個人投資家の間で中国株投資の人気が高まっており、2020年に取引を始めた人の数が2019年と比べて4倍になったネット証券もある。過去にも中国株ブームはあったが、中国の高い経済成長率や世界的な企業の誕生・台頭などにより、再び投資熱が高まっている。

中国株は日本株と比べて詳細な情報を得にくいため、ハードルが高いと感じる人もいるだろう。しかし積極的に情報を発信する証券会社もあり、ネット証券ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券が中国株に力を入れている。これらのネット証券における中国株取引の違いや、中国株投資のメリット・デメリットについて見ていこう。

目次

  1. 1,中国マーケットの特徴 世界一の人口と高い経済成長性を秘めた巨大市場
  2. 2,ネット証券3社を比較 中国株取扱銘柄数No.1は?
  3. 3,中国株を取り扱う主要ネット証券3社の特徴は?SBI、楽天、マネックス
  4. 4, 中国株の基礎知識
  5. 5,中国株式の3つの市場をチェック 上海、深セン、香港の3取引所の特徴は?
  6. 6,中国株投資で覚えておきたいポイント 日本との時差や値幅制限は?
  7. 7,中国株投資の際に注意しておきたいポイントは?
  8. 8,中国株式投資についてよくある5つのQ&A
  9. 9,実際に中国株投資を始めてみる

1,中国マーケットの特徴 世界一の人口と高い経済成長性を秘めた巨大市場

中国株式投資におすすめのネット証券会社は
(画像=キャプテンフック/stock.adobe.com)

実際に中国株を売買する前に知っておきたいのが、中国マーケットの特徴だ。

外務省によると、中国の人口はおよそ14憶人で日本の11倍以上、言うまでもなく世界一です(出典=外務省、2021年11月16日時点)。
中国は相対的に高い経済成長率が続いており、2021年の実質GDPは8.0%と見込まれている。日本の2.4%、米国の6.0%と比べても高い成長率だ。ただし、これは2020年の実質GDPが落ち込んだ反動によるところもあり、2022年の成長率は5.6%まで緩やかに減速すると見込まれている。(出典=国際通貨基金)とはいえ先進国と新興国の成長率を上回る見通しであり、中国経済が力強く拡大する流れは変わらない。
近藤真理

世界一の人口は豊富で安価な労働力の源であり、それが輸出産業の世界的競争力の優位性を支え、今後も中国の堅調な経済成長を牽引していくと考えられています。

マネックス証券 SBI証券 楽天証券
マネックス証券 SBI証券 楽天証券
香港株のスクリーニング機能が充実 中国株以外にも8ヶ国の取り扱い ネット証券で唯一上海A株の取引可能

2,ネット証券3社を比較 中国株取扱銘柄数No.1は?

中国株式投資におすすめのネット証券会社は
(※マネックス証券のホームページより引用)
SBI証券、楽天証券、マネックス証券のいずれにおいても、特定口座とNISA口座で中国株を取引できる。それ以外の、3社の中国株取扱状況は以下のとおりだ。 なお、以下の表は取扱銘柄数を基準にしたランキングになっている。
中国株取扱状況比較表
証券会
社名
取引できる
市場
取扱個別
銘柄数
中国ETF
銘柄数
取引
手数料
(税込)
注文
受付時間
(日本時間)
注文
方法
入金
方法
マネックス証券 香港
(メインボード、
GEM)
2,300超 28 約定代金の0.275%
※手数料は、最低49.5
香港ドル、
最大495香港ドル
随時受付
※以下の時間帯を除く
(月~土)
3:30~5:30
(日)
3:30~7:30
(香港営業日)
10:13~10:30、
12:58~13:00、
17:07~19:00
原則、指値注文
プレオープニング・
セッションでは、
売りのみ、
成行注文も可能
香港ドル、
または日本円
SBI証券 香港
(メインボード、
GEM)
1,329 22 約定代金の0.286%
※手数料は、最低51.7
香港ドル、
最大517香港ドル
以下を除き
注文受付可能
(月〜金)
17:10〜19:30
(土日)
19:00〜19:30
指値注文のみ 香港ドル、
または日本円
楽天証券 香港
(メインボード、
GEM)
上海
(A株)
1,002 22 約定代金と
取引手数料
10万円以下
550円
10万円超~
100万円未満
約定代金の0.55%
100万円以上
5,500円
以下を除き
注文受付可能
(香港株 月〜金)
10:22〜10:30
17:10〜20:00
(香港株 土日)
2:30〜3:30
5:00〜5:15

