世界を震撼させている新型コロナウイルスの影響もあり、世界経済は先行きが見えない状況です。足元では低金利時代が続いており、人生100年時代を乗り切るためには、安定した資産形成が求められています。投資の選択肢の1つとして、比較的ローリスクである太陽光発電投資について、紹介します。

目次

  1. “実は格安”な山林を利用する太陽光発電
  2. 株式投資や不動産投資との比較で見る太陽光発電投資の魅力
  3. 山を買う方法と山林バンク等の利用
  4. 太陽光発電のメリット・デメリット及び自然災害対策
  5. 太陽光発電投資を始める手順
  6. 2020年度のFIT制度とその改正
  7. まとめ:人生100年時代。投資の選択肢の1つとして太陽光発電を

“実は格安”な山林を利用する太陽光発電

バブル全盛期、地価は高騰を続け山(山林)の値段も高値をつけていました。「山を持っている」と聞けば相当なお金持ち、というイメージがあったのではないでしょうか。ですが、現在山の値段は下落しており、バブル期の約10分の1程度の値段になっています。

都会からのアクセスのよさや、公道からの接続状況など、様々な条件により山の価値(値段)は評価されます。ですが、おおむね「1ha=約3,000坪=約10,000㎡」で30万円~80万円が一般的な相場となっているようです。

このように山林の値段が下がっていることで、山林を買うことの敷居は下がっています。そして、山林の活用方法はさまざまですが、その1つに太陽光発電を設置する活用方法があります。

太陽光発電とは、太陽光エネルギーを使って発電する再生可能エネルギーの1つです。山林は周囲にビルなどの日陰になるような障害物がないため、パネルを広く設置するのに適しています。また、発電時に騒音や排出物も出さないので、一定の日射量さえ確保できれば、設備の設置場所を選ばないのが特徴です。

株式投資や不動産投資との比較で見る太陽光発電投資の魅力

山林を利用した太陽光発電について、投資としての魅力を他の投資方法と比較しながら見ていきましょう。

株式投資や不動産投資はさまざまなリスクを伴う

株式投資においても、さまざまな投資スタイルがあります。より多くのリスクを許容する方がリターンも大きく取れることは言うまでもありません。ただ、ハイリスクハイリターンの手法は、長期的な投資には向きません。株式投資の投資スタイルに“長期積立分散”投資がありますが、この手法での一般的な利回りは3%~4%ほどです。

長期投資の代表的な投資として、不動産投資があげられます。不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンと言われていますが、初期投資額は大きくなります。さらに事業用の借入れは、支払利息の負担もあります。

その他不動産投資には、家賃回収リスク、空室リスク、(大規模)修繕費用、建物の老朽化などさまざまなリスクが伴います。

太陽光発電はほかの投資と比べて利回りが安定している

一方で、太陽光発電の表面利回りは8%~11%程度と言われています。ほかの投資と比べて利回りが高いのは、太陽光発電システムで発電した電力を、一定の売電価格(国が定めた価格)で20年間買い取ってもらうことができるからです。この制度のことを「FIT制度(固定価格買い取制度)」といい、2020年以降もこの制度は継続しています。

株式投資や不動産投資は、しっかりとした知識や経験がなければ成功しないのが実情です。ですが、太陽光発電投資は、ほかの投資と比べて難しい知識はあまり必要ないでしょう。

また、再生可能エネルギーの利用による発電は、CO2削減などの社会貢献の一翼を担うのも特徴です。

山を買う方法と山林バンク等の利用

山の購入を検討するときには、現在の居住地からのアクセスや、山の形状・景観などの条件など、ネット検索することで、詳細の情報を得ることができます。山林の売買ができる「山林バンク」のサイトでは、知りたい情報やQ&Aなど豊富な情報が掲載されています。

