日銀の金融緩和政策により、住宅ローンは低金利状態が続いている。より低金利の住宅ローンへ、借り換えを検討している人もいるだろう。しかし、既存の住宅ローンの審査には通ったのに、借り換えの審査で落ちるケースもある。なぜ、住宅ローンの借り換え審査に落ちてしまうのか。審査に落ちないためには、どうすればいいのだろうか。
目次
1.借り換えと新規借り入れの審査の違い
2.借り換え審査で落ちないためのポイント
3.借り換え審査に通りやすくする3つの方法
4.現在借りている金融機関に交渉をするのも手
5.住宅ローンの借り換えを検討する
1.住宅ローンの借り換えと新規借り入れの審査の違い
住宅ローンの新規借り入れ審査と借り換え審査には、以下のような違いがある。
住宅ローンの融資率の審査基準は借り換えのほうが新規よりも緩い
住宅ローンの融資率とは、物件価格に対する借入額(融資額)の割合のことだ。住宅ローンの融資では、融資対象の住宅が担保になる。住宅ローンの新規借り入れでは、物件価格の80~100%を融資額の上限としている金融機関が多く、物件価格を上回る借り入れを希望した場合は審査に落ちたり、融資額を減額されたりする可能性が高い。
これに対して住宅ローンの借り換えでは、借入額が物件価格(担保価値)を上回る場合でも比較的審査に通りやすい。日本では、一般的に建物の価値は時間の経過とともに下落し、築後20年で木造住宅の評価額はほぼゼロに、マンションでも半値程度まで下がる。
特に築年数が浅いほど価値が減少するペースが速く、借り入れ直後から住宅の価値が住宅ローンの残債を大きく下回る状態になりやすい。このことは、住宅ローンの審査でも考慮される。住宅ローンの借り換えでは、元金の返済が進んでおり、借入希望額が少なければ、当初の新規借入時よりも審査に通りやすい。
住宅ローンの返済能力の審査基準は借り換えのほうが新規よりも厳しい
住宅ローンの融資率の審査基準が緩い反面、ローン利用者の返済能力については新規借入時よりも厳しく審査される傾向がある。物件の評価額が融資額に比べて低くなるため、住宅ローンの返済ができなくなれば、住宅を売却しても融資を回収しきれないリスクが高まるからだ。
借り換えの審査では、新規借入時の審査項目のほか、現在の住宅ローンの返済状況なども確認される。
2.住宅ローンの借り換え審査に落ちないために確認したい6つのポイント
住宅ローンの借り換えの審査で落ちないために、確認したい主なポイントは以下の6つだ。金融機関は借り手の安定性を最も重視しているため、当初の借入時から勤務先や年収が大きく変化していなければ審査に通る可能性は高い。一方で異業種への転職や収入の大幅な減少、健康状態の悪化などがあると、
住宅ローンの借り換えの審査に通りにくくなる。
(1)住宅ローンの過去の返済履歴――住宅ローンの延滞はないか
現在の住宅ローンの返済履歴は、借り換えの審査において重視される。これまでに住宅ローンの返済を延滞してしまっていると、借り換えの審査に通るのは難しいだろう。直近で住宅ローンの返済に延滞がある場合は、その解消から一定期間、最低でも1年は借り換えを延期したほうがいいだろう。
(2)返済負担率――税込み年収は返済負担率の範囲内か
住宅ローンの審査で重視されるのは年収と返済額のバランスであり、その基準になるのが住宅ローンの返済負担率だ。返済負担率とは税込み年収に対する年間返済額の割合のことで、「年間返済額÷税込み年収×100」で計算される。
当初の住宅ローンの借入時よりも返済負担率が増えて、基準を超えてしまっていると、借り換えの審査に通るのは難しい。住宅ローンの返済負担率の基準は一般的に30~45%以下だが、利用者の年収や金融機関によって異なる。住宅ローンの借り換えを申し込む前に、借り換え先の基準を満たしているかどうかを確認しておきたい。
(3)年収――借入条件を満たしているか
住宅ローンの審査では前述の返済負担率が重視されるので、年収が低いという理由だけで落ちることはない。当初の住宅ローンの借入時から年収が減っていなければ、問題ないだろう。
とはいえ、金融機関が住宅ローンの借入条件としている年収基準を下回ると、借り換えは厳しくなる。年収の最低基準は年収100万~200万円以上とする金融機関が多いが、中には400万円以上とするところもあり、金融機関によって差がある。フラット35であれば返済負担率の基準のみで、年収による足切りはない。