(上海A株 月〜金)
16:00〜20:00
3:00〜6:00
(上海A株 土日)
2:30〜3:30
5:00〜5:15
指値注文のみ 日本円
マネックス証券SBI証券楽天証券のサイトをもとに筆者作成、2021年11月16日現在

銘柄数で比較

中国株の取扱銘柄数が最も多いのは、マネックス証券です。2,000銘柄以上を取引でき、これは香港市場に上場するほぼすべての銘柄に相当します。(出典=マネックス証券

買いたい銘柄があっても取引できないと投資機会が逸することになるため、マネックス証券の投資環境は他社よりも優れているといえる。

近藤真理

一方、楽天証券では香港市場に加えて、中国本土の上海A株にも投資できます。マネックス証券とSBI証券では取り扱いがないため、上海A株は楽天証券で取引しましょう。

手数料で比較

各社の中国株の取引手数料は異なり、最も安いのはマネックス証券です。

その次に安いSBI証券とは0.011%の差しかないが、いうまでもなく手数料は安いほうが有利だ。最低手数料と最大手数料も、マネックス証券はSBI証券より安い。

楽天証券の手数料はマネックス証券とSBI証券と比べて割高だが、10万円以下の取引に限っては最も安い。

近藤真理

そのため、10万円以下の金額で取引する場合は楽天証券も選択肢に入ります。

ただし、マネックス証券とSBI証券の手数料は外貨ベースであり、為替水準によっては楽天証券のほうが高くなることもあります。

ETFで比較

中国ETFの取扱銘柄数は、マネックス証券が最も多いです。
ETFとは
ETFとは株式市場に上場する、日経平均株価など特定の指数に連動する運用成果を目指す投資信託のこと。株式と同じように、リアルタイムで売買できる。

中国ETFは香港市場のハンセン指数やH株指数に連動するものが多いが、中には中国以外の海外指数に連動するものもある。

ETFは特定の指数に連動するが、投資対象はさまざまな銘柄に分散されている。1つのETFで特定の市場に広く投資できるため、初心者でも中国市場で容易に分散投資ができる。香港ドルで投資することになるため、通貨分散になることもメリットだ。

個別銘柄は情報収集の面でハードルが高いが、ETFなら個別銘柄ほど詳細な情報は必要ないため、その点でも初心者は中国ETFから始めるのがおすすめだ。

投資できる中国ETFはそれほど多くないが、銘柄数が多いマネックス証券から検討するとよいでしょう。

マネックス証券 SBI証券 楽天証券
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3,中国株を取り扱う主要ネット証券3社の特徴は?SBI、楽天、マネックス

中国市場や株取引について紹介してきたが、ここからは主要なネット証券の中でも中国株を取り扱うSBI証券、楽天証券、マネックス証券の特徴をそれぞれ紹介しよう。

最低コストで中国株投資ができる――マネックス証券

1マネックス証券の中国株の特徴.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

SBI、楽天のネット証券大手2社以外にはマネックス証券でも中国株の取引が可能だ。

中国株の取扱銘柄はSBI証券、楽天証券を抜き、マネックス証券が第一位です。
マネックス証券の中国株の特徴
  • 中国株も米国株も取扱銘柄数がネット証券No.1
  • 外国株をスマートフォンで取引できる

・特徴1,中国株も米国株も取扱銘柄数がネット証券No.1

外国株を取り扱うインターネット専業証券会社の中で、マネックス証券は中国株の個別銘柄の取扱数が2,573銘柄、米国株の取扱銘柄数は4,500銘柄超で、ともに主要ネット証券で圧倒的第1位だ。(2021年12月23日現在)