山を購入する際に必要な費用

山を購入する際に必要な費用は、山林の物件代金の他、以下の通りです。

・山を購入する際に必要な費用1:登記諸費用等
山林の所有権を移転登記する際に、登記諸費用・印紙代・登録免許税が必要です。登記を司法書士に依頼する場合の報酬は、地域や土地の筆数によって異なってきます。印紙代については、その取引金額により定められており、金額については国税庁のHPで確認できます。

・山を購入する際に必要な費用2:不動産取得税
不動産取得税の税額は、『課税標準額×3%』となっています。地目が山林の場合、課税標準額も低くなっていますので、大きな納税負担はありません。

山林購入後の必要な手続き

新たに山林を取得した場合は、所在地の市区町村に「森林の土地の所有者届出」又は「国土利用計画法の届出」のどちらかを提出する必要があります。

「森林の土地の所有者届出」は、個人・法人や面積を問わず、すべての新規所有者が提出する必要があります。「国土利用計画法の届出」は、一定面積以上の土地取引があった場合に提出します。届出書の様式や提出先は自治体ごとに異なりますので、該当する市区町村ホームページ等で確認する必要があります。

また、山林購入後のランニングコスト(維持費)ですが、育林を目的としない山林や、十分に成長したスギやヒノキ、雑木林はほとんど手入れの必要がないでしょう。そのため、基本的に固定資産税の支払いだけとなります。その納税額も規模の小さい山林であれば、年間数千円程度の税額です。

太陽光発電のメリット・デメリット及び自然災害対策

太陽光発電投資にはいくつかの種類があります。メリット及びデメリットを正しく理解して、太陽光発電投資のリスク回避も理解しましょう。

太陽光発電の型

太陽光発電には、大きく分けて「自家消費型太陽光発電」と「投資用太陽光発電(全量売電)」の2つの型があります。さらに「自家消費型太陽光発電」は、「完全自家消費型」と「余剰売電型」に分けられます。

▽太陽光発電の型
(1)自家消費型太陽光発電(完全自家消費型と余剰売電型)
(2)投資用太陽光発電(全量売電)

自家消費型太陽光発電における「完全自家消費型」は、太陽光発電システムで発電した電力をすべて自家消費します。「自家消費」とは、発電した電力を自宅や会社の電力として消費することを指します。対して「余剰売電型」は、発電した電力を自家消費しますが、余った余剰分の電力を売電するシステムです。

「投資用太陽光発電(全量売電)」とは、FIT制度を利用して、太陽光発電システムで発電した電力を全て売電することです。

太陽光発電のメリットとデメリット

自家消費型太陽光発電と投資用太陽光発電(全量売電)のメリットとデメリットを紹介します。

▽自家消費型太陽光発電のメリットとデメリット

メリット デメリット
・電気料金を削減できる
・余剰分の電気を売電できる(余剰売電型)
・災害時や停電時でも電機が使用できる
・CO2削減の環境保全に貢献できる
・騒音や排気ガスが発生しないため設置場所を選ばない
・設置費用が高額になる
・売電価格が年々低下する傾向にある(余剰売電型)
・一定のメンテナンス費用が掛かる(太陽光パネルやパワーコンディショナー等)
・太陽光パネルだけでは電気を備蓄できない
・発電量は日射量に左右される

▽投資用太陽光発電(全量売電)のメリットとデメリット

メリット デメリット
・比較的ローリスクな投資として活用できる
・長期の(20年)固定買い取り期間「固定価格買い取制度(FIT)」がある
・パネル等の性能向上が期待される
・海外メーカーを取り入れやすくなっている
・設置費用が高額になる
・売電価格が年々低下する傾向にある
・一定のメンテナンス費用が掛かる(太陽光パネルやパワーコンディショナー等)
・悪質な業者も存在する
・発電量は日射量に左右される
・売電期間満了後の用途の問題(20年後)がある

太陽光(再生可能エネルギー)は、ほぼ無尽蔵のエネルギー源としてとても有用です。また、CO2排出削減の環境保全にも貢献できます。しかし、投資用太陽光発電(全量売電)を考える場合には、売電価格が年々低下する傾向にあるため、収支をしっかりシミュレートして検討する必要があります。

