目次
<5. 明治神宮の見どころ その2. 明治神宮御苑>
<6. 明治神宮の見どころ その3. 明治神宮ミュージアムと宝物殿>

<5. 明治神宮の見どころ その2. 明治神宮御苑>

武蔵野の里山の面影を留めた「明治神宮御苑(ぎょえん)」。一年を通じて常緑の杜に比べ、御苑は四季の移ろいが楽しめるスポットです。

隔雲亭(かくうんてい)

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

御苑北門の入口からほどなくして現れるのは、明治33年(1900年)に明治天皇が昭憲皇太后のために建てられたご休息所の「隔雲亭」。縁側からは、森に囲まれた静かな南池(なんち)と手入れの行き届いた緑の芝、池畔の老松、ツツジなどの美しい前庭が観賞できるようになっています。

戦禍により一度焼失した建物は昭和33年に再建され、現在はお茶室として使用されていますが、一般公開はされていません。

南池と御釣台

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

御社殿の南側にあることから「南池(なんち)」と呼ばれる大池は、もとは江戸の井伊家の頃から受け継がれる自然の古池でした。その水源は清正井(きよまさのいど)で、夏には睡蓮やコウホネが花を咲かせます。

南池に張り出しているのは「お釣台」。明治天皇のはからいでコイやフナが池に放たれ、昭憲皇太后はここで釣りを楽しまれたそうです。今ではカワセミやサギなど、さまざまな野鳥が訪れる池になっています。

花菖蒲田(はなしょうぶだ)

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=<画像提供:明治神宮>、『たびこふれ』より 引用)

南池の小径を西北に進むと現れるのが「花菖蒲田」。江戸期は稲田だったところを、明治26年(1893年)、明治天皇の思し召しで花菖蒲田に作り替えられ、さらに散策用の小径も設置、花菖蒲を眺める丘には茅葺きの四阿(あずまや)が建てられています。見頃は例年6月。現在150種1,500株もの花菖蒲が植えられています。

清正井(きよまさのいど)

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

花菖蒲田をさらに進むと、木立の物陰にポツンとたたずむ美しい井戸、これがかの有名な、熊本藩主加藤清正が掘ったと伝えられる「清正井(きよまさのいど)」です。コンコンと湧き出る水は毎分約60L、年間を通じて水温は15度前後となっています。

この清水は花菖蒲田から南池、南参道に架かる神橋をくぐり抜け、やがて渋谷にあるキャットストリートの暗渠化された渋谷川(穏田川)へと流れ込みます。

明治神宮のパワースポットとして知られ(後述)、スマホの待ち受け画面にしようと写真撮影に来苑する方が後をたちませんが、手や物品を洗ったり、飲んだり、ペットボトル等に入れて持ち帰ったりすることは禁じられていますのでご注意を。

つつじやま

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

苑内のいたるところに植えられている山ツツジ。清正井から北門出入口へ続く小径には、コナラやヤマザクラの高木に囲まれて山ツツジの群落が咲き誇ります。人の丈以上の大きな古株もあり、まるでツツジのアーケードのようで圧巻。例年の見頃は4月下旬ですが、2021年は10月には返り咲きしていました。

<明治神宮御苑の基本情報>

入苑時間:
9:00~16:30(3月~10月)
8:00~17:00(6月のみ、土日は18:00まで)
9:00~16:00(11月~2月)

年中無休
御苑維持協力金:一人500円

※入苑時間は都合により変更されることがあります
※苑内で三脚を使用した撮影は不可
※動植物の採取、エサやりは禁止

<6. 明治神宮の見どころ その3. 明治神宮ミュージアムと宝物殿>

明治神宮鎮座百年祭記念事業の一環として、令和元年(2019年)10月にオープンした「明治神宮ミュージアム」。杜の百年、杜の一年の歩みを振り返り、そして明治天皇・昭憲皇太后ゆかりの品々が保存・展示されています。

