ミニ株(単元未満株)を提供する証券会社が増えている。株式投資を始めたいけれど、大きなお金は準備できないという人は多い。ミニ株投資は少ない資金で取引ができるので、投資初心者が株式投資の経験を積む絶好の機会を提供してくれる。
1,ミニ株(単元未満株)とは
ミニ株投資は小さな資金から株式投資を始めて、経験を積みたいという投資家にとって便利なサービスです。
ミニ株(単元未満株)のメリット
ミニ株のメリットは次の3つだ。
- 少額で取引ができる
- 分散投資しやすい
- 投資額の調整が簡単
・ミニ株のメリット1,少額で取引ができる
通常、単元株(100株)を取引きするにはそれなりに大きな資金が必要になる。
特に安心して長期保有できる優良株の株価はすでに高くなっているものも多く、投資に必要な金額は大きくなる。
ミニ株ならば10分の1の金額(13万円)を用意すればいいので、ハードルはかなり下がる。
最初から大きな金額で投資を始めて損失を出してしまうと、経験を積む前に資金を失い、取り返しのつかないことになるかもしれません。その意味でも、最初は小さな金額から始めるのが投資の鉄則です。
・ミニ株のメリット2,分散投資しやすい
少額で投資できるというミニ株の特徴は、投資にさらなるプラス効果をもたらす。
投資の基本のひとつに「分散」という考え方がある。
1銘柄のみに集中的に投資してしまうと、その株式の低迷はポートフォリオ全体のパフォーマンス悪化に直結する。
たとえば、株価が5,000円程度の銘柄を5銘柄保有すると、通常は約250万円の資金が必要になります。ミニ株なら、10分の1の約25万円で5銘柄に分散投資ができます。
・ミニ株のメリット3,投資額の調整が簡単
小さい金額で投資できればポートフォリオの調整も容易になる。
「A株がかなり上昇したので一部の利益を確定して、まだ株価が上昇していないC株を買い増そう」と考えても、A株は単元株なので部分的には売却できず、100株単位で取引しなければならない。このケースではA株をすべて売却しなければならない。
ミニ株(単元未満株)のデメリット
ミニ株取引は単元株取引と比べて様々な点で制約を受ける。
取扱銘柄や約定タイミングなどで受ける制約を考慮して取引をしないと、不利益を被ることもあるので注意が必要だ。
ミニ株取引のデメリットを考えてみよう。
- 取引証券会社・銘柄が限定される
- 約定手数料が割高になる
- リアルタイムでの売買ができない
・ミニ株のデメリット1,取引証券会社・銘柄が限定される
ミニ株は、ミニ株取引を提供している証券会社が独自に展開しているサービスだ。
単元株の取引は、証券会社が顧客からの注文を受けて証券取引所で売買される。
取引所に上場されている株はすべて売買できる。
一方でミニ株は、顧客から受けたミニ株の注文をまとめてから「相対取引」を行っているので、証券会社ごとに取引銘柄が独自に選定されている。
・ミニ株のデメリット2,約定手数料が割高になる
証券会社によっては、最低手数料を設定しているところもあります。もし最低手数料が50円と設定されていたとすると、1株買うだけでも50円の手数料を支払うことになります。100株単位の売買で支払う手数料が数百円なので、比較するとやはり割高感が残ります。
ミニ株を始めるときは、証券会社のホームページなどで手数料に関してしっかり確認してから取引を始めるべきだ。
・ミニ株のデメリット3,リアルタイムでの売買ができない
ミニ株は、単元株の売買のように注文を出してすぐに取引所で約定されるわけではない。
ミニ株では、注文を受けた後、実際に約定されるのは始値や終値になる。
売買タイミングを選べないミニ株投資は、長期投資で大きなリターンを狙う投資家に対して大きな影響はありませんが、短期的に取引する、売買タイミングを重視する投資家には向いていません。
運用スタイルがミニ株取引に合っているかどうかよく確認すべきだろう。
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>>「ミニ株」とは何か?仕組みや取引可能な証券会社、手数料など単元未満株取引について解説
2,ミニ株(単元未満株)の取引ができる証券会社一覧
ミニ株取引ができる証券会社を7社ピックアップする。
取扱銘柄や手数料、約定タイミングなどを比較しているので、証券会社を選ぶ際の材料として欲しい。
ミニ株の名称 | 取扱銘柄 | 売却のみ可能な銘柄 | 手数料及び最低手数料(税込) | 取引時間(注文時間)約定タイミング | |
