iDeCo(イデコ)の加入資格と上限額は?掛金はいくらに設定すればいい?

2020.4.27
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(写真=William Potter/Shutterstock.com)
(写真=William Potter/Shutterstock.com)
iDeCo(イデコ)は非課税メリットを受けながら効率的に老後資金を準備できる便利な制度だ。現役世代の多くが加入できるが、その資格の有無や掛金の上限額は人によって違う。iDeCoの掛金はどのくらいに設定すればいいのか、平均額のデータなどを参考に考えてみよう。

iDeCo(イデコ)の加入資格 加入できない3つのケース

iDeCoは2017年1月の制度改正により、60歳未満で日本国内に居住する国民年金被保険者であれば原則として加入できるようになった。この条件を満たしていれば、パートやアルバイト、派遣社員、フリーランスなど雇用形態に関係なく加入資格がある。ただし、次に該当する人はiDeCoに加入できない。

勤務先の企業型確定拠出年金に加入しており、規約でiDeCoへの同時加入が認められていない人

勤務先の企業型確定拠出年金に加入している人は、原則としてiDeCoには加入できない。ただし、規約によってiDeCoへの同時加入が認められていれば加入できる。

なお、確定拠出年金法等の改正が検討されており、改正されれば規約の定めがない場合でも希望すればiDeCoに加入できるようになる見通しだ。

国民年金保険料の納付を免除されている人(障害基礎年金受給者等は除く)

国民年金保険料の全部または一部の納付を免除されている人は、国民年金の加入者ではあるがiDeCoの加入資格はない。これには所得が少ないなどの理由で保険料免除制度の適用を受けている人や生活保護者などが該当する。

障害基礎年金受給者については、国民年金保険料の納付が免除(法定免除)されるが、iDeCoに加入できる。

農業者年金の被保険者

農業者年金とiDeCoは同時加入が認められていないため、iDeCoに加入することはできない。農業者年金とは、以下の条件を満たす農業従事者が加入できる年金制度だ。
  • 20歳以上60歳未満
  • 国民年金第1号被保険者
  • 年間60日以上農業に従事
iDeCo同様、加入者が拠出した保険料を運用した成果に応じて将来の年金額が決まる「確定拠出」方式が採用されている。

60歳未満という年齢要件は撤廃が検討されている

高齢期の就労が拡大していることを受け、iDeCoの加入要件から60歳未満という要件をなくし、国民年金被保険者であればiDeCoに加入可能とする見直しが検討されている。

年齢要件が撤廃されれば、会社員など国民年金第2号被保険者は、65歳未満であればiDeCoに加入できるようになる。保険料納付済み期間等が480月未満のため、国民年金に任意加入している人も同様に、65歳未満であればiDeCoに加入できるようになる。

iDeCo(イデコ)の掛金の上限額は職業などにより違いがある

iDeCoの掛金は加入者の職業(国民年金種別)や勤務先で加入する企業年金などの有無によって上限額が決まっている。下の表にまとめた。

iDeCoの拠出限度額
国民年金種別 拠出限度額(月額)
第1号被保険者
 (自営業者など)
6万8,000円
            (※1)
第2号被保険者
(会社員・公務員など)
勤務先に企業年金のない会社員 2万3,000円
企業型DCに加入している会社員 2万円
確定給付年金と企業型
DCに加入している会社員
確定給付年金のみに
加入する会社員
公務員など
1万2,000円
第3号被保険者
 (専業主婦/夫) 
2万3,000円
※iDeCo公式サイトを基に筆者作成、2020年4月時点
(※1)国民年金基金・国民年金付加保険料と合算した上限額

自営業者やフリーランスなどのiDeCoの上限額は、厚生年金や企業年金などのある会社員などよりも高めに設定されている。iDeCoの上限額は、公的年金の上乗せ制度である国民年金基金や国民年金の付加保険料と同じ枠内で合算されるため、国民年金基金などへの拠出があれば、iDeCoで拠出できる掛金は減るというわけだ。

会社員は他の企業年金の有無によってiDeCoの拠出限度額に差がある。企業型DCに加入していると、そもそもiDeCoに加入できないケースも多い。iDeCoへの加入を認めない会社では、「マッチング拠出」制度を採用している場合もある。「マッチング拠出」制度では、iDeCoの積立額を増やしたい従業員が希望すれば、任意で企業型DCの掛金を上乗せして拠出できる。

