アラフォーがそろそろ意識しなくてはならないのが「相続」だ。年々相続争いの件数が増えているという調査結果もある。いわゆる「争続」を避けるために、40代のうちにやっておくべきこととは何だろうか。
すべきこと1 いきなり遺言ではなくエンディングノートを勧める
「争続」を避けるには遺言が有効だと言っても、親に対していきなり「遺言を書いて欲しい」とはなかなか言えないものである。
ところがエンディングノートとなると、不思議と書くのを勧めやすい。終活という言葉が一般的になったためだろう。
エンディングノートにはこれからのライフプランや夢などを書くこともできて、「死」を深く考えるのではなく、むしろ「今後の充実した生活」に重きが置かれている。
遺言を作成するよりは、かなり心理的なハードルが下がるだろう。
実は遺言作成へのファーストステップになっている
実は、エンディングノートには「遺言の下書き」的な要素もある。
相続争いを避けるには「相続される人(つまり亡くなる人)の財産分与の意思が明確になっている」ことが条件の一つだが、エンディングノートの資産のページを埋めていくことで、自然に「どの財産を、誰に、どれくらい渡す」か、考えることになるだろう。
エンディングノートを書き始めることが遺言の作成につながり、結果的には相続争いを避けることになるのだ。
被相続人と相続人の「気持ち」を知る 伝えないと相手には分からない
相続争いが起こる原因は、複数の相続人がいてそれぞれに欲しいものがあるが、結果的にその通りに財産分与が行われないことだ。
この条件の中で「相続人の人数」はどうすることもできないが、方針を明確にしてもらうことはできる。
筆者の経験からすると、親は遺言を書く際に子の意見ではなく自分の考えを優先することが多い。よって、子は「親には自分の考えを知ってもらおう」という気持ちで、丁寧に考えを伝える必要がある。
すべきこと2 親が元気なうちに話し合っておく
財産分与が上手くいかないケースによくみられるのは、「不動産はあるが、現金がない」ことである。
最近では、子供は実家以外に居を構えるのが一般的になっているので、相続では子供たちは実家の不動産ではなく現金を欲しがるだろう。
ところが現金がない場合は、子供たちで分けることもままならず不動産を相続してしまうことになる。そうして子供同士などで争いが起こるのだ。一方、不動産が欲しかったのに現金を相続してしまうケースも起こりえる。
このようなミスマッチを避けるには、原始的な方法だが、相続人予定者同士で親が元気なうちに財産分与のことを確認しておくことだ。
ここでのポイントは、「親が元気なうちに」ということである。元気なうちに話し合うことで、その場しのぎの財産分与で争いが起こることを避けるだけではなく、もし現金がない場合の対策を講ずることも可能になるのだ。
例えば、不要な不動産を処分して現金化するとか、親が子を受取人とする死亡保険に加入するといった対策ができるのも、親が元気で健康面の不安もなく保険に加入できるからだ。判断能力があるうちだからこそ、不要な不動産の処分を検討できる。
その意味からも、子供が欲しい財産を明確にして、他の相続人予定者や親に知らせることは意味があると言える。
文・石川 智(ファイナンシャル・プランナー、終活アドバイザー)
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