フリーランスって儲かるの?

 先述の通り、私はフリーランス歴1年半の人間ですが、実はフリーランスの「1年生存率」は7割ほど。つまり3割の人間は廃業しています。これは年が経つにつれて顕著になっていき、「フリーランス10年生存率」にいたっては約1割しかありません。これは飲食店などの開業でも同様の話ですね。

 それだけ生存競争が激しい世界なため、何だかんだ1年生き永らえている私は、最近よく「フリーランスって実際どうなん?(儲かるの?)」的な質問をされることが増えてきました。

 経験則を含めて話すと、1年目は正直ドブに捨てる感覚でやらないといけません。特に最初の半年は、就業環境にも慣れる必要があり、最初の正念場です。

 余談ですが私は、フリーランスになる直前に所属していた企業から、事前通告もなしに突然解雇を告げられてしまいました。

 このため「下準備皆無のゼロスタート」でフリーランスをする羽目になった人間だったりします。元々フリーランスをするつもりなんて、これっぽっちもなかったのです。

 ちなみに私がライターになったそもそもの経緯は、“ニート”になった翌日に、「YOU、ライターになっちゃいなYO!」とおたくま編集部から、直々にお誘いが来たからという冗談みたいな理由です。(本当にこう言われました)

 ライティングの実績はプレスリリースを数本書いた程度のド素人によく声をかけてきたとおもいます。しかし、今では500本以上も記事を執筆。いっぱしのライターになったなと、我ながら感心しています(自慢ではありません)。

 失礼、脱線しました。なので当初は、就活や前所属との係争もこなしつつ、成り行きではじめたライターをこなしていくという状況下でした。言うまでもありませんが、フリーランス業というのは、本来は始めるために一定の準備期間があった方が望ましいです。それがあったとしても、上手くいく保障はありませんが……。

 また私の場合、最初の半年間というのは、ライター業に加え、就職活動と前所属との係争も併行して行っていました。言うなれば「余分なこと」をしていたのです。

 ただ、そうしていくうちに、腰かけだったはずのライター業に慣れていき、それなりに板についてきました。加えて、別の仕事のオファーが舞い込み、それがライターと兼務して行える類(SNS運用アドバイザー)だったため、結果として複業をこなすパラレルワーカーになりました。2021年の初めの頃の話です。なお係争の方に関しては、多忙になったために、それに割く時間がなくなり停滞しています。

 というわけで、私のフリーランス生活はかなり特殊なケースといえるのですが、しかし昨今のコロナ禍ですと、案外そういったイレギュラーな形でフリーランスを始めた方が多いようにも感じます。

 そんな中で、これまで継続できてきたのは、サラリーマンでなくても収益化できる「自分だけスキル」があったからだと推察しています。

 先述の通り、「webライター」に関しては、この1年半で新たに培ったスキルですが(今でも「何で声かけたんやろう?」と思うことがあります)、一方で「SNS運用」に関しては、元々私が築き上げた財産。結果的にそれが、生計を立てるものに繋がっているとは不思議なものです。

 なので、これからフリーランス生活を検討している方は、「自分の保有スキルは、会社の後ろ盾(会社の看板)がなくとも通用するノウハウか」ということをまず考えてみてください。

 敢えてこういう言い方をしますが、企業というのは、一定のクオリティが担保されているのが前提ですが、比較的安価に委託可能な取引先が存在するなら、案外そこへ発注する傾向にあります。

 実際に私も、会社員時代に発注側だったことがあるため、これはつくづく感じます。社員というのは、たとえ“ヒラ”でも意外と高コストな存在。“時給換算”にすると、コスパの悪い仕事が間々あるのも理由です。

 そしてその「委託先」というのが、フリーランスだったりもするのです。デザインだったり、SNSや広告運用だったり、プレスリリースの作成(ライティング)だったり……です。余談ですが、先日「大人がなりたい職業ランキング」なるものが発表され、ランクインしていた職業の中に、「ライター」「デザイナー」「プログラマー」といったものがありました。見事な裏付けです。

 ただし、委託をしていた際のやり取りを思い出してみても、支払額は大した額ではありません。実際私の稼ぎも、1年半という期間を考慮しても精々「ギリギリセーフ」といったところ。賞与などを鑑みたら、「いやアウトでしょ」と言われても甘んじて受け入れるしかない程度です。

 念のために言っておきますが、私は発注元に対して、不満を述べているわけではありません。寧ろ恩に感じています。

 しかし……お金というのは本当に大切。私もこの1年半で、随分と「金に細かい人間」になったという自覚があります。コツコツと自分のSNSで発信をするのは、それに対する「現状打破」という側面も有しているのです。

まずは「副業」からはじめてみよう

 ところで私は、「フリーランス絶対主義者」ではありません。ぶっちゃけ向き不向きはあるでしょう。仕事が出来る出来ないに関わらず、「肌に合わない」という方が一定数存在する働き方です。

 ちなみに私は独身ですが、家庭がある中でフリーランス転向を考えている方もいます。しかしながら、収入が安定した社員から、それが不安定なフリーランスへ転向というのは、かなりのハードルを伴います。一歩間違えれば、路頭に迷う可能性も十二分にあるからです。お子さんがいらっしゃれば、毎年何らかの“固定費”が発生します。その点を考慮して見送る方もいるでしょう。

 ですので、まず「副業」レベルで試してみてはいかがでしょうか。私のような「複業」と違って、お小遣い稼ぎで行えるものもあります。そこで腕試しをしてから、フリーランス生活を検討するのも決して遅い話ではありません。その時点で「向いていない」と感じて、社員生活を継続するのもひとつの選択肢です。

 ただし「副業」は、所属企業が予め“法整備”しておかないと、続けるのが難しくもあります。隠れてやっている方も存在しますが、税金の支払いなど余分な手間もありますし、発覚した際のトラブルも憂慮しなければなりません。反面、人材の流出を過度に恐れて、一向にそれを実践しない企業も多く存在します。

 そのため「お試し期間」がなく、「ぶっつけ本番」になるケースが多いというのが現状の問題点。実際のフリーランスのイメージの乖離が発生しているのも、それが要因のひとつでしょう。