を受けやすい

韓国は輸出大国であり、とりわけ対中依存度が高い。

そのため、米軍による韓国領土内へのTHAAD配備をきっかけとした韓中関係の悪化や、米中間での貿易摩擦の深刻化なども、韓国の経済成長率に大きな影響を及ぼす。

高配当利回り銘柄への投資といえども、対中関係が及ぼす韓国株式相場全体への影響は無視できません。

投資初心者は、韓国経済全体をけん引する大企業の動向だけでなく、中国の動向や世界経済の先行きにも注意を払って、株価が乱高下しているタイミングでの投資は極力避けたほうがよいでしょう。

韓国株投資では、韓国国内だけでなく、中国さらには米国の経済動向や外交関係にも気を配る必要があります。

注意点3,韓国経済が財閥系グループの業績に左右される

財閥系企業の中には好配当が続いている銘柄もありますが、韓国経済を支える財閥系グループ全体の業績が悪化した場合、配当に影響が出ることもあります。財閥系グループ全体の業績次第で、減配リスクもあります。

財閥系企業の業績や配当は、中核企業の業績や経営方針に影響を受けることがあるので、注意しましょう。

注意点4,銘柄によって配当回数や権利付き最終日が異なる

韓国株に投資する日本人投資家は多くないため、もともと日本株ほど詳細な取引ルールが公表されていない。

韓国株を含む外国株式の配当回数や権利付き最終日などが、銘柄ごとに若干異なる場合もあります。

配当を目的に韓国株を購入する場合は、配当回数や権利付き最終日など、株主権利の獲得のため、必要事項を事前に証券会社に確認する手間を惜しまないようにしましょう。

韓国株投資では、取引に関するルールや情報を自分から取りに行く姿勢も大切です。

注意点5,ネット証券で情報を得にくい

韓国株は、米国株や中国株に比べると扱っている証券会社が少ない。つまり、米国株や中国株に比べて提供される情報が少ないということです。事実、ネット証券で韓国株の取り扱いがあるのはSBI証券だけです。

韓国株を株式投資のメインに据えたいと考えているなら、情報収集チャネルを増やすことを検討したほうがよいだろう。

ネット証券で利用しやすいSBI証券だけでなく、韓国株をオンライン取引できるアイザワ証券、あるいは岡三証券やリーディング証券などの対面証券でも口座を開設して、情報収集するのも一つの方法だ。

より簡単なのは、複数の韓国系ニュースサイト、例えば、中央日報日本語版、朝鮮日報、東亜日報などの講読を習慣付けることです。

情報収集にあたっては、個人が発信する情報やブログからではなく、公式のオンラインニュースサイトを利用して、正しい情報を入手するように心がけましょう。

5,韓国株は持続的な成長に期待しつつ配当でコツコツと

(画像=jirsak/stock.adobe.com)

NISAや単元未満株投資制度などによって、日本株投資は投資家の裾野が広がってきている。

それに対して韓国株投資は、米国株や中国株と比べても認知されているとはいいがたい。

韓国には財閥系大企業をはじめ、競争力の高いグローバル企業が多く、ベンチャー企業が生まれやすい土壌があります。

韓国はアジア通貨危機後の産業構造の変革によって、日本よりも高い経済成長率を長く維持してきた実績もある。

まずは、割安で優良な韓国株を自分なりの尺度で見つけ出して、投資してみましょう。今後の持続的な成長に期待しながらコツコツ配当を貯めていくのも、韓国株投資の楽しみ方の一つです。

6,韓国株の利回りについてよくある5つのQ&A

韓国株の特徴は?
大手金融グループや大手証券会社の配当利回りが高いこと、大手財閥系の配当性向は上昇傾向にあること、日本でも有名な、注目度の高い大企業が上場していることが挙げられる。

世界的に有名な韓国企業の配当利回りは?
サムソン電子は2.26%、SKハイニックスの配当利回は1.4%である。

韓国株の配当利回りが良い企業の特徴は?
銀行や証券会社、保険会社を中心とする金融グループで、いずれも資産規模が大きく、業績もしくは財務基盤が安定している企業に高配当がみられる。

韓国株投資をする際の注意点は?
半導体関連銘柄などは価格の変動幅が大きいこと、中国の動向に影響を受けること、韓国経済が財閥系グループの業績に左右されること、銘柄によって配当回数や権利付き最終日が異なること、扱う証券会社が少ないので、情報収集が難しいことが挙げられる。

韓国株投資をする際、おすすめの情報収集源は?
韓国株を扱う証券会社で口座を開設して情報収集したり、複数の韓国系ニュースサイト、例えば、中央日報日本語版、朝鮮日報、東亜日報などを購読することがおすすめだ。

実際に株式投資を始めてみる

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執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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