■「万里の長城」で山登り
とてつもない規模とロマンに感嘆した筆者。館を出て再び歩み始めます。すると、すぐ目に入ったのが「万里の長城」という順路の案内板。どうやらこの兵馬俑博物館からは「中国ゾーン」のようですね。

ここでも多くの兵馬俑に迎えられながら、入城門へ向かった筆者。ちなみにここの兵馬俑の兵士たちは、先ほどよりも柔和な表情。「ようこそ!」と言われているかのような気分になります。


「1992年建立」と記された石碑に目を向けつつ、入門口を潜った筆者。当初の想定散策時間を既に経過した状況下での“スタート”に、一抹の不安を感じつつも、左右に並び立つ兵馬俑の「出迎え」を受けつつ、緩やかな上り坂を駆け上ります。

途中で振り返ってみると「緩やか」と言いつつ、それなりの急こう配。とはいえ、先に“ネタバレ”をすると、まだ山でいう中腹部分だったりします。

じわじわと消耗する体力と向き合いながら歩を進める筆者。しばらくすると、無数に散りばめられた石の貨幣に、無数に聳え立った灯籠の姿、さらには三角屋根の家屋がズラリとみえてきました。

どうやらこの家屋は、オセアニアに位置する「ミクロネシア連邦」ヤップ島の石貨(石の硬貨)に、石貨神殿をイメージした建物。しかし、石貨の一部には、デカデカと「中華人民共和国」の記載のものもあったのですが、細かいことは気にしない……。ここには自動販売機もあり、筆者は乾いた喉を潤すことができました。

■ 再建された「鶏足寺」
さらに登っていくこと数分。そこには「峰相山鶏足寺(けいそくじ)」という案内標識。どうやら分岐点のようです。
「鶏足寺」というのは、姫路市北部の峰相山にあった寺院で、戦国時代に羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)の中国攻めによって焼き討ちにあい、廃寺になったのを太陽公園建設に際し、再建されたんだとか。


ここでは五百羅漢がお出迎え。「日本の建造物もあるのか!」と、普通に考えたらごく当たり前のことに驚いてしまいますが、それだけ太陽公園のカオスっぷり……だんだん、ここはどこなのか分からなくなってくるんです。

とはいえ、五百羅漢のすぐそばには、“本家”インドの涅槃像の姿。やはりここは、「ワールドワイド」なエリアであることは違いないようです。最前列には、「無念無想」ならぬ「無念『夢』想」と記されたお釈迦様(の石像)が横たわっていました。

■ プチ万里の長城といいつつ全長2キロ
無数の仏様に別れを告げつつ、万里の長城へ戻ってさらに登っていきます。10分ほど歩くと視界に入ってきたのは、なぜか天安門。なお「案内板」には、万里の長城に加え、小さく「トイレ」の記載が。恐らくここでトイレに行きたくなる方が多いのでしょう。実は筆者もここでトイレ休憩。


万里の長城に戻ってさらに進むと、一目見るだけで険しさが伝わってくる石の階段が姿を現すことに。この時点で、脚はもうパンパン。この時ほど、日頃の運動不足を恨んだ瞬間はありません。……これはホンマにキツイわ……。

この「プチ万里の長城」ですが、プチといいながらも全長2キロメートルあり、それなりのウォーキングコース。既にヘトヘトの状態で、ふと見渡してみると兵馬俑にしては少々大きすぎる像が。それは、日本古来の「埴輪」を超巨大サイズにしたものでした。

そう、ここは令和の日本で兵庫県姫路市なんだ……と今日何度目かの確認をした筆者は、その姿をじっと噛みしめながら石のエリアを後に。

再び入口に戻ったときに時計を確認したのですが、今回の所要時間はなんと2時間30分。
ちなみにこの記事を書いている際に気づいたのですが、実はこれだけ訪問したのにも関わらず、チェック漏れの建造物があったのです。なんということだ……そこも訪問して「コンプリート」していたら、恐らく散策時間は3時間はかかったでしょう。
■ まとめ
折角だからくまなくチェックしよう、と意気込んだ太陽公園訪問記でしたが、施設の方との取材の打ち合わせ時間を含めると合計でなんと6時間近くの訪問となりました。
当初は20年前の“経験”を踏まえ「ま、3時間くらいで何とかなるかな?」と楽観視していた筆者。しかし、見通しの甘さを身をもって思い知ることとなり、計画をすることの大切さを認識するいい機会となりました。
一方で、人口50万を超える中核市とはいえ、市街地からかなり離れた姫路の地で、これほどまでに「カオス」な経験ができる施設も、全国見渡してもそうそうないとも今回改めて感じました。
そして、「城のエリア」と「石のエリア」という、全く異なる2つのエリアは、もっともっと人があつまるだけの魅力を有している施設ということも。
特筆すべきことは、元々この太陽公園は、個人の熱意によって山を切り開き、ドイツの古城や数々の石造物が作られたということ。その横溢する情熱、特に石のエリアで数多く存在した兵馬俑への愛着は目を見張るものがあります。

それをSNSを通じて多くの人に知られる機会を得たというのは、とても現代的ではありますが、しかし日本には、太陽公園のように、まだまだ陽の目を浴び切れていない施設はあるように感じます。今回こうやって伝える機会が出来たことは、メディアの人間として、そして私個人としても大変貴重な経験となりました。
<取材協力>
太陽公園 (兵庫県姫路市打越1342-6)
文・向山純平/提供元・おたくま経済新聞
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