株式投資を始めるためには、証券口座を開設しなければならない。数ある証券会社の中で、SMBC日興証券にはどのようなメリットがあるのだろうか?ここでは手数料や特徴だけでなく、デメリットまで徹底的に解説する。証券口座選びの参考にしてもらいたい。

目次
1,SMBC日興証券の特徴は?
2,SMBC日興証券の手数料
3,SMBC日興証券の5つのメリット
4,SMBC日興証券の3つのデメリット
5,SMBC日興証券の基本情報
6,SMBC日興証券はどんな人におすすめ?

1,SMBC日興証券の3つの特徴

SMBC日興証券の証券口座の主な特徴として、以下の3点が挙げられる。

特徴1,ダイレクトコースまたは総合コースを選べる

SMBC日興証券では、2つのコースから選択できる。

ダイレクトコースはネット専用で、手数料が安く設定されているのが特徴。またIPO抽選や資産運用サポートサービスなど、ダイレクトコース限定の特典もある。

総合コースは支店の担当者が付き、アドバイスや投資情報の提供を受けながら利用する。総合コース限定で利用可能なコンサルティングサービスでは、資産運用のみならず相続や贈与といった分野の相談もできる。

特徴2,取り扱う商品が幅広い

国内株式や信用取引はもちろんのこと、以下の商品も取り扱っている。

  • 外国株式
  • 投資信託
  • ETF
  • REIT
  • IPO
  • 債券
  • 年金・保険

株式だけでなくさまざまな商品を購入したいが、証券会社の口座をいくつも保有するのが面倒な人は、SMBC日興証券が向いている。

特徴3,IPOに強い

勝率が8割を超え、市場のお祭りともいわれるIPO。なかなか当選しないといわれているが、SMBC日興証券の主幹事件数は野村證券、みずほ証券に次いで国内3位で(2020年1~8月の主幹事銘柄数8件、占有率18.2%)、IPO取扱銘柄数も5位である。

後述するがダイレクトコースにはIPO優遇特典もあるので、IPO投資を検討している投資家はSMBC日興証券での口座開設を検討したほうがよいだろう。

2,SMBC日興証券の手数料

SMBC日興証券は他のネット証券同様、口座開設手数料や維持費はかからないので気軽に口座を開設できる。国内株式取引の手数料は以下のとおりだ。

約定代金 ダイレクトコース
(オンライン手続きの場合)
総合コース
(オンライン手続きの場合)
10万円以下 137円 0.8855%(最低1,925円)
20万円以下 198円
30万円以下 275円
50万円以下 440円
100万円以下 880円
200万円以下 1,650円 0.6930%+1,925円
300万円以下 2,200円 0.6160%+3,465円
400万円以下 3,300円 0.5775%+4,620円
500万円以下 3,300円 0.5390%+6,160円
1,000万円以下 4,950円 0.4620%+1万10円
2,000万円以下 9,900円 0.4235%+1万3,860円
3,000万円以下 1万6,500円 0.3850%+2万1,560円
5,000万円以下 2万7,500円 0.2310%+6万7,760円
5,000万円超 2万7,500円 19万2,500円
※SMBC日興証券の公式ホームページを基に筆者作成

 

手数料は、総合コースよりもダイレクトコースのほうが安い。なおオンライン以外に電話や支店で注文することもできるが、上記よりもさらに手数料が高くなる。

3,SMBC日興証券の5つのメリット

このような特徴のあるSMBC日興証券だが、実際の取引ではどのようなメリットがあるのだろうか?5つのメリットを紹介しよう。

メリット1,ダイレクトコースは信用取引の手数料が無料

ダイレクトコースでは、信用買付・売却の委託手数料が無料だ。

また、現物株式の買付コストを低くすることもできる。信用買付をしてから現引きをする方法を使えば、手数料を節約できるからだ。現引きとは、信用買いの決済において代金を払って現物の株式を引き取ることであり、SMBC日興証券では現引きの手数料も無料である。

ただし信用取引は手数料の代わりに金利が発生するため、コストを抑えるためには同日中に現引きまで完了したい。

メリット2, 投資判断に役立つ情報提供サービスが充実

SMBC日興証券は、投資に役立つ情報提供が多いのもメリットだ。

「AI株式ポートフォリオ診断」は顧客のリスク許容度を踏まえて、効率的な運用が期待できるサービスをAIが提案してくれる。AIがディープラーニングによって国内上場銘柄の期待収益性をスコア化し、新規ポートフォリオの提案だけでなく、すでに保有しているポートフォリオのリバランスも提案してくれる。自分のポートフォリオが適切かどうかわからない人は、利用してみるとよいだろう。

「AI株価見守りサービス」はAIがリアルタイムで国内株式の価格を見守り、売却タイミングを連絡してくれるというもの。また逆日歩の発生率を予測する「逆日歩予報」も利用可能で、信用取引の銘柄選びや取引の判断に役立つ。

メリット3,キンカブやミニ株サービス利用で少額投資が可能

SMBC日興証券では、通常100株単位でしか購入できない国内株式を10株単位から購入できるミニ株サービスも提供している。通常は、株価が5,000円の銘柄を購入するには最低50万円かかるが、ミニ株なら5万円から投資できる。

さらに、100円から投資ができる「キンカブ」というサービスも展開。こちらは株価や単元株にかかわらず、100円以上100円単位の金額を指定した売買や、小数点以下5位までの株式数を指定した売買ができるというもの。