企業型DCの掛金にも上限がある

企業型DCの掛金は次のように上限が決まっている(カッコ内は規約でiDeCoへの加入を認めている場合の上限額)。
  • 確定給付型の企業年金がない場合……月額5万5,000円(3万5,000円)
  • 確定給付型の企業年金がある場合……月額2万7,500円(1万5,500円)
iDeCoへの加入を認めている会社では、企業型DCの拠出限度額がiDeCoの拠出限度額に相当する金額だけ減る。iDeCoに加入できる会社では、会社が拠出する掛金の上限が低くなるため、一概にどちらが有利とはいえない。

iDeCo(イデコ)の掛金は月5,000円以上から、複数月分をまとめて払い込むことも可能

iDeCoの掛金は月5,000円以上、1,000円単位で設定できる。毎月一定額の払い込みが基本だが、複数月分をまとめて払い込む「年単位拠出」も選択できる。

iDeCo(イデコ)の年単位拠出では複数月分の掛金をまとめて払い込める

年単位拠出では、前年12月分から翌年の11月分までの掛金(実際の納付月は1月~12月)を1単位として、この期間を加入者が1区分(年1回拠出)~12区分(毎月拠出)までの任意に区分し、区分した期間(拠出区分)ごとに掛金をまとめて払い込む。

iDeCoの拠出額は拠出区分ごとに、「5,000円×各拠出区分の月数」以上、「1カ月あたりの限度額×各拠出区分の月数」以下の範囲において、1,000円単位の金額で設定する。iDeCoの掛金の納付は各拠出区分最終月の翌月26日に行う。

企業型確定拠出年金に加入する会社員(拠出限度額:月額2万円)が、年単位拠出を行う場合の例をみてみよう。
  • 拠出区分……12月分~3月分、4月分~7月分、8月分~11月分(3区分)
  • 納付月……4月、8月、12月(年3回納付)
  • 拠出限度額……各拠出区分で2万円×4カ月分=8万円
  • 実際の拠出額(下図の場合)
    ……12月分~3月分:6万円
    ……4月分~7月分:6万円
    ……8月分~11月分:12万円(1年内の限度額枠の余り4万円を加えて拠出)
※筆者作成
 
年間の拠出月は年1回以上で任意に設定できるが、11月分(12月納付)の掛金を含む拠出区分の拠出は必ず設定する。また実際の拠出額がその拠出区分の拠出限度額未満であれば、余った限度額枠を次の拠出区分に繰り越せる。ただし、翌年以降への繰り越しはできない。

iDeCoの年単位拠出を希望する場合、「加入者月別掛金登録・変更届」に、「当年の掛金額」と「翌年以降の掛金額」を記入し、国民年金基金連合会へ提出する必要がある。提出はiDeCo口座を開設した金融機関を経由して行うことになる。

会社員はiDeCo(イデコ)の掛金を上限額近くまで拠出している人が多い

iDeCoを運営する国民年金基金連合会の調査によると、2019年9月時点の掛金額の分布と平均額は次の通りだ。

iDeCo加入者の掛金額分布(毎月定額拠出)
掛金額 第1号被保険者
            自営業者など
第2号被保険者
            会社員・公務員
第3号被保険者
            専業主婦/夫
1,000円~ 3万8,679人 20万6,228人 1万2,555人
1万円~ 3万5,523人 51万9,747人 8,242人
1万5,000円~ 5,043人 2万9,649人 1,195人
2万円~ 2万643人 38万3,675人 2万1,758人
2万5,000円~ 2,075人 - -
3万円~ 1万1,196人 - -
3万5,000円~ 1,338人 - -
4万円~ 2,962人 - -
4万5,000円~ 900人 - -
5万円~ 7,815人 - -
5万5,000円~ 641人 - -
6万円~ 2,069人 - -
6万5,000円~ 3万1,967人 - -
平均額 2万7,224円 1万4,089円 1万5,012円
(全体)1万5,691円
※国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2019年9月時点)を基に筆者作成
※年単位拠出の届出をしている加入者を除く

自営業者など第1号被保険者の上限額は6万8,000円であるが、掛金1万円以下の加入者も多く、平均額は2万7,244円となっている。一方で上限額近くまで拠出している人も多く、二極化がみられる。

第2号被保険者(会社員など)や第3号被保険者(専業主婦/夫)は、上限額は低いものの、上限に近い掛金を拠出している人が多い印象だ。

iDeCo(イデコ)の掛金は上限額よりも積み立てたい老後資金額を考慮して設定するのも手

iDeCoの掛金をいくらに設定するかは人それぞれだ。掛金は所得から控除され、運用益も非課税となるため、掛金を増やせばより大きな非課税メリットが期待できる。

一方でiDeCoに拠出したお金は原則60歳まで引き出せないことには注意したい。急な出費に備え、手元に緊急予備資金(生活費の6カ月~1年分)は残しておいたほうが良い。そのうえで教育資金や住宅資金など60歳までに必要な分と、老後に残したいお金のバランスを考慮して掛金を設定することが重要だ。

