不動産の賃貸契約では一般的に連帯保証人が必要だが、住宅ローンを組む際にも連帯保証人が必要な場合がある。連帯保証人が必要なケースや、連帯保証人になるリスク、連帯保証人と連帯債務者との違いなどをまとめた。

目次
1.住宅ローンに連帯保証人は原則不要
2.連帯保証人を立てることが条件になる5つのケース
3.連帯保証人、保証人、連帯債務者の違い
4.住宅ローンの連帯保証人になる3つのリスク
5.住宅ローンの連帯保証人から外れる方法
6.連帯保証人が必要=返済できなくなる?
7.住宅ローンの借り入れを検討する

1.住宅ローンに連帯保証人は原則不要

住宅ローンには原則として連帯保証人は不要だ。それには以下のような理由がある。

保証会社が保証するため

現在ほとんどの金融機関では保証会社の保証を受けられることが、住宅ローンを利用するための条件となっている。保証会社は住宅ローン利用者(債務者)が住宅ローンの返済ができなくなった場合に、債務者に代わって金融機関に返済を行う。

保証会社が連帯保証人の役割を果たし、金融機関は貸したお金を回収できない(貸し倒れ)リスクを回避できるため、住宅ローンに連帯保証人は必要ないのだ。

保証会社が代わりに住宅ローンを返済した場合には、住宅ローンの債権者が金融機関から保証会社に変わるだけであり、ローン債務がなくなるわけではない。保証会社から残債の一括返済を求められる場合もあり、返済のため家を売らなければならない可能性もある。

住宅が担保となるため

住宅が担保となるため貸し倒れリスクが低いことも、住宅ローンに連帯保証人が不要な理由といえる。

住宅ローンで購入した住宅(土地・建物)には通常、保証会社または借入先金融機関を抵当権者とする抵当権が設定される。金融機関は住宅ローンの返済が滞れば住宅を競売にかけることができ、売却代金から貸付金を回収できる。

2.住宅ローンで連帯保証人を立てることが条件になる5つのケース

連帯保証人が原則不要の住宅ローンだが、以下のようなケースでは連帯保証人を立てることが条件となる。

⑴収入合算により住宅ローンを組む場合

収入合算とは、本人の収入に配偶者や親などの収入を合算した金額をもとに1本のローンを組む方法をいう。収入合算を行う場合では、収入合算の対象となった配偶者、親が連帯保証人となる。

⑵ペアローンを組む場合

ペアローンとは、同一物件に対して本人と一定の条件を満たす配偶者や親が、自分の収入を基準に各自住宅ローンを組む方法をいう(ローンは2本)。本人と配偶者(または親)のそれぞれが債務者となり、互いに連帯保証人となる。

⑶団体信用生命保険に加入しない(できない)場合

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン返済中に債務者に万一のことがあればローンが免除される保険であり、多くの金融機関で団信に加入することが住宅ローン融資条件のひとつとなっている。

団信に加入しない、あるいは健康上の理由で加入できない人が住宅ローンを利用する場合、法定相続人を連帯保証人とすることが条件となる(担保提供による場合もある)。

⑷共有名義で住宅を購入する場合

土地や建物を共有名義で購入した場合や親の土地に子がローンを組んで家を建てる場合などには、ローン名義人以外の共有者は担保提供者(物上保証人)となる。担保提供者が連帯保証人になることを融資条件としている金融機関も多い。

⑸住宅ローンの融資審査結果により連帯保証人が必要と判断された場合

審査結果により連帯保証人が必要と判断されれば、連帯保証人を立てなければならない。

3.連帯保証人、保証人、連帯債務者の違い

連帯保証人とは、お金を借りた本人(主債務者)が返済できなくなった場合に、本人に代わって返済の義務を負う人のことだ。

連帯保証人と保証人の違い

連帯保証人と保証人の具体的な違いは、以下のとおりだ。
 

内容 連帯保証人 通常の保証人
催告の抗弁権 債権者(金融機関等)
からの返済請求に、
まずは主債務者に
請求するよう
主張できる権利
なし あり
検索の抗弁権 主債務者に返済できる
資力があるにも関わらず
返済しない場合、
債権者からの請求を
拒否して主債務者の
財産に強制執行するよう
主張できる権利
なし あり
分別の利益 複数の保証人がいる場合、
保証人の数に応じて
返済義務を負う
債権額が減少する利益
なし
※債権額全額に
対して返済義務を負う
あり
※債権額を保証人の
数で割った金額に
ついてのみ返済義務を負う
※筆者作成

通常の保証人であれば認められる「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」が、連帯保証人にはいずれも認められていない。そのため、債権者(金融機関等)から返済を求められた場合、主債務者が返済できる状況であっても、連帯債務者は債務を返済しなければならない。事実上、連帯債務者は主債務者とほとんど同じ責任を負うことになるのだ。

