(本記事は、植西 聰氏の著書『怒らないコツ 「ゆるせない」が消える95のことば』=自由国民社、2018年10月17日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

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周りの人と「報連相」で意思疎通をはかっていく

誤解や思い違いから、怒りの感情が生じる

コミュニケーション能力を高めることが、「怒らないコツ」の一つになります。

コミュニケーション能力が低い人は、身近な人たちと上手に意思疎通をはかることができません。いわば「わかり合う関係」を築いていくことが下手なのです。

そのために、様々な誤解や思い違いが生まれます。そして、そこに、
「どうして、あの人はわかってくれないのか」
「なぜ、あの人は私にこんなことを押しつけてくるのか」

といった怒りが生じてしまうことになります。そういう意味では、日頃から周りの人たちとのコミュニケーションを密にしておく必要があります。

自分が今どういう状況にあり、どのような問題を抱え、どういう気持ちでいるのかを、周りの人たちによく知ってもらうことが大事です。

同時に、自分も、周りの人たちの状況をよく知っておく必要があります。そのようにして日頃から意思疎通をはかっておくことで、誤解や思い違いから感情を荒立てたり、誰かと言い争うということも少なくなっていくのです。

コミュニケーション能力を高める基本は、「報連相」にあります。

周りの人たちへの報告、連絡、相談をひんぱんに行う、ということです。「あの人なら、言わなくてもわかっているだろう」とは思わずに、どんなことでも報告、連絡、相談を行っていくほうが良いと思います。それが「わかり合う関係」を築いていくコツになります。

コミュニケーション不足は、修復不可能な関係を生み出す

意思疎通をしないと誤解→怒りの原因になる

夫婦が離婚する最大の原因は、「コミュニケーション不足」にあるといわれています。

たとえば、夫が仕事に忙しく、朝早く家を出ていき、夜遅く帰宅するという毎日です。地方への出張もよくあります。

そのために夫婦間のコミュニケーションが少なくなってくるのです。特に、夫婦共働きであれば、一層コミュニケーションが少なくなってしまうのです。このコミュニケーション不足が続いていくと、そのうちに、お互いに疑心暗鬼になっていきます。

「あの人の私への気持ちは冷さめてしまったのではないか」
「もしかしたら、私が知らないところで、私を裏切るようなことをしているのではないか」
といった誤解が生まれてくるのです。

それに伴って、相手への腹立たしい気持ちも募のっていきます。そして、ちょっとしたことで口ゲンカになってしまいます。その結果、離婚になるケースもあるのです。

お互いに、本心では別れたくないと思いながら、修復不可能な関係になってしまいます。このように人間関係が悪化していくパターンは夫婦のみならず、友人関係や、親子関係でもあるように思います。やはり大切なのは、修復不可能な関係になる前に、コミュニケーションをよく取っていくことなのです。

「決めつけの一言」が、相手を本気で怒らせてしまう

相手の人格を決めつけることは言わない

ちょっとした一言が、相手を怒らせてしまうことがあります。もちろん怒った相手は、激しく言い返してきます。ひどい言葉で言い返されれば、こちらもムカッときてまた言い返します。そうやって、口ゲンカがどんどんエスカレートしてしまうのです。

そのような「ちょっとした一言」にどのようなものがあるのかと言えば、たとえば、相手の人格を決めつけるような言葉です。
「あなたって、何をやらせてもダメなのね」
「君は、決断力がない人間なんだなあ」
「結局、あなたは何もわかっていないんだ」
「だから、君は何をやってもうまくいかないんだよ」

このように、悪い意味でレッテル貼りをされるような言い方をされれば、当然相手はカチンときます。そして、怒って言い返してくるでしょう。

しかしながら、そのような「決めつけの一言」を言う側とすれば、「こんなことを言っても、相手が怒ることはないだろう」という軽い気持ちでいる場合が多いようです。そのために、不用意に「決めつけの一言」を発してしまうのです。

しかし、「決めつけの一言」は相手を怒らせます。もし自分が「あなたって~」といった言い方で、自分の人格を悪い意味で決めつけられるような言い方をされたら、やはりカチンときてしまうはずです。それがわかれば、相手に対して不用意に「決めつけの一言」を口にすることを控えられるようになると思います。

頼み事をする時には、最初に相手をほめてからにする

非難しながら要求してはいけない

一方的な口調で相手を非難するようなことを言うのは控えたほうが賢明です。

たとえば、「あなたの仕事のやり方が悪いから、私が迷惑しているのがわからないんですか。どうにかしてくれませんか」「あなたがノロノロしているから、この部署全体の雰囲気がダラダラしたものになってしまうんだ」というような言い方です。

こんな言われ方をしたら、相手は腹を立てて、「そういう君だって、こちらに迷惑をかけているじゃないか」「いつ私がダラダラしていたというのだ。ダラダラしているのは、そちらじゃないか」と言い返してくるでしょう。

そうなれば、お互いにカンカンに怒りながら言い争う、ということになるのです。相手に何かを要請したい時には、その言い方に注意しなければなりません。

その際に大切なのは「相手の非を責める」のではなく、あくまでも謙虚な態度で「お願いする」という言い方をすることです。そして、その際には、「ほめてから、お願いする」というのが上手な話し方になります。

「がんばってくれて、ありがとう。さらに、こういう工夫をしてくれれば、こちらも仕事をやりやすくなるんですが、お願いできますか」「慎重に仕事を進めてくれるから、こちらも助かります。でも、締め切りが迫っているから、もう少しペースを速めたほうがいいよ」といった言い方です。

最初にほめておくことで、相手を不用意に怒らせることはないでしょう。自分自身も、相手から言い返されて怒ることもなくなります。
 

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植西 聰(うえにし・あきら)
東京都出身。著述家。学習院大学卒業後、資生堂に勤務。独立後、人生論の研究に従事。独自の『成心学』理論を確立し、人々を明るく元気づける著述を開始。
 

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