・特徴2,外国株をスマートフォンで取引できる

主要ネット証券のうち、中国株をスマートフォンから取引できるのはマネックス証券だけ。マネックス証券の証券総合口座を開設すれば、スマートフォンに「マネックス証券アプリ」をダウンロードしてからログインするだけで、パソコンのWEBサイトと同様に中国株の取引ができる。

近藤真理

さらに、無料の米国株専用スマートフォンアプリ「トレードステーション米国株スマートフォン」も提供しています。


SBI証券の特徴は外国株の取扱国数No.1の実績

2SBI証券の中国株の特徴.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部制作)
SBI証券の一番のメリットは中国株投資以外にも外国株の取り扱い国数が多いことです。
近藤真理

中国以外にもアジア株投資を考えている人には向いていると言えるでしょう。

SBI証券の中国株の特徴
  • 外国株取扱国数が主要ネット証券No.1
  • IPO取扱銘柄件数が業界No.1
  • WEBサイト上で入手できる各種情報が豊富

・特徴1,外国株取扱国数が主要ネット証券No.1

SBI証券が取り扱う外国株は中国株をはじめ、米国株、韓国株、ロシア株、ベトナム株、インドネシア株、シンガポール株、タイ株、マレーシア株の9カ国で、ネット証券第1位の国数である。

・特徴2,IPO取扱銘柄件数が業界No.1

2018年4月~2019年3月の新規上場企業は95社。同期間における、SBI証券のIPO取扱銘柄件数は90件であり、証券業界でダントツの第1位だ。

・特徴3,WEBサイト上で入手できる各種情報が豊富

SBI証券のWEBサイト上だけで、マーケットや指数、為替、経済カレンダー、各種レポート、商品別マーケット展望など、多種多様な情報を豊富に入手することができる。


楽天証券の特徴は中国株の選択の幅が広いこと

3楽天証券の中国株の特徴.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部制作)
楽天証券が他のネット証券よりも売買できる中国市場が多いことが大きな特徴です。
楽天証券の中国株の特徴
  • 主要ネット証券で唯一、上海市場A株も取引できる
  • 人気のマーケットスピードを無料で利用できる
  • 中国株の取引でも、楽天スーパーポイントが貯まって便利

・特徴1,主要ネット証券で唯一、上海市場A株も取引できる

楽天証券が取り扱う中国株は、香港証券取引所のメインボードとGEM、さらにもとは中国人向け銘柄であった上海証券取引所A株の主要銘柄を、上海・香港ストックコネクトを経由して取引することができる。

・特徴2,人気のマーケットスピードを無料で利用できる

口座開設者なら誰でも、情報量の多さと、スピーディーな発注で人気の高機能高性能トレーディングツール「マーケットスピード」シリーズを無料で利用できる。

・特徴3,中国株の取引でも、楽天スーパーポイントが貯まって便利

国内株式や投資信託だけでなく、中国株や米国株の取引手数料でも、事前に選択しておくことで取引手数料の1%~2%の楽天スーパーポイントがポイントバックされる。

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香港株のスクリーニング機能が充実 中国株以外にも8ヶ国の取り扱い ネット証券で唯一上海A株の取引可能

4, 中国株の基礎知識

ここでは、中国株の概要について確認したい。

大まかな概要

中国株は、大きく3つに分けられます。中国本土の「上海市場」および「深セン市場」、そして香港の「香港市場」です。

それぞれに証券取引所があり、「上海証券取引所」と「深セン証券取引所」はさらにA株とB株に「香港証券取引所」はメインボードとGEM(Growth Enterprise Market、成長企業市場)に分けられる。

上海市場と深セン市場のA株は主に中国国内の投資家向けの市場で、B株は主に外国人投資家向けの市場だ。香港市場のメインボードは大企業が多く、日本では東証一部市場にあたる。GEMは新興企業が多く、日本だと東証マザーズ市場に近い。

