つみたてNISAで投資を始める前に、その目的を定めてシミュレーションしてみよう。つみたてNISAの目的が決まれば取れるリスクの大きさが定まり、どんな商品を選べばいいのかが見えてくる。専門家に相談すれば細かいシミュレーションもできるが、ここでは3ステップに分けて解説したい。
つみたてNISAでシミュレーションする最初のステップは投資目的を決めることだ。
つみたてNISAの投資目的は老後資金や教育資金、将来の旅行費用、リフォーム代などさまざまである。その人の目的ごとに必要な金額も違えば、使う時期も異なる。これらを考えずにつみたてNISAを始めた場合、目的に見合わないリスクを取り過ぎてしまったり、いざ現金化しようと思っても想定金額よりかなり少なかったりすることもある。つみたてNISAの目的をはっきりさせることで、どのような投資をすればいいのか方向性が見えてくるのだ。
つみたてNISAの投資目的があまり思いつかない場合は、自分の人生でお金が必要になりそうな場面を思い浮かべてみよう。よくあるものとしては、以下の場面が考えられる。
つみたてNISAの目的が明確になると、いつ頃までにどのくらいの金額を準備するのか目標をイメージしやすくなるのではないだろうか。
つみたてNISAではそれぞれの目的に合わせて投資資産やその組み合わせを考えていく。一般的な投資の考え方は、目標時期までの期間を考慮して投資を行う。例えば3年後の住宅購入資金をつみたてNISAで準備する場合、投資期間として3年は短い。そのくらいなら大きなリスクは取らず、値動きを比較的抑えた投資を行うべきである。反対に10年や20年先の資金なら相応のリスクでつみたてNISAへ投資しやすい。
リスクを取るということは、それだけ将来のリターンも期待できる。同時に、投資した資金の変動も大きくなることを意味する。つみたてNISAで短い投資期間に大きなリスクを取れば、必要な時期に値下がりしている可能性も高くなるため、目的を最初に決めてリスク度合いを検討することが大事だ。
つみたてNISAの投資目的が決まったら、次に目標金額を定めよう。目標金額を具体的にすることで、必要な月々の積立金額が算出できる。実際の目標金額は自分の状況に合わせて見積もる必要はあるが、主なライフイベントの平均費用も参考にしてほしい。
主なライフイベント | 平均費用 |
結婚(婚約~新婚旅行まで) | 約467万円 |
教育資金 | 約1,049万円 |
住宅購入 | 約3,340万円 |
夫婦2人の老後生活費 | 約月26万円 |
上記の金額だけ見ると驚くかもしれないが、すべてを最初から貯めておく必要はない。例えば教育資金は子どもの頃からの総額であり、一般的には一番お金のかかる大学費用として500万円前後を準備しておくといわれている。住宅購入資金についても、用意するのは住宅価格の2割程度の頭金が目安だ。老後生活費は年金や退職金などを除いた不足額を概算し目標にするとよい。
あまり目標金額が高いと準備するのも大変だが、つみたてNISAを活用し長期で積立投資ができれば、預貯金だけで貯めるよりも少ない資金で目標に近づけるだろう。ただし目的に合わせてリスクを調整し、つみたてNISAに投資する必要はある。
投資で取るリスクはその目的から考えていくが、何にどのくらいのリスクとリターンがあるのかを知らなければ投資対象は選べない。そこで代表的な資産クラスのリスクとリターンを見てみよう。
資産クラス | 期待リターン | リスク |
国内債券 | 1.0% | 2.0% |
外国債券 | 1.8% | 10.0% |
国内株式 | 4.2% | 18.0% |
外国株式 | 5.0% | 20.0% |
上記の表で押さえてほしいのは、どの資産クラスでも期待リターンを中心にしてリスクの分だけ上下に変動する可能性が高いことだ。国内株式を例にすると、平均的なリターンは4.2%期待できるが、約3分の2の確率でプラス22.2%からマイナス13.8%の間に収まることを意味する。さらに言えば、倍のリスクを加味したプラス40.2%からマイナス31.8%の間に95%の確率で収まるとも想定される。
リスクとリターンの数値は計算する期間によっても変わるため、おおよそ把握するだけで問題ない。基本的には債券より株式、国内より海外の資産のほうがリスクとリターンは高くなる傾向にあると覚えておこう。