SBI証券 | S株 | 東証上場銘柄 | 名証上場銘柄 福証上場銘柄 札証上場銘柄 | 買付時:実質無料 売却時:0.55% 最低手数料:55円 | 0:00~7:00 → 当日前場始値 7:00~10:30 → 当日後場始値 10:30~13:30 → 当日後場引け 13:30~24:00 → 翌営業日前場始値 |
マネックス証券 | ワン株 | 東証上場銘柄 名証上場銘柄 | 福証上場銘柄 札証上場銘柄 | 買付時:無料 売却時:0.55% 最低低数量:52円 | 0:00~11:30 → 後場始値 17:00~0:00 → 翌営業日後場始値 |
auカブコム証券 | プチ株 | 東証上場銘柄 名証上場銘柄 | 福証上場銘柄 札証上場銘柄 | 買付時:0.55% 売却時:0.55% 最低低数量:52円 | 00:01~10:00 → 当日後場始値 10:01~23:00 → 翌営業日前場始値 23:01~24:00 → 翌営業日後場始値 土/日/祝 → 翌営業日後場始値 |
LINE証券 | いちかぶ | 1,500銘柄以上 | - | 基準価格に取引コストであるスプレッド(日中取引は0.2%~1.0%、夜間取引は1.0%)を加減算する | 9:00~11:20 11:30~12:20 12:30~14:50 17:00~21:00 注文後すぐに約定 |
SBIネオモバイル証券 | S株 | 東証上場銘柄 | 名証上場銘柄 福証上場銘柄 札証上場銘柄 | 月額制 月間の約定代金が50万円以下なら220円(税込) | 0:00~7:00 → 当日前場始値 7:00~10:30 → 当日後場始値 10:30~13:30 → 当日後場引け 13:30~24:00 → 翌営業日前場始値 |
PayPay証券 | 単元未満株 | 現物株:160銘柄 ETF:4銘柄 REIT:4銘柄 | - | 基準価格に取引コストであるスプレッド(東証の立会時間中は0.5%、それ以外の時間帯では1.0%)を上乗せする | 9:00:10~14:59 注文後すぐに約定 |
日興フロッギー証券 | キンカブ | 東証に上場している約3,700の個別銘柄、ETF、REIT | - | (100万円以下) 買付時:無料 売却時:0.5% (100万円超) 買付時:1.0% 売却時:1.0% スプレッドで調整 | (月~金) 5:00~8:00 → 当日前場始値 8:00~11:30 → 当日後場始値 16:00~02:00 → 翌営業日前場始値 (土日祝日) 5:00~02:00 → 翌営業日前場始値 |
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>>NISAで単元未満株を売買できる証券会社5社を徹底比較!おすすめ銘柄ランキングも紹介 ## 3,ミニ株(単元未満株)の取引口座を選ぶ3つのポイント
ミニ株(単元未満株)のサービスを提供している証券会社は限られている。
その中でも、証券各社は独自色を出して差別化を図っている。
ミニ株投資の取引口座をどの証券会社に開設するかについて、3つのポイントを考えてみよう。
- 取扱銘柄の多さ
- 手数料の安さ
- 注文時間と約定タイミング
ミニ株(単元未満株)の取引口座を選ぶポイント1,取扱銘柄の多さ
ミニ株(単元未満株)は、単位株のように東京証券取引所(以下「東証」)、名古屋証券取引所(以下「名証」)、福岡証券取引所(以下「福証」)、札幌証券取引所(以下「札証」)に上場しているすべての銘柄が取引対象になっているわけではない。
また独自に非売買銘柄を設定している証券会社もあるので、取引前に各証券会社のホームページなどで売買できる銘柄を確認する必要がある。
ミニ株(単元未満株)の取引口座を選ぶポイント2,手数料の安さ
単元株同様ミニ株においても、手数料の水準は証券会社を選ぶ際の重要なポイントだ。
ミニ株の手数料体系は各社様々だ。
ミニ株(単元未満株)の取引口座を選ぶポイント3,注文時間と約定タイミング
ミニ株の注文可能時間は、24時間受け付けている証券会社もあれば、注文を受け付けない時間帯を設定している証券会社もある。
約定タイミングも、1日3回の会社、2回に限定している会社、リアルタイムにトレードしている会社もあり、各社バラバラなので比較は難しい。
各社の注文受付時間と約定タイミングを比較して、使いやすい証券会社を選ぶのがいいだろう。
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>>株で少額投資を始めるには?初心者におすすめの証券会社5つも紹介!