住宅ローンにおける連帯債務者と連帯保証人の違い

「連帯債務者」は「連帯保証人」と似ているが、意味は違う。

連帯債務者とは、1つの債権(住宅ローン)を複数人が協力して返済する場合の、自分以外の債務者のことだ。連帯債務者は、それぞれが独立した返済義務を負う。それに対して連帯保証人はそもそも債務者ではなく、主債務者が住宅ローンを返済できなくなってはじめて返済義務が生じる。

住宅ローンにおける連帯債務者と連帯保証人の違いをまとめると、以下のようになる。ここでは、夫または親が(主)債務者となる場合を想定している。
 

連帯債務 連帯保証
親子リレーローン 収入合算 ペアローン
連帯債務型
(フラット35)
連帯保証型
(民間金融機関)
ローン契約 1本 1本 1本 2本
夫(親) 主債務者 主債務者 債務者 債務者兼
連帯保証人
妻(子) 連帯債務者 連帯債務者 連帯保証人 債務者兼
連帯保証人
団体信用生命保険 金融機関により
異なる
どちらも
加入できる
連帯保証人は
加入できない
どちらも
加入できる
住宅ローン控除 どちらも
利用できる
(※1)
どちらも
利用できる
(※1)
連帯保証人は
利用できない
どちらも
利用できる
(※1)
※1 それぞれの返済負担分(持分)に応じて利用できる
※筆者作成

親子リレーローンを利用する場合や、夫婦2人の収入を合算してフラット35を利用する場合など、主債務者とならない夫妻または親子の一方が連帯債務者になる。

同じ住宅を購入するために夫婦(親子)がそれぞれ独立した住宅ローンを組む「ペアローン」では、ローンは2本になる。この場合、夫が債務者のローンでは妻が連帯保証人、妻が債務者のローンでは夫が連帯保証人になる。

また、民間金融機関において収入合算により1本の住宅ローンを契約する場合、主債務者とならない夫婦または親子の一方は「連帯保証人」となるのが一般的だ。

連帯債務者は、自身の持分を取得するために支払う住宅ローン負担分に対して団体信用生命保険に加入でき、住宅ローン控除も利用できる。連帯保証人は債務者ではないため、団体信用生命保険には加入できず、住宅ローン控除も利用できない。

4.住宅ローンの連帯保証人になる3つのリスク

住宅ローンの連帯保証人になると、大きなリスクを負うことになる。連帯保証人になることを依頼されて引き受ける際は、そのリスクについて債務者と連帯保証人が正しく理解していなければ、トラブルの原因になりかねない。

連帯保証人は保証人よりも責任が重い

連帯保証人は主債務者と同じ返済義務を負うことになるため、その責任は通常の保証人よりも重い。金融機関が主債務者に返済を求めるのは難しいと判断すれば、いつ連帯保証人に返済の請求が来てもおかしくない。連帯保証人はその請求を拒否できず、もし返済できなければ資産の差し押さえなどの法的措置を取られるリスクがある。

連帯保証人は個人信用情報に登録される

住宅ローンの連帯保証人になると全国銀行個人信用情報センターに情報が登録され、連帯保証人自身が借り入れなどを行う際に金融機関に参照される。本人が直接借り入れているわけではないが、連帯保証人は債務者と同様の責任を負うため、場合によっては審査に影響が及ぶリスクがある。

保証期間は長期にわたる

住宅ローンの借入期間は30年以上になるケースも多く、連帯保証人は完済までその責任を負うことになる。連帯保証人になってから10年、20年が経ち、連帯保証人であることを忘れた頃に返済を請求されるケースもある。連帯保証人が突然多額の支払いをしなくてはならなくなれば、資金の工面だけでなく心理的な負担も大きいはずだ。

5.住宅ローンの連帯保証人から外れる方法

住宅ローンの連帯保証人から外れるのは、簡単ではない。たとえば、夫婦が互いに連帯保証人になって住宅ローンを組んでいる場合、離婚したとしてもそれを理由に連帯保証人から外れることはできない。

(1)借入先金融機関の承諾を得る

債権者である住宅ローンの借入先の金融機関や保証会社の承諾を得られれば、連帯保証人から外れることができる。ただし、通常は別の連帯保証人を立てたり、債権額に見合った担保を提供したりしなければならない。住宅ローンは金額が大きいため、代わりの連帯保証人を見つけることや、十分な担保を提供することは、そう簡単ではない。

(2)住宅ローンを完済する(一括返済・借り換え)

住宅ローンを完済してしまえば、そもそも連帯保証人である必要がなくなる。この方法では、手元資金で住宅ローンの残債を一括返済するか、他の金融機関の住宅ローンに借り換える必要がある。

住宅ローンの残債が多ければ借り換えることになると思われるが、住宅ローンの借り換えには、新規借り入れの場合と同様に審査があり、契約には手数料もかかる。

6.住宅ローンの連帯保証人が必要=返済できなくなるリスクが高い?

