「ポイ活 」を考える ときに、毎月確実にかか る公共料金の支払いでポイントを獲得するかしないか の違いは大きな差を生むことになる。また、工夫次第で公共料金でもポイント多重取りが可能だ。ここでは、公共料金によるポイ活手法を紹介しよう。

公共料金でポイ活するための基礎知識

毎月確実にかか る公共料金として、一般的に 電気・ガス・水道・電話などの料金が挙げられる。ここではそれに加え、広義の公共料金として新聞購読、保険、税金など も取り上げる。

まず、公共料金でポイントを獲得するために知っておきたい基礎知識から紹介しよう。

クレジット決済ポイント

多くのクレジットカードでは公共料金の支払いでも、通常のカードショッピングと同じくポイントを ためられる。複数のカードを持っている場合、次の3点を確認して最もメリットのあるものを選ぶといいだろう。

・公共料金の支払いでポイントが付与されるか
・公共料金の支払いに 伴う特典があるか
・ポイント還元率

このうちポイント還元率 は、公共料金の支払い分だけポイント付与率が変わるものがあるので、よく確認しておきたい。例えば、「楽天カード」は還元率1% の高還元率が高い評価を得ているクレジットカードだが、電気・ガス・水道料金や税金 など は0.2%還元だ。

なお、クレジットカードの公式サイトの中には、そこから直接、公共料金の毎月の支払いを設定できたり、公共料金各社へのリンクがまとまっていたりするものがある。支払いの申し込みの際に便利なので、支払いに使いたいクレジットカードがあればサイト内を確認してみるといいだろう。

通信系クレジットカードにおけるポイントアップ

電話会社・携帯キャリアが発行するクレジットカードの中には、毎月の通信料金に高還元率が適用されるものがある。

・dカードGOLD
NTTドコモの「dカードGOLD」は通常1%のポイント還元率だが、ドコモの携帯・ドコモ光の利用料金 は10%のポイント還元率となる。

・au PAYゴールドカード
KDDIの「au PAYゴールドカード」は通常1%のポイント還元率だが、au携帯電話利用料金の支払いでは最大11 %ポイント還元となる。

・NTTグループカードレギュラー
NTTファイナンスの「NTTグループカードレギュラー」では、ポイントサービスを選択可能。「おまとめキャッシュバックコース」を選ぶと、対象となる毎月の通信料金(NTT東・西、NTTドコモ、OCN、スカパー!など)とクレジット利用額から算出されたキャッシュバック額による高還元率が期待できる。 例えば、毎月1万5,000 円以上の対象通信料金と10万円のクレジット利用があれば 1,200円のキャッシュバック額となり、還元率換算では1.2%相当となる。

なお上記のうち、「dカードGOLD」と「au PAYゴールドカード」は年会費として毎年1万 1,000円(税込)がかかるので、ポイントの面だけでなくカードの特典内容 も、自分にとって年会費に見合うだけのメリットがあるかどうかよく検討してほしい。

電力会社やガス会社のポイントサービス

一部の電力会社やガス会社(東京電力エナジーパートナー、関西電力、中部電力カミライズ、auでんき、楽天でんき、東京ガス など)では、ポイントサービスが提供されている。

自身が利用している電気・ガス会社にそうしたポイントサービスがあるか、ポイントが たまる設定を済ませているかをしっかり確認しておきたい。

共通ポイント

電力会社やガス会社では月々の利用料金支払い時や契約時に共通ポイントが付与される設定ができるところがある。 新聞購読料に共通ポイントが付与されるケースもある。   複数の共通ポイントを選択可能な場合でも、それらの共通ポイントの多重取りはできないので、自分にとってまとめやすいポイントを選ぶといいだろう。 例えば、西部ガスでは「Tポイント」「Pontaポイント」「楽天ポイント」「WAONポイント」「JRキューポ」「nimocaポイント」「dポイント」から選び、0.5%の還元率でポイントを ためられる。

なお、こうした仕組みは自社でポイントサービスを独自に設定していない会社が、共通ポイントを利用したものとも考えられ、電力会社・ガス会社 などの独自ポイントの2重取りは狙えないと考えた 方がいい。