60歳までに準備したい金額もiDeCoの掛金を決める目安になる

積み立てたお金を受け取れる60歳までに、用意したい金額も掛金を決める目安になる。

現在40歳の人が今から20年間でiDeCoによる積立・運用を行うケースにおける、掛金額と複利運用による運用成果に応じた60歳時点の積立金額は次の通り。

掛金額・運用成果に応じた60歳時点の積立金額(積立期間20年)
掛金額(月額) 積立元本 積立元本+運用益
1%(複利) 3%(複利) 5%(複利)
5,000円 120 万円 133万円 164万円 206万円
1万円 240万円 266万円 328万円 411万円
1万2,000円 288万円 319万円 394万円 493万円
2万円 480万円 531万円 657万円 822万円
2万3,000円 552万円 611万円 755万円 945万円
3万円 720万円 797万円 985万円 1,233万円
5万円 1,200万円 1,328万円 1,642万円 2,055万円
6万8,000円 1,632万円 1,806万円 2,232万円 2,795万円
※楽天証券・積立かんたんシミュレーションを用いて筆者が試算

老後資金など必要となる時期が先になるほど必要額を正確に見積もることは難しいかもしれない。iDeCoの掛金は、まず教育資金などより近い時期に必要となる資金を確保したうえで、家計に無理のない金額で設定すればよい。

iDeCo(イデコ)の上限額は変更できないが掛金額は変更できる

iDeCoの掛金の下限と上限は決まっているが、拠出額は途中で変更することができる。40代なら、子供の教育費の負担が大きい時期は掛金を少なめに設定し、子供が独り立ちしたら上限額まで拠出する、という方法もあるのだ。

iDeCo(イデコ)の掛金額を変更する方法

iDeCoの掛金額は12月から翌年11月(納付月は1月から12月)の間に1回だけ変更ができる。掛金額を変更するには、運営管理機関(iDeCoの口座を開設している銀行・証券会社・保険会社などの金融機関)に「加入者掛金額変更届」を提出する必要がある。

iDeCo(イデコ)の掛金拠出を停止する方法

運営管理機関に「加入者資格喪失届」を提出することにより、掛金額の拠出を停止することもできる。ただし、原則として60歳まで積立金の払い戻しを受けることはできない。iDeCoの掛金拠出停止後は「運用指図者」となり、これまでに拠出したiDeCoの掛金(年金資産)の運用のみを60歳になるまで続けることになる。

iDeCoの運用指図者として年金資産の運用のみ行う場合でも、信託銀行等へ毎月66円(税込)、金融機関によっては数百円程度の手数料を支払う必要がある。

iDeCoの掛金を拠出していない期間は、退職所得控除を計算する際の「勤続年数」にもカウントされない。そのため将来、年金資産を一時金として受け取る場合、控除額が減ってしまい税負担が大きくなる可能性がある。

家計の状況にもよるが、すぐにiDeCoの掛金の拠出をやめるのではなく、最低額の月5,000円に減らして掛金を払い続けるのも一案だ。掛金を払い続ければ、年金資産と控除額の両方を増やすことにつながる。

退職所得控除の計算式は以下になる。

(源泉徴収される前の収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

【退職所得控除額】
  • 勤続年数20年以下の場合……40万円×勤続年数※
  • 勤続年数20年超の場合……800万円+70万円×(勤続年数※-20年)
※1年未満切り上げ

掛金の拠出停止後に拠出を再開したい場合は、iDeCoに新規加入するときと同じ手続きが必要となる。その際には、国民年金基金連合会へ加入時手数料(2,829円・税込)を再度支払う必要がある。

iDeCo(イデコ)を含めた様々な商品・方法を組み合わせて老後資金の準備を

非課税メリットを受けながら資産形成を図れる制度にはiDeCoのほかにNISAやつみたてNISAがある。これらの制度では運用資産をいつでも売却して現金化できるため、iDeCoに比べ流動性が高い。そのほか個人事業主の人などが利用できる小規模企業共済や、民間の生命保険など、老後資金を準備するための商品・方法は多くある。

東吾資金は流動性・安全性・収益性のバランスも考えながら、iDeCoを含めた様々な商品・方法をうまく組み合わせ、活用して準備していくことが大切だ。

文・竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)

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