連帯保証人は金融機関が貸し倒れリスクを回避するために立てるものである。そのため、住宅ローンで通常必要のない連帯保証人を立てるよう求められるというのは、その住宅ローンを返済できなくなるリスクが高いということだ。

収入合算やペアローンは本来一人の収入では買えない住宅を購入するための荒技であり、余裕のある住宅購入とはいえない。収入の減少などで計画が狂ってしまえば、せっかく手に入れたマイホームを手放さざるを得なくなるかもしれない。

連帯保証人は立てて終わりではない。連帯保証人が必要となるような住宅ローンの返済計画に無理はないのか、よく考えて住宅ローンの組み方を判断したほうがいいだろう。

住宅ローン各社の比較表

金融機関 住信SBIネット銀行 三菱UFJ銀行 ARUHI auじぶん銀行 ジャパンネット銀行
金利タイプ 変動 固定期間選択 全期間固定 変動 固定期間選択 全期間固定 変動 固定期間選択 全期間固定 変動 固定期間選択 全期間固定 変動 固定期間選択 全期間固定
商品名 ネット専用住宅ローン
通期引下げプラン
ネット専用住宅ローン
当期引下げプラン 固定20年
フラット35
【保証型・買取型】
ネット専用住宅ローン
変動金利選択プラン
ネット専用住宅ローン
固定10年プレミアム住宅ローン
- ARUHI 変動S
(変動金利型)
ARUHI 変動S
(当初固定金利型)10年
ARUHI フラット35S 住宅ローン
全期間引下げプラン(変動)
住宅ローン
当初期間引下げプラン(固定10年)
- 住宅ローン 変動金利
(全期間引下型)
住宅ローン 10年固定
(当初期間引下型)
-
金利 0.32% 1.25%
(固定20年)
【保証型】0.83%
【買取型】0.94%
0.475% 0.84% - 0.70%~1.00% 1.00%~1.30%
(10年固定)
機構団信加入0.99%
団信不加入0.79%
(借入期間:21~35年)
0.410% 0.550%
(固定10年)
- 0.399% 0.620%
(10年固定)
-
保証料 不要 不要 不要 不要 不要 - 金利に上乗せ 金利に上乗せ 不要 不要 不要 - 不要 不要 -
事務手数料
(消費税込)
借入金額×2.20% 借入金額×2.20% 【保証型】借入金額×2.20%
【買取型】借入金額×1.10%
借入金額×2.20% 借入金額×2.20% - 借入金額×2.20% 借入金額×2.20% 返済額に含む 借入金額×2.20% 借入金額×2.20% - 借入金額×2.20% 借入金額×2.20% -
団体信用生命保険料 無料
(全疾病保障団信)
無料
(全疾病保障団信)
【保証型】
無料(全疾病保障団信)
【買取型】
団信加入時の借入金利(新機構団信)
団信加入時の借入金利+0.18%
(新機構団信 デュエット 夫婦連生団信)
団信加入時の借入金利+0.24%
(新3大疾病付機構団信)
無料 無料 - 無料(一般団信)
約240円/月(がん50%保障プラン)
約710円/月(がん100%保障プラン)
約1,180円/月(生活習慣病団信)
団信加入時の借入金利 (機構団信)
団信加入時の借入金利+0.18%
(機構団信 デュエット 夫婦連生団信)
団信加入時の借入金利+0.24%
(3大疾病付機構団信)
団信加入時の借入金利 (機構団信)
団信加入時の借入金利+0.18%
(機構団信 デュエット 夫婦連生団信)
団信加入時の借入金利+0.24%
(3大疾病付機構団信)
無料(一般団信、がん50%保障団信)
年利0.2%(がん100%保障団信)
年利0.3%(ワイド団信、11疾病保障団信)
無料(一般団信、がん50%保障団信)
年利0.2%(がん100%保障団信)
年利0.3%(ワイド団信、11疾病保障団信)
- 無料(一般団信)
年利0.1%(がん50%保障団信)
年利0.2%(がん100%保障団信)
年利0.3%(11疾病保障団信、ワイド団信)
無料(一般団信)
年利0.1%(がん50%保障団信)
年利0.2%(がん100%保障団信)
年利0.3%(11疾病保障団信、ワイド団信)
-
一部繰上返済手数料
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竹国弘城
竹国弘城
証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®︎
HP : https://www.rapportco.com
証券会社、保険代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。RAPPORT Consulting Office 代表。1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®︎
HP : https://www.rapportco.com

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