各証券取引所の概要は、以下のとおりだ。

【中国株の内訳】
香港 上海 深セン
取引所 香港証券取引所 上海証券取引所 深セン証券取引所
取引通貨 香港ドル A株:人民元 B株:米ドル A株:人民元 B株:香港ドル
取引時間 (日本時間) 10:00~17:10 10:15~16:00 10:15~16:00
売買単位 銘柄により異なる 買付は100株単位、売却は1株単位
値幅制限 なし 前日終値から原則上下10%、
上場初日は制限なし
取引時間はプレマーケットおよびクロージングオークション、昼休憩を含む
出典:東海東京証券、2021年11月17日時点

中国株はすべての市場で海外投資家が自由に取引できるわけではなく、海外投資家による投資が制限されている市場もある。

しかし、香港市場は海外市場並みに流動性や透明性が高く、世界基準の取引所といえます。

そのため日本の個人投資家にも人気があり、SBI証券、楽天証券、マネックス証券で取引できるのも香港市場である。

香港市場の取引は、香港ドルで行われる。売買単位は銘柄によって異なるが、2,000株単位が多い。上海市場や深セン市場と違い、値幅制限がないのも特徴だ。

それぞれの市場規模は、以下のとおりだ。

上場企業数が最も多いのは「深セン証券取引所A株」で、時価総額は「上海証券取引所」が最も大きい

【中国株の上場企業数&時価総額】
上場企業数(社) 時価総額(兆円)
香港 メインボード 2,200 668.24
GEM 358 1.87
上海 A株 1,643 816.09
B株 47 1.40
深セン A株 2,511 660.88
B株 43 0.96
※2021年11月17日時点
※出典:東洋証券

多様な市場を持つ中国株式だが、すべての株式が外国人に開放されているわけではない。

私たちが投資できる中国株は以下の4つだ。

【外国人が投資できる中国株】
  • 香港市場:メインボード
  • 香港市場:GEM
  • 上海市場:B株
  • 深セン市場:B株
近藤真理

香港証券取引所のメインボードを除き、上場企業数、時価総額ともに少ないため、中国株は、おのずと香港証券取引所のメインボードが主な投資対象になるでしょう。

メリット・デメリット

中国株式のメリットには、以下のようなものがある。

【中国株のメリット】
  • 中国の高い成長性に投資できる
  • 高配当銘柄が多い
  • 日中に取引できる
前章でも触れましたが、中国は経済成長が著しく、新型コロナウイルスの影響が大きかった2020年でも主要国で唯一プラス成長を維持しました。(出典=ウォール・ストリート・ジャーナル

今後も高い成長率が期待されており、実質GDPは2025年まで年間5%前後の成長が見込まれている。

その間に富裕層の数は倍以上に増え、中間層は45%増えると予想する金融機関もある。英シンクタンクによると、2028年にはGDPで米国を抜いて世界最大の経済大国になると予測されている。人口が多いことから、一国で巨大な経済圏を形成しているのも大きな特徴だ。

中国では国の成長とともに世界規模の企業が誕生しており、2020年に米大手コンサルティング会社が発表した「世界で最も革新的な企業50社」には、以下の中国IT大手5社がランクインしている。

  • ファーウェイ(6位)
  • アリババ(7位)
  • テンセント(14位)
  • シャオミ(24位)
  • 京東(31位)

他にも、中国では検索エンジン最大手のバイドゥが香港市場に上場しており、また中国版テスラと呼ばれるニーオも香港市場への上場を計画している。

近藤真理

バイドゥやニーオのような成長著しい企業に投資できるのが、中国株の魅力です。

一般的に、経済成長は株価の値上がり要因です。今後も成長が期待できる中国の株式に投資できることは、中国株投資の大きなメリットです。

高配当銘柄が多いことも中国株の特徴だ。時価総額1兆香港ドル(約14兆円)以上の中国株と時価総額10兆円以上の日本株を比較すると、配当利回り5%以上の銘柄は中国では12社中5社だが、日本は7社中0社である(2021年11月18日時点)。

大型株は市場で一定の評価を得ている企業でもあり、比較的安心して保有しやすい銘柄だが、高配当だとさらに保有し続ける楽しみも増える。中国には高成長企業が多いため、配当を受け取りながらじっくり値上がりを期待することも可能だ。