長期投資の場合、株式のみに投資する方法もあるが、リスクを抑えて運用するには複数の資産を組み合わせるのが有効だ。特性の異なる資産を組み合わせることで、ある程度のリターンを期待しつつ全体のリスクを抑えられるようになるからだ。
資産配分のパターンは無限にある。この後のシミュレーション例で一部紹介したい。
資産配分に決まった組み合わせはないが、リスクとリターンの大きさで大まかに3つに分けられる。ここでは値動きの小さい安定タイプ、リスクがある代わりに大きなリターンも期待できる積極タイプ、その中間の安定成長タイプに分類した。
タイプ | リターン | リスク | 資産配分割合 | |||
国内債券 | 外国債券 | 国内株式 | 外国株式 | |||
安定 | 2.8% | 3.3% | 70.0% | 16.7% | 10.0% | 3.3% |
安定成長 | 4.5% | 7.5% | 30.0% | 43.3% | 10.0% | 16.7% |
積極 | 7.1% | 14.7% | 3.3% | 16.7% | 30.0% | 50.0% |
つみたてNISAでどのタイプを選ぶかは、つみたてNISAの資金目的による。一例として教育資金500万円を目標に0歳から18歳までつみたてNISAで積み立てる場合を考えてみよう。
教育資金はある時期に必ず用意しなければならないため、大きなリスクは取りづらい。そのためつみたてNISAで安定タイプを選び月1万8,000円を積み立てたとすれば、目標を達成できる可能性が高い。一方、つみたてNISAの投資期間が18年間と比較的長いことを考えるなら、安定成長タイプを選ぶ余地もある。その場合、つみたてNISAの目標達成に必要な積立金額は月1万5,000円程度になる。
このように目的を決めれば取るべきリスクがわかりやすくなり、目標金額を定めることでいくら積み立てればいいのかも明確になる。つみたてNISAでも事前にシミュレーションをしてから始めよう。
投資シミュレーションは金融機関のサイトなどを使えば手軽にできる。その中でもSBI証券のシミュレーターは目的から簡単に試算できる便利なツールだ。SBI証券はつみたてNISAに注力する金融機関のひとつであり、その特徴から見ていこう。
SBI証券は幅広い顧客ニーズに応えるためにサービス全般を充実させているネット証券会社だ。つみたてNISAにおいても多彩なサービスを提供している。つみたてNISAの取り扱い商品数は業界No.1であり選択肢の多さは申し分ない。積立頻度についても毎日・毎週・毎月と3種類の方法を用意しているのはSBI証券のみだ。
便利なサポートツールが充実しているのも特徴だ。例えば「カートつみたて」機能は利用状況がひと目で分かったり複数銘柄の積立設定が一括でできたりするツールだ。スマホ向けには「かんたん積立アプリ」を提供しており、運用状況をいつでも確認できるだけでなく、リスク許容度に合わせた積立スタイルの提案も行ってくれる。
その他にも、つみたてNISAの利用目的から投資スタイルや資産配分をシミュレーションできる専用サービスを提供している。
SBI証券のつみたてNISAシミュレーションは、単に投資資金が将来いくら増えるかを示すだけではない。つみたてNISAの利用目的に合わせて最適な運用プランを提案してくれるのだ。選択できる運用目的は全部で14個ある。
これらの目的から1つ以上を選択すると具体的な運用プランが表示される。運用プランの項目は、「目標金額」、「運用期間」、「毎月の積立金額」、「期待リターン」4つだ。初期状態では運用目的達成に必要とされる一般的な目標金額と数値が設定されている。目標に対する達成見込み金額も表示され、自分で数値を変更して運用プランを調整できる。
具体的な資産配分イメージも提案してくれるため、初心者をはじめ多くの人が参考にできるはずだ。結果に合った銘柄の確認もでき、最終的な商品選びまでサポートしてくれる。自分で資産配分から考えるのは大変だが、こうしたシミュレーションは手間もかからないため1度試してみるのもいいだろう。
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