次に、「Tポイント」「dポイント」「Pontaポイント」「楽天ポイント」について、公共料金の還元率を紹介する。

《Tポイント》
対象サービス・社名 ポイント還元率
西部ガス 0.5%
ENEOSでんき
ENEOS都市ガス
伊藤忠エネクスグループ・
エネアークグループ・エコア
くらしでんき
ソフトバンク
トーンモバイル
Misumiグループ(ガス・電気) 1%
サミットエナジー
エバーグリーン・リテイリング 1%~
毎日新聞 新規購読(6ヵ月以上)時に
1,200ポイントなど
(※Tカードのホームページを元に筆者作成)
《dポイント》
対象サービス・社名 ポイント還元率
イデックスでんき 1%
サミットエナジー
九州エナジー
アフラック
OCN
大阪ガス
(スタイルプランd)
1%~6%
CDエナジーダイレクト
(ポイントでんき(d))
沖縄ガスのでんき 新規申し込み時に
1,000ポイント
九電みらいエナジー
(dポイントプラン)
2%
KBNでんき Point Plus 新規契約時に
5,000ポイント他
コスモでんき
ポイントプラス
1%~5%
東邦ガス
(ポイントでんきプラン)
2%~8%
エバーグリーン
プレミアムポイントプラン
(dポイント)
1%~3%
朝日新聞デジタル 3ヵ月購読で2,000ポイント、
1年購読で9,000ポイント
ASA
(朝日新聞販売所)
6ヵ月以上の購読で
1,200ポイント他
(※dカードのホームページを元に筆者作成)
《Pontaポイント》
対象サービス・社名 ポイント還元率
auでんき 月々の電気代1万3,000円~で390ポイント、
あるいは650ポイント(auユーザー)
エネワン 0.5%
ガスワン
西部ガス 0.5%他
Pontaでんき 月々の電気代
1万3,000円~で650ポイント
(auユーザー)
まちエネ 1%
Pontaかんたん保険
ミツウロコでんき 新規契約で3,000ポイント、
契約継続6ヵ月ごとに500ポイント
朝日新聞デジタル 6ヵ月購読申し込みで
4,000ポイント
(※リクルートカードのホームページを元に筆者作成)
《楽天ポイント》
対象サービス・社名 ポイント還元率
CDエナジーダイレクト 1%
コーアガス日本
カメイ 0.5%
西部ガス
楽天てんき・ガス でんき単体で0.5%、でんき・ガスのセットで1%、
セットの申し込みで初回3,000ポイント
(※楽天カードのホームページを元に筆者作成)

銀行の口座振替利用ポイント

一部の銀行では、公共料金 の口座振替(引落)でポイントが付与されるところがある。ここでは、比較的ポイント付与数が高い銀行を3つ紹介する。

銀行名 ポイント名 還元率
イオン銀行 WAONポイント 1件につき5ポイント
(5円相当)※
楽天銀行 楽天ポイント 1件につき1~3ポイント
(1~3円相当)
新生銀行 Tポイント、dポイント、
nanacoポイントのいずれか
1件につき50ポイント
(50円相当)、
月最大100ポイント
(100円相当)
※クレジットカード「イオンカードセレクト」(年会費無料)を持っていることが条件
(※各銀行のホームページを元に筆者作成)

Yahoo公金支払い

「Yahoo!公金支払い」では、水道料金のほか各種税金(住民税・固定資産税・自動車税 など)、国民健康保険料、介護保険料などをクレジットカードで支払 えるため、クレジット決済ポイントを獲得可能だ。

水道料金や税金、 保険料 は各自治体によって支払えるかどうか対応が異なってくるので、「Yahoo!公金支払い」で確認してみるといいだろう。

PayPay請求書払い

スマホ決済の「PayPay」では、公共料金の請求書を使ってスマホで支払いができる。支払い可能なのは電気・ガス・水道料金のほか、一部地方公共団体の保険料や税金など。

支払い額に応じてポイント「PayPayボーナス」が付与され、還元率は「PayPay」の利用状況に応じて0.5%~最大1.5%。支払うには「PayPay残高」が必要で、「ヤフーカード」によるクレジットチャージが可能だ。ただし、チャージ分に対するポイント付与はないので、クレジット利用ポイントとのポイント2重取りはできない。

ApplePayに登録した「nanaco」による支払い

iPhoneなどのApple Payに登録した「nanaco」を使うとセブン ‐イレブンで公共料金を支払 える。支払える公共料金は、電気料金、ガス料金、電話料金、水道料金、保険料金、NHK受信料、国民年金保険料、各種税金など。

通常、「nanaco」へのクレジットチャージはセブン‐イレブンのクレジットカードのみとなるが、Apple Payの「nanaco」にはMasterCard、JCB、アメリカンエキスプレスの国際ブランドのついたカードであればチャージ可能。そこで、高還元率のカードでチャージした「nanaco」で公共料金を支払うことで効率よくポイントを ためられることになる。

ただし、公共料金では「nanaco」利用時のポイントは付与されないので、クレジット利用ポイントとの2重取りはできない。

公共料金の支払いには金額によって110円から440円の手数料がかかるので、クレジット決済で直接支払えるもの はそうした 方が良い。

「Kyash」による支払い

プリペイドカードの「Kyash」にクレジットカードからチャージし、そこから支払うことでポイント2重取りが可能となる。オンライン決済のみ可能な「Kyash Card Virtual」なら年会費無料だ。

2重取りとして上乗せ可能なポイントは0.2%還元で、月間の上限として100ポイント(100円相当ポイント)まで なので、獲得できるポイント数は決して大きくはない。しかし、年会費無料 を考えればメリットはある。