近藤真理

日中に取引できることも中国株のメリットです。中国株は時差の大きい欧米と異なり、日本とほぼ同じ時間帯で取引できます。大きなニュースが起きた場合なども、タイムリーに売買できるでしょう。

一方、中国株のデメリットとしては以下の3点が挙げられる。

【中国株のデメリット】
  • 情報を入手しにくい
  • 中国政府の政策や動向が大きく影響する
  • 為替手数料がかかる
外国株全般にいえることですが、中国株は国内株と比べて情報を得にくいことがデメリットです。

こちらから積極的に情報を収集する必要がある上に、日本語の決算資料はほぼない。

テレビやネットでも日本株や米国株ほどの情報量はないため、証券会社が発信する中国市場レポートやニュースはチェックするようにしよう。

例えばマネックス証券は中国株情報のメールを配信しており、SBI証券は市場レポートや銘柄レポートを積極的に配信している。楽天証券も、現地の証券会社のアナリストレポートをわかりやすくまとめて配信している。情報の閲覧は無料なので、複数の証券会社に口座を開いて情報を入手するとよいだろう。

また、中国政府の政策や動向にも気を配っておきたい。

中国は政府の意向や政策が企業業績に大きく影響するため、状況が急変する可能性があるからだ。

過去の例では、アリババ傘下で決済サービスのアリペイを運営するアント・グループのIPOが直前になって上場中止となり、それを受けてアリババの株価が急落した。アリババ創業者のジャック・マー氏が中国政府を批判したことで、共産党指導部から圧力がかかったことが原因といわれている。

中国株はこのような政治リスクが先進国株より高いため、中国政府の動きには日頃から注意しておかなければならない。

近藤真理

逆に考えれば、中国政府が優遇する業界や恩恵を受けやすい業種は成長が期待できるため、有利に投資できるチャンスともいえます。

また、中国株は現地通貨で売買を行う必要があるため、取引手数料以外に通貨交換のコストである「為替手数料」がかかることにも注意しましょう。
日本円と香港ドルを交換する場合、SBI証券・楽天証券・マネックス証券とも1香港ドルあたり0.15円かかる。ただしSBI証券では、住信SBIネット銀行で0.05円の手数料で交換した香港ドルを無料で振り替えられる。為替手数料が他社の3分の1で済むため有利だ。SBI証券で中国株を取引するなら、このサービスは利用したい。

楽天証券で上海A株を取引する場合は、中国本土の通貨である人民元で取引し、1人民元あたり0.2円の為替手数料がかかる。

為替水準は損益に大きく関わるため、なるべく円高の時に外貨に交換しておきたい。株価が10%値下がりしても、為替が5%円安になっていれば、トータルの損失を抑えられることもあるからだ。手数料も大切だが、為替水準にも目を向けよう。
近藤真理

外国株全般に言えることですが、中国株の取引コストは国内株に比べて割高です。

どんな人におすすめか

中国株は値動きが大きく、また国内株に比べて情報を得にくい。

中国株については証券会社も情報を発信していますが、個別銘柄への投資は自分で情報を取得できる人や、ある程度中国の株式市場に慣れた人に向いています。

投資初心者は、まずは中国ETFへの投資から始めて、中国の株式市場に慣れてから個別銘柄に投資するとよいだろう。

また、先進国の投資先は米国や日本が一般的だが、中国株は新興国にも投資したい人の選択肢になる。他にも有力な新興国はあるが、中国は市場規模が最も大きく世界中から注目されるマーケットであるため、分散投資先の一つとして検討してほしい。
近藤真理

中国株は値動きが大きいため短期トレードにも向いていますが、それにはスキルが求められます。基本的にはETFや成長性のある株式を保有しながら、中国の長期的成長を狙うとよいでしょう。

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5,中国株式の3つの市場をチェック 上海、深セン、香港の3取引所の特徴は?