4,ミニ株(単元未満株)の取引におすすめの証券会社
ここまでミニ株のメリット、デメリット、取引証券会社を選択する際のポイントなどを見てきた。
これらのポイントを踏まえ、以下3社をミニ株取引におすすめの証券会社として紹介する。
- SBI証券
- マネックス証券
- auカブコム証券
SBI証券……買付手数料無料で簡単テーマ投資も可能
SBI証券「S株」の概要
ミニ株の名称 | 取扱銘柄 | 売却のみ可能な銘柄 | 手数料及び最低手数料(税込) | 取引時間(注文時間)約定タイミング |
S株 | 東証上場銘柄 | 名証上場銘柄 福証上場銘柄札証上場銘柄 | 買付時:実質無料 売却時:0.55% 最低手数料:55円 | 0:00~7:00 → 当日前場始値 7:00~10:30 → 当日後場始値 10:30~13:30 → 当日後場引け 13:30~24:00 → 翌営業日前場始値 |
SBI証券は、総合力ナンバーワンのオンライン証券会社だが、「S株」という名称でミニ株にも積極的に取り組んでいる。
注文から約定までのプロセスも使い勝手の良さを感じさせる。
24時間注文を受け付け、約定は1日3回行っている。
ミニ株を利用した「テーマキラー」というサービスも提供している。
テーマキラーでは、SBI証券が用意した「自動運転」「人口知能(AI)」といったテーマを選ぶと、独自の分析に基づいて作成したポートフォリオを提供してくれる。
テーマキラーは、有望な10銘柄への分散投資を5万円から手軽に始められるのが魅力です。
マネックス証券……投資初心者に便利なスマホアプリ「ferci」を提供
マネックス証券「ワン株」の概要
ミニ株の名称 | 取扱銘柄 | 売却のみ可能な銘柄 | 手数料及び最低手数料(税込) | 取引時間(注文時間)約定タイミング |
ワン株 | 東証上場銘柄、名証上場銘柄 | 福証上場銘柄 札証上場銘柄 | 買付時:無料 売却時:0.55% 最低低数量:52円 | 0:00~11:30 → 後場始値 17:00~0:00 → 翌営業日後場始値 |
マネックス証券もミニ株取引に力を入れている証券会社のひとつで、「ワン株」という名称でミニ株取引を提供している。
マネックス証券のワン株では、「ferci(フェルシー)」というサービスを提供している。
ferciのSNS機能を利用して、他の投資家と気になる銘柄など投資について意見交換して投資アイデアを得たら、あとは1株から購入株数をアプリに入力すればいい。
ワン株を利用する投資家は、簡単な操作でストレスなく株式投資をすることができます。
auカブコム証券……プレミアム積立でプチ株と投資信託の積立が可能
auカブコム証券「プチ株」の概要
ミニ株の名称 | 取扱銘柄 | 売却のみ可能な銘柄 | 手数料及び最低手数料(税込) | 取引時間(注文時間)約定タイミング |
プチ株 | 東証上場銘柄、名証上場銘柄 | 福証上場銘柄札証上場銘柄 | 買付時:0.55% 売却時:0.55% 最低低数量:52円 | 00:01~10:00 → 当日後場始値 10:01~23:00 → 翌営業日前場始値 23:01~24:00 → 翌営業日後場始値 土/日/祝 → 翌営業日後場始値 |
auカブコム証券は「プチ株」という名称でミニ株取引を提供している。
対象銘柄、約定タイミング、約定手数料ともに、他のミニ株を取り扱う証券会社と比べて、競争力のある水準である。
プレミアム積立(プチ株)は「少しずつ、時間を分散して投資」という投資の王道を実践できるので、投資初心者にとってかなり便利なサービスではないでしょうか。
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>>ミニ株(単元未満株)取引できる証券会社9社の口座の特徴は?おすすめ銘柄や1株株主優待銘柄紹介