外観

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

杜に溶け込むような落ち着いた基調のモダンなデザインでゆるやかな勾配の屋根が特徴のミュージアム。建築設計は日本を代表する建築家の隈研吾氏が行い、その他VI(ビジュアルアイデンティティ)デザインやサイン計画、展示グラフィックスは日本デザインセンター代表取締役にしてグラフィックデザイナーの原研哉氏が担当。延床面積約3,200平方メートルで、2階建ての構造となっています。

1階 メインロビー

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

1階メインロビーは、杜の中をイメージさせる柱のデザインと、天井高く、おだやかな木漏れ日がロビー全体を包み込む開放的な空間を演出しています。

1階 杜の展示室

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

1階「杜の展示室」には、「杜の百年」「杜の一年」、そして1日、1刻と4つの時間軸に分かれて、年中行事から神職・巫女の日常業務まで、明治神宮にまつわるさまざまな流れが紹介されています。

まずは百年の歴史として、誕生秘話を映像で紹介、さらに明治神宮造営に係る主な出来事を精巧なジオラマで再現した展示がおこなわれています。上の画像は、「永遠の杜」づくりに奮闘するボランティアの若者たち。写真や記録を基に精巧に再現されています。

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

次に、明治神宮の「杜の一年」、つまり年中行事の解説から祭儀に使われる装束や小道具、雅楽の楽器などの展示、さらに映像を通じて巫女や神職らの1日などを知ることができます。

巫女が舞で身につける天冠や檜扇、雅楽の楽器や神職が祭儀で着用する装束など、普段は目にすることがない貴重な品々が間近で鑑賞できます。

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

明治神宮御社殿の全景模型。現在は外拝殿の外側から参拝するのみで(写真撮影も不可)、奥の内拝殿以降の建物を窺うことはできません。その意味で、本殿など裏側の構造がわかる模型は興味深いですね。

2階 ロビー

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

2階ロビーは全面ガラス張りで木漏れ日があたたかく、1階同様開放的な空間となっています。ベンチに座って、杜や参道の様子をのんびり眺めることができます。

2階 宝物展示室・企画展示室 宝物展示室には、重要文化財として現存する明治神宮宝物殿に収蔵された、明治天皇および昭憲皇太后ゆかりの品々が展示されています。

たとえば、イタリア人画家エドアルド・キヨッソーネが写生して描いた明治天皇・昭憲皇太后の御尊影(肖像画)や、明治22年(1889年)の憲法発布の日に行幸啓(天皇と皇后がご一緒に外出されること)で御乗車になった英国製の国儀車「六頭曳儀装車(ろくとうびきぎそうしゃ)」、明治天皇が実際に愛用されていた「御常用御机」、質素倹約を旨とした明治天皇のお人柄が表れる短くなった鉛筆、軍服、御箪笥などが展示されています。

そのほか、企画展として、明治天皇ゆかりの装束、明治維新の立役者である三条実美や木戸孝允、大久保利通らの書が記された掛け軸、絵画、古事記・日本書紀などの歴史書の書物なども併せて展示されていました。

<明治神宮ミュージアムの基本情報>

  • 開館時間:10:00~16:30(最終入館は閉館30分前)
  • 休館日:毎週木曜日(木曜日が祝日の場合は開館)※展示替期間も休館
  • 入館料:一般1,000円、高校生以下900円 * ※小学生未満無料
    ※小学生以下の入館は保護者同伴必須
    ※館内撮影禁止

明治神宮 宝物殿

明治神宮と永遠の杜~初詣参拝者数1位である明治神宮の歴史と見どころ~
(画像=『たびこふれ』より 引用)

明治神宮創建の翌年である大正10年(1921年)11月に竣工したのが、明治神宮境内北側にある「宝物殿」です。奈良・正倉院の高床式校倉造りを模した鉄筋コンクリートの建築物で、国の重要文化財にも指定されています。

宝物殿では明治天皇・昭憲皇太后ゆかりの御物を収蔵・展示されていましたが、東日本大震災の被災により修復および耐震補強工事のため平成29年(2017年)1月より休館、そして宝物殿開館百年の節目を迎えた令和3年(2021年)に修復工事が無事完了しています。