4中国の3つのマーケット.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

重厚長大産業からIT産業まで揃う多彩な中国株は、中国本土市場の上海証券取引所と深セン証券取引所、そして香港証券取引所の3取引所で取引されている。まとめると以下のようになる。

中国の株式市場と中国株の取引概要(2021年11月17日現在)

取引所名 分類 取引通貨 売買単位 上場銘柄数
※1
代表的な上場銘柄
中国本土市場 上海証券取引所 A株 人民元 (買付時)
100株
(売付時)
1株以上1株単位
1,643
B株 米ドル 47
深セン証券取引所 A株 人民元 2,511
B株 香港ドル 43
香港証券取引所 メインボード H株
レッドチップ
その他
香港ドル 銘柄によって異なるが、一般的には2,000株 2,200
GEM 358
※1.上場銘柄数は東洋証券ホームページより引用
※2.上記一覧は執筆者が作成した

中国本土市場(上海、深セン)の特徴 ハイアールなども上場

上海証券取引所と深セン証券取引所から構成される中国本土の市場は分類にされる。

• 原則中国人向けの「A株」……人民元で取引可能
• 外国人向けの「B株」……外貨建て(上海市場は米ドル、深セン市場は香港ドル)で取引可能

以下は、各市場に上場する銘柄の一例である。

【上海証券取引所 A株】
• ハイアール・スマート・ホーム <600690> ――冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの白物家電から小型家電製品、スマートホームソリューションまで幅広く提供するグルーバル企業
• チャイナ・マーチャンツ・バンク <600036> ――卸売金融事業、投資銀行業務、インターバンク事業などを行う中国の商業銀行
【深セン証券取引所 A株】
• カイコウイシA <002415> ――HIKVISION(ハイクビジョン)ブランドの防犯カメラやレコーダーの製造販売で世界シェアNo.1

香港市場の特徴 テンセント、レノボなどが上場

香港市場の上場株式は以下に分類される。

• 一般的な「メインボード」
• ベンチャー企業などの中小型株向けの「GEM」

香港市場のメインボードとGEMの銘柄は更に3分類され、売買はすべて香港ドルで売買される。

• 「H株」銘柄……香港市場に上場している中国本土に登記されていて、H株には重厚長大型の中国国営企業が多い。
• 「レッドチップ」銘柄……中国本土で事業を展開しながら、香港やタックスヘイブンなどで登記。通信やテクノロジー関連の有力企業が多い。
• 「その他」……香港の地場企業や香港に上場する外国企業。

以下は香港市場における上場銘柄の一例だ。

【香港証券取引所 メインボード】
テンセント・ホールディングス <00700> ――付加価値サービスやオンライン広告サービスを提供する巨大IT企業グループ 
レノボ・グループ <00992> ――商用向けの「ThinkPad」ブランドや一般消費者向けの「IdeaPad」ブランドパソコンの研究や開発、販売などを手掛けるグルーバル企業
キングソフト <03888> ――オンラインゲーム事業、モバイル広告事業、クラウドサービスやオフィスソフトウェア等事業を世界規模で展開
【香港証券取引所 GEM】
シノ・ビジョン・ワールドワイド・ホールディングス <08086> ――電子商取引事業やオンライン販売プラットフォームを提供する香港の企業
口座開設数No1

SBI証券
中国ETFの
取扱いが豊富


楽天証券
香港市場のほぼ
全銘柄を取引可能


マネックス証券
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(公式サイトへ)

6,中国株投資で覚えておきたいポイント 日本との時差や値幅制限は?

5中国株折引きで覚えておきたいこと.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

中国市場は日本市場と異なる点もいくつかある。実際に中国株に投資したいと考えた時に、チェックしておきたいポイントを紹介しよう。

中国株投資で覚えておきたいポイント
  • 中国は日本との時差が1時間――リアルタイムで取引ができる
  • 香港市場には原則値幅制限なし、中国本土市場には値幅制限あり

ポイント1,中国は日本との時差が1時間――リアルタイムで取引ができる

中国と日本の時差は1時間だ。日本時間にすると、上海市場と深セン市場の立会時間は前場が10:30~12:30、後場が14:00~15:57、香港市場の立会時間は10:30~13:00と14:00~17:00である。

中国市場では、立会時間前に「プレオープニング・セッション」がある。

プレオープニング・セッション

日本市場の「板寄せ」機能をもつ、ザラ場寄付値を形成するための時間帯。

立会時間終了後には、香港証券取引所に上場する全銘柄と、H株とA株重複上場銘柄などの銘柄を対象にした、当日の終値を算出するための「クロージング・オークション・セッション」もある。

