現在、世界中で新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン接種が始まっています。
そんな中、一部の科学者たちは感染後の治療法として「うんち移植」に注目しています。
ポーランド・ワルシャワ医科大学(Medical University of Warsaw)に所属するヤロスワ・ビリンスキ氏ら研究チームは、新型コロナウイルスに感染した2人の患者が、「便微生物移植」によって早期回復したかもしれないと報告しました。
報告の詳細は、7月6日付の学術誌『Gut』に掲載されています。
突飛な発想!?うんち移植とは
世界の一部ではうんち移植(正式には「便微生物移植」)と呼ばれる治療法が研究されています。
これは「健康な人の腸内細菌を患者の腸に移植する」という療法であり、主に安全性を確認した便を希釈して投与する方法と、培養した腸内細菌を投与する方法があります。
では、「他人のうんちを移植する」という発想はどのように生まれたのでしょうか?
そもそもヒト腸内には数百~千種類の細菌が生息しており、免疫系に大きな影響を与えています。
そして一部の疾患を患っている人は、腸内細菌の数や種類が少なかったり、バランスが崩れていたりします。
それらの疾患には薬物治療が効果的でない場合もあり、腸内細菌のバランスを正常に戻す方法として「腸内細菌の移植」が検討されてきました。
しかし、現段階で培養法が確立できている種類はわずか20%程度です。
そこで「健康な人の腸内細菌をそのまま移植する」方法が考案されました。
ちなみに、抗生物質が効かなくなったクロストリジウム・ディフィシル腸炎患者には、便微生物移植が効果的だと報告されています。
つまり薬が効かない疾患を治療する一つの可能性として、うんち移植が研究されてきたのですね。
では世界中の人々が苦しんでいる新型コロナウイルスには、うんち移植が効果的だと言えるのでしょうか?
新型コロナウイルス患者にうんち移植するとどうなる?臨床試験が開始予定
最近、ポーランドの病院に入院した2人の患者(80歳の男性と19歳の男性)が、重度のクロストリジウム・ディフィシル腸炎ゆえに便微生物移植を受けました。
そしてこのうんち移植を受けた直後、新型コロナウイルスの症状が現れ、その時になって初めて感染が発覚。
報告によると、患者は2人とも新型コロナウイルスに感染しやすい体質だったにもかかわらず、症状が軽く、発熱もすぐに収まったとのこと。
19歳の患者は免疫力が低下していたにも関わらず、新型コロナウイルス治療を受けることなく、1日で自然回復しました。
一方、80歳の患者には、通常効果が出るまで10日ほどかかる最先端の治療が施されました。
しかしうんち移植を受けた2日後には熱が下がり、再発することもなかったようです。
そのため研究チームは、新型コロナウイルスの早期回復がうんち移植の結果かもしれないと考えています。
もちろん偶然の一致かもしれませんが、「さらなる調査と研究を行うには十分な結果」とのこと。
ちなみに、新型コロナウイルスは胃腸に障害を引き起こす場合があります。
そのためコロナ治療にうんち移植が提案されたのは、今回が初めてではありません。
今回の報告により研究チムは、「新型コロナウイルスに対する便微生物移植の効果性」を本格的に研究することにしました。
彼らによると、まもなく臨床試験のための募集が始まります。
果たしてうんち移植はコロナ患者を救うことになるのでしょうか。続報に期待です。
提供元・PR TIMES
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