5,SBI証券はこんな人におすすめ
SBI証券はオンライン証券会社の中で最大手であり、投資家に幅広いサービスを提供している。
- 提供するサービスのラインアップはオンライン証券の中で随一
- ほとんどのサービスで、使いやすさや手数料の点で高い競争力を誇る
- 証券口座開設数が業界トップクラスで、多くの投資家から支持を得ている
投資家は経験を積むにつれ、投資する商品の幅を広げたいと考えるものである。
取り扱うサービスが限定的な証券会社に口座を持っていた場合、経験を積んで新たな商品にチャレンジしようとすると、別の証券会社に新たに口座を開設しなければならない。
SBI証券は、多彩な商品やサービスによって、顧客の多様なニーズに対応できます。
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6,マネックス証券はこんな人におすすめ
マネックス証券は、オンライン証券業界にいち早く参入したパイオニアであり、現在もオンライン証券界で最大手の一角を占めている。
- 米国株の取り扱いが多い
- NISA、iDeCoなどの積立長期投資から、FXや仮想通貨まで幅広い商品ラインアップを誇る
- 投資初心者のハードルを下げる独自アプリ「ferci(フェルシー)」などを展開
- IPO投資にも注力
・マネックス証券はIPO投資にも強い また、マネックス証券ではIPO投資にも力を入れている。
IPOでは、証券会社が新株を引き受けて売り出すが、マネックス証券はこの引受の実績が多く、常に上位に位置している。
マネックス証券では、IPOの割り当てを抽選で行っており、引受株数の100%を個人投資家に配分している。
コンピューターによる応募者1人1票の完全平等制を採用しているので、資金の少ない投資家でも大口投資家と同じチャンスがあります。
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>>マネックス証券の「ワン株」とは?メリットや手数料、注意点などを徹底解説
7,auカブコム証券はこんな人におすすめ
auカブコム証券は、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)とKDDIが出資している個人向けのオンライン証券会社だ。
- 安定した財務基盤を背景に独自のサービスを展開
- 投資信託のサービスに強みがある
- ETF銘柄の売買手数料が無料になる「フリーETF」を提供
auカブコム証券は投資信託の取扱本数が多く、投資家は豊富なラインナップからニーズに合ったファンド選ぶことができる。
しかも100円から投資ができる上に、投資信託の購入時手数料が無料だ。
「プレミアム積立」では、プチ株だけでなく投資信託も購入できます。指定した投資信託を、毎月一定額、自動的に買い付けるサービスなので、時間を分散して投資ができます。「プチ株」同様、少額から投資できるので、投資初心者には便利なサービスです。
・フリーETFなら売買手数料が無料
auカブコム証券は、ETF銘柄の売買手数料が無料となる「フリーETF」というサービスも提供している。
フリーETFは個人投資家のETF取引活性化を目的に導入したサービス。複雑かつ高リスクではなく、流動性が十分確保されている銘柄を選定しているので、投資家はコストをかけずにETFの取引経験を積める。
出典:auカブコム証券『フリーETF(手数料無料上場投信)』
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8,ミニ株(単元未満株)についてよくあるQ&A
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