いずれの時間帯もリアルタイムに取引できるので、株価に大きな影響を及ぼすニュースが入った際でも、即座に対応できます。
近藤真理

日本で平日が祝祭日にあたるときは、中国株なら日中に落ち着いて取引することもできます。

ポイント2,香港市場には原則値幅制限なし、中国本土市場には値幅制限あり

香港証券取引所では原則的に値幅制限が設けられていないので、株価の高騰によって現物取引でありながら大幅な利益を得ることもできます。

ただし、香港市場上場銘柄には、クロージング・オークション・セッションと、ボラティリティ抑制メカニズム(価格の急激な変動を抑止する規制措置)発動時には値幅制限が設けられる。

加えて指値注文の注文値には制限があり、範囲を超えた注文値で発注すると、注文が「エラー」になることを覚えておきたい。

近藤真理

中国本土の2市場では前日の終値の上下10%の値幅制限が設けられています。上場廃止リスクのあるST銘柄と*ST銘柄については、値幅制限が上下5%となります。

7,中国株投資の際に注意しておきたいポイントは?

近年では、インターネット取引で手数料も以前より安く、多くの香港証券取引所上場銘柄や上海証券取引所A株に投資できる環境が整ってきた。

入手できる中国株投資情報やマーケット情報は国内株や米国株に比べて限定的です。
近藤真理

そのため中国株投資を行う場合は、中国株を取り扱う証券会社のサイトを横断的に活用したいところです。積極的に中国マーケットに関する情報を入手し、銘柄の選択や投資判断に役立てる必要があるでしょう。

8,中国株式投資についてよくある5つのQ&A

中国株式投資をする際に知っておきたい中国マーケットの特徴とは?
IMF資料によると、中国の人口はおよそ14憶人で世界第1位だ。経済成長率の伸びが著しく、実質GDPは2025年まで5%前後の高い成長が見込まれている(2021年11月18日時点)。豊富で安価な労働力の源であり、それが輸出産業の世界的競争力の優位性を支え、今後も中国の堅調な経済成長を牽引していくと考えられる。

中国株取扱銘柄数が多いネット証券会社は?
2021年11月時点でマネックス証券は2,000銘柄超の取り扱いがあり、日本のネット証券の中では最多だ。次点のSBI証券は約1,300銘柄、3位の楽天証券は約1,000銘柄である。

主要ネット証券で唯一、上海市場A株も取引可能である証券会社は?
楽天証券。もとは中国人向け銘柄であった上海証券取引所A株の主要銘柄を、上海・香港ストックコネクトを経由して取引することができる。

中国株式投資をする際に知っておくべきポイントとは?
中国は日本の時差は1時間なので、欧米の市場と違ってリアルタイムで取引ができる。香港証券取引所では原則的に値幅制限が設けられていないので、株価の高騰によって大きな利益を得られる反面、暴落によって大きな損を被るおそれがあることも覚えておこう。

中国株式投資をする際に注意しておきたいポイントとは?
中国株投資情報やマーケット情報は国内株や米国株に比べて限定的な点。中国株投資を行う場合は、中国株を取り扱う証券会社のサイトを横断的に活用して銘柄の選択や投資判断に役立てよう。

9,実際に中国株投資を始めてみる

口座開設数1位、IPO取扱数1位、投信本数1位、外国株取扱国数1位
>>SBI証券の口座開設はこちら

口座開設数2位、外国株や投資信託に強く、マーケットスピードも使える
>>楽天証券の口座開設はこちら

米国株の取り扱いが豊富、ワン株も取引可能
>>マネックス証券の口座開設はこちら

近藤真理
執筆・近藤真理
南山大学外国語学部卒業。野村證券の引受部門で勤務後、ビジネス系翻訳や工業系翻訳業務に従事。
2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。

■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者
南山大学外国語学部卒業。野村證券の引受部門で勤務後、ビジネス系翻訳や工業系翻訳業務に従事。
2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。

■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者

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