どちらもまとまった資金を用意できない人や、株式投資に慣れてない初心者は活用してほしい。

メリット4, ダイレクトコースにはIPOの特典もある

ダイレクトコースの契約者限定で、IPOの当選確率が上がる特典が用意されている。IPOの一般抽選に当選しなかった場合、ダイレクトコース限定で抽選が実施されるのだ。

この特典では、以下のようにステージ状況に応じて当選確率が最大25倍になる。

ステージ IPO抽選票数 ステージ判定条件
ブロンズ 1票 資産残高250万円以上または
信用取引の建玉金額250万円以上
シルバー 5票 資産残高1,000万円以上または
信用取引の建玉金額1,000万円以上
ゴールド 15票 資産残高3,000万円以上または
信用取引の建玉金額3,000万円以上
プラチナ 25票 資産残高5,000万円以上または
信用取引の建玉金額5,000万円以上
※SMBC日興証券の公式ホームページを基に筆者作成

 

資産残高または信用取引の建玉金額が高いほど、IPO抽選における票数が多くなる仕組みだ。ブロンズは1票だがプラチナは25票であり、当選確率が25倍になることがわかる。

メリット5,三井住友銀行の口座保有者は即時入金が利用でき手数料も優遇される

SMBCグループの強みを活かし、「バンク&トレード」という三井住友銀行との銀証連携サービスも提供している。三井住友銀行のオンラインバンキングである「SMBCダイレクト」を利用することで、SMBC日興証券と三井住友銀行の口座間で資金を即座に移動できる。

口座残高や推移、商品別の状況も1画面で簡単にチェックできるので便利だ。

また、SMBC日興証券を経由して三井住友銀行「日興支店」の普通預金口座を開設すると、「特別金利定期預金」を利用できる。初回限定で1年ものが1.0%と、通常より高い金利が適用されるサービスだ。

4,SMBC日興証券の3つのデメリット

どの証券会社も、利用する上で注意すべき点がある。SMBC日興証券の場合は以下の3点だ。

デメリット1, オンラインでないと取引手数料が高い

SMBC日興証券の国内株式手数料を見るとネット専用のコースが最安で、総合コースはやや高く設定されている。電話や支店で取引をすると、オンラインよりもさらに高くなる。100万円以下の最低手数料を見てみよう。

ダイレクトコース 総合コース
パソコン
スマホ・携帯電話
自動音声
137~880円 0.8855%
(最低1,925円)
オペレーター注文 約定代金の1.07525%
(最低2,337円)
約定代金の1.07525%
(最低2,337円)
支店注文 1.265%
(最低5,500円)
(※SMBC日興証券の公式サイトをもとに筆者作成)

 

支店注文はコンサルティングを受けられるが、手数料が高い。オンラインを利用できないとコスト面では不利になるい。

デメリット2, IPOの当選確率が高いとは限らない

SMBC日興証券は、IPOの取り扱いが豊富だ。しかし、一般投資家向け配分のうち同率抽選にかけられる分は10%のみ、さらにダイレクトコースの特典であるIPOのステージ別抽選も割り当ては5%のみなので、合計で15%程度しか割り当てられない。ステージ別抽選でも、資産や信用取引の規模が少なければ有利にはならない。

SMBC日興証券は口座数が350万以上あり、IPOには多くの応募が集まると考えられるため、当たる確率が高いとは限らない。

IPO投資を考えている場合は複数の証券会社に口座を開設し、申し込み数を増やすのがセオリーだ。よって、そのための1口座と考えるのがよいだろう。

デメリット3, 先物やオプション、FXを取り扱っていない

SMBC日興証券は取り扱う商品のバリエーションも多いが、先物・オプション取引やFX取引はできない。これらの取引を行いたい場合は、別の証券会社に口座を開設する必要がある。

5,SMBC日興証券の基本情報

最後に、SMBC日興証券の会社情報や取扱商品などを整理しておこう。

SMBC日興証券のサービス基本情報一覧(2020年12月22日現在)

会社情報 会社名 SMBC日興証券株式会社
設立 2009年6月15日
資本金 100億円(2020年9月30日時点)
自己資本規制比率 322.4%(2020年9月末)
口座開設数 354万口座(2020年9月)
口座 口座開設手数料 無料
口座管理手数料 無料
入出金・振替 入金方法 日本円、外貨(16通貨)
即時入金 無料(会社負担)
出金日数 午前中に連絡すれば当日中
出金手数料 無料(会社負担)
リアルタイム入金
提携金融機関
三井住友銀行
ツール・サービス PC版取引ツール ・パワートレーダー
スマートフォン版
取引ツール
・SMBC日興証券アプリ
現物株注文方法 ・成行
・指値
執行条件付き注文方法 ・寄付成行
・寄付指値
・引け成行
・引け指値
・指成
・逆指値
取扱商品 株式 ・現物取引
・信用取引
・IPO
・単元未満株(株式ミニ投資)
・キンカブ
・日興フロッギー
・るいとう(株式累積投資)
先物・オプション
外国株 ・米国
・アジア
・ヨーロッパ
・オセアニア
その他 ・投資信託
・ETF
・ETN
・REIT
・CB
株式取扱銘柄 ・東京証券取引所上場株式
・名古屋証券取引所上場株式
・福岡証券取引所上場株式
・札幌証券取引所上場株式
※SMBC日興証券の公式ホームページをもとに筆者作成

 

6,SMBC日興証券はどんな人におすすめ?

ここまでで解説した内容から、SMBC日興証券は以下のような人に向いている。

  • 少額投資をしたい人
  • 投資判断に役立つ情報を入手したい人
  • IPO投資に参加したい人
  • 三井住友銀行の口座を保有している人

野村證券や大和証券と並び、3大証券会社に数えられるSMBC日興証券。歴史があり信頼性も高く、IPOだけでなくキンカブやミニ投資など豊富なサービスが用意されているので、証券口座の開設が初めてという人も検討する価値はあるだろう。

 

近藤真理
執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

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