公共料金の支払いでポイント多重取りする6つの方法

公共料金の支払いにおけるポイント多重取りの具体的な例 を紹介しよう。

【電力・ガス会社独自ポイント+クレジット決済】の2重取り

独自ポイントのある電力会社やガス会社で料金をクレジット決済すると2重取りとなる。東京電力エナジーパートナーの場合、対象となる料金プランでは毎月1回の公式サイトログインにより50ポイント(50円相当)を獲得可能。

そこへクレジット決済ポイントが加わることになるが、支払いに使うなら高還元で、かつ公共料金の支払いでも還元率が変わらない「dカード」や「リクルートカード」がいいだろう。ポイント獲得例は次の 通り。

《東京電力エナジーパートナーでのポイント獲得例》
クレジットカード名 くらしTEPCOポイント クレジット決済ポイント還元率 合計還元率
dカード 50円相当
ポイント/月
1% 1%+月50円相当
リクルートカード 1.2% 1.2%+月50円相当
(※各カード会社のホームページを元に筆者作成)

【共通ポイント+クレジット決済】の2重取り

共通ポイントを獲得できる電力会社やガス会社 などでクレジット決済すると2重取りに。 例えば、西部ガスなら0.5%還元の「Tポイント」が付与され、クレジット決済ポイントにその分上乗せできる。

《西部ガスでのポイント獲得例》
クレジットカード名 くらしTEPCOポイント クレジット決済ポイント還元率 合計還元率
dカード 0.5% 1% 1.5%
リクルートカード 1.2% 1.7%
(※各カード会社のホームページを元に筆者作成)

なお、「dカード」にはカード特約店 の仕組みがあり、特約店 の電力会社やガス会社 などではポイントアップが適用される。 例えば、イデックスでんきでは「dポイント」の共通ポイントとしての適用分1%と、通常のクレジット決済ポイント1%、さらに特約店としてのポイントアップ分0.5%の合計で2.5%もの還元率となる。

【共通ポイント+銀行口座振替利用ポイント】の2重取り

公共料金の支払いでポイントが付与される銀行を使用し、かつ共通ポイントも利用できる場合は2重取りが可能だ。 例えば、1%分の共通ポイントが付与される公共料金を新生銀行で支払う場合、銀行で50円相当ポイントが付与され、1%分の共通ポイントにそれを上乗せする形となる。

【共通ポイント+PayPay請求書払い】の2重取り

PayPay請求書払いでは、PayPayの利用状況に応じて0.5%~1.5%のポイント還元率となる。まず、PayPayで30回の支払い(各回300円以上)と月5万円の支払いを達成すると +0.5%で1%に。さらに、対象サービスの利用やYahoo !プレミアム会員資格、PayPayとヤフーアカウントの連携などの条件を満たすとさらに +0.5%のポイントアップとなる。

以上のポイントアップ適用条件を容易に満たせる人であれば、PayPay請求書払いのメリットは非常に大きく、ここに共通ポイントが加われば合わせて2.5%以上の還元も可能となる。

ただし、それぞれの+ 0.5%が適用されるのは1回7,500円分、月間1万5,000 円分までとなるので、その点は留意したい。

東邦ガスの電気料金が 7,000円の場合で考えると、4%分の「dポイント」をまず獲得可能。 さらに、PayPay請求書払いで最大1.5%分を獲得し、合計で5.5%還元となる。

【共通ポイント+Kyash決済ポイント+クレジットチャージポイント】の3重取り

クレジットカードで直接払うのではなく、いったん「Kyash」にチャージし、そこから支払うことで「Kyashポイント」0.2%分を上乗せできる。共通ポイントとの3重取りの獲得例は次の通り。

《西部ガスでのポイント獲得例》
クレジットカード名 Tポイント還元率 Kyashポイント クレジット決済
ポイント還元率
合計還元率
dカード 0.5% 0.2% 1% 1.7%
リクルートカード 1.2% 1.9%
(※各カード会社のホームページを元に筆者作成)

【電力・ガス会社独自ポイント+Kyash決済ポイント+クレジット決済】の3重取り

上と同様に、クレジットカードからいったん「Kyash」にチャージし、そこから支払うことで「Kyashポイント」0.2%分を上乗せできる。電力・ガス会社独自ポイントとの3重取りの獲得例は次の通り。

《東京電力エナジーパートナーでのポイント獲得例》
クレジットカード名 Tポイント還元率 Kyashポイント クレジット決済
ポイント還元率
合計還元率
dカード 50円相当
ポイント/月
0.2% 1% 1.2%+月50円相当
リクルートカード 1.2% 1.4%+月50円相当
(※各カード会社のホームページを元に筆者作成)

最低でも2重取りを目指そう

他の支払い先と比べて、公共料金の支払いではポイント多重取りはそこまで容易ではない。しかし、ポイントの適用条件 をよく調べて獲得可能なところをしっかり押さえておけば、2重取りくらいなら決して難しくはないはずだ。まずはそこから目指してみよう。

モリソウイチロウ
執筆・モリソウイチロウ
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカードに詳しく、専門サイトでの執筆も行っている。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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