(4)雇用形態――正社員や公務員など安定した雇用形態であるか
雇用形態も、住宅ローンの審査に影響する。自営業者は会社員に比べて審査に通りにくく、派遣社員や契約社員は融資対象にならない金融機関も多い。住宅ローンの借り換えでは当初の借入時よりも年齢が上がっているため、安定した雇用形態でない場合は審査が厳しくなりやすい。
(5)勤続年数――3年以上の勤務年数があるか
住宅ローンを借りた後に転職した場合は、勤務年数に注意したい。勤続年数はなるべく3年以上、少なくとも1年以上あることが望ましい。キャリアアップのための転職など、理由よっては審査で考慮されることもあるので、その旨は金融機関に伝えるようにしたい。
(6)健康状態――団体信用生命保険に加入できる健康状態か
住宅ローンの融資を受けるにあたって、団体信用生命保険の加入が条件となっている金融機関が多い。心臓の疾患や糖尿病など、年齢が上がると健康面の不安も増える。持病があるため団体信用生命保険に加入できないと、借り換えは難しい。
3.住宅ローンの借り換え審査に通りやすくする3つの方法
住宅ローンの借り換え審査に通りやすくするには、以下の3つの方法が効果的だ。
(1)住宅ローンの借り換えを積極的に受け入れている金融機関に申し込む
住宅ローンの新規借り入れの審査に通っており、これまでの返済実績にも問題がないのであれば、借り換えは新規融資よりも貸し倒れリスクは低いと言える。住宅ローンの借り換え時の金利を優遇し、借り換えを積極的に受け入れている金融機関もある。このような金融機関であれば、借り換えは有利に働くため審査に通りやすい。
(2)他の借り入れの返済額をなるべく減らして申し込む
マイカーローンやカードローンなど他の借り入れがある場合はなるべく完済し、毎月の返済額を減らしてから住宅ローンの借り換えを申し込みたいい。毎月の返済額が減ると返済負担率が下がるので、住宅ローンの審査で有利に働くからだ。
既存の借り入れの返済は家計への影響を十分考慮し、無理のない範囲で行おう。カードローンの融資枠やクレジットカードのキャッシング枠は、利用していなくても借り入れと見なされることもある。住宅ローンの借り換えを申し込む前に、なるべく減額や解約をしておこう。
(3)夫婦で収入を合算して申し込む
共働き夫婦の場合、夫婦で収入を合算して借り換えを申し込む方法もある。収入合算の方法には、主に「ペアローン」「連帯債務」「連帯保証」の3つがある。
・ペアローン……同一の物件に対して、夫婦それぞれが住宅ローンを借り入れる方法。夫婦それぞれが債務者(ローン契約は2件)になり、互いに相手のローンの連帯保証人になる。
・連帯債務……夫婦の一方が主債務者になり、もう一方が連帯債務者となって1件の住宅ローンを借り入れる方法。夫婦が同等の返済義務を負う。
・連帯保証……夫婦の一方が債務者になり住宅ローンを借り入れ、もう一方がそのローンの連帯保証人になる方法。連帯保証人は、債務者が返済できなくなってはじめて返済義務を負う。
住宅ローンを単独で借り入れ、住宅の名義が単独名義になっている場合、借り換えによって夫婦のもう一方が新たに住宅ローンを負担するときは注意したい。住宅の持分のない人が住宅ローンを負担すれば、持分のある人への経済的利益の提供と見なされて、贈与税がかかることがある。これを避けるためには税務署や税理士に確認した上で、実態に合った持分割合に変更する必要がある。
4.現在借りている金融機関に金利や借入条件の交渉をするのも手
現在住宅ローンを借りている金融機関に、金利や借入条件を交渉する方法もある。交渉によって条件が良くなるのであれば、借り換えコストが少なくて済む。
住宅ローンの金利の引き下げについて、応じてくれる金融機関は少なくない。他の金融機関で借り換えを試算した結果や、事前審査を受けて通っていれば交渉材料になる。住宅ローンの借り換え前に交渉ができるかどうか、現在の金融機関に打診してみるといいだろう。交渉に応じてもらえなかったとしても特に不利益はなく、改めて他の金融機関への借り換えを検討すればいい。
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