自然災害対策として「損害保険」への加入を検討する

近年の自然災害は、予測を大きく上回るものがあり、大規模な損害が発生する傾向にあります。太陽光発電においても、太陽光パネルが自然災害に見舞われる可能性があるため対策を考える必要があります。その対策として代表的なものは、損害保険への加入です。

自然災害に対応する損害保険として、「事業体の企業総合保険(火災保険)」や「動産総合保険」が該当します。ですが、一般的に地震、津波、戦争による事故は、補償の対象外となるようです。特約で地震保険や津波保険をつけることも可能ですが、保険料が高額になる傾向にあります。そのほか、施設賠償責任保険や休業損害補償保険等への加入も検討できるでしょう。

損害保険等への加入に関するお問い合わせや見積もりの相談などは、「企業総合保険」や「動産総合保険」を取り扱っている損害保険会社に問い合わせるとよいでしょう。

太陽光発電投資を始める手順

『投資用太陽光発電(全量売電)』の発電システム導入までの大まかな流れになります。

太陽光発電投資の始める手順1:企画立案

太陽光発電業者と連絡を取り、工事費用等の見積もりを取ります。予算や設置面積などを考慮しながら、太陽光発電システムの設計を行います。

太陽光発電投資の始める手順2:電力会社との協議

電力会社と事前打ち合わせを行います。規模によりますが、50kwまでなら1〜2ヵ月、それ以上なら3ヵ月程度かかることが多いようです。

太陽光発電投資の始める手順3:契約の締結

予算や収支の見通しが明らかになったところで、太陽光発電業者と契約を結びます。

太陽光発電投資の始める手順4:経済産業省に設備認定の申請

規模により異なりますが、認定まで1ヵ月程度かかることが多いようです。

太陽光発電投資の始める手順5:電力会社への連係の申請を行います

設置容量が50kW未満であれば低圧連系、50kW以上であれば高圧で連系させる必要があり、高圧連系の場合、高圧受電設備が必要となります。

太陽光発電投資の始める手順6:工事の着工

土地の状態次第で工事期間が長くなる可能性があります。

太陽光発電投資の始める手順7:売電の開始

電力会社との系統連系が完了すれば売電が開始されます。電力会社次第ですが、工事開始から連系まで、2~3ヵ月要する事もあります。

2020年度のFIT制度とその改正

FIT制度(固定価格買取制度)は、2020年度で終了するという報道されていました。しかし実際は、発電区分ごとに条件が付されて、2020年度以降も継続しています。2020年度の改正では発電区分が大きく改定され、売電価格も低下傾向にあります。また、2021年度にも大きな制度変更が行われる可能性もあるようです。

FIT制度は継続されましたが、制度の終了が取りざたされていた要因の1つは、2009年に開始された住宅用太陽光発電を対象とした余剰電力買取制度(FIT制度の前の制度)の固定価格買取期間が2019年度に終了することでした。しかし、その救済措置として、各電力会社が独自の買取価格を提示しています。単純な買取サービスだけではなく、他業種との連携など、各電力会社が独自のサービスを展開しており、売電期間終了後の太陽光発電を取り巻く環境整備も活発になってきています。

まとめ:人生100年時代。投資の選択肢の1つとして太陽光発電を

格安な山(山林)を利用する太陽光発電投資を紹介しました。太陽光発電投資は、証券投資や不動産投資と比較すると、ローリスク・ミドルリターン投資という位置づけになりそうです。また、太陽光(再生可能エネルギー)を利用するため、コロナ禍の影響なども受け難いと考えられます。20年間の固定収益が見込めるので、比較的長期的な収支も立てやすいでしょう。

人生100年時代と言われています。老後の人生設計(リタイアメント・プランニング)の一案として太陽光発電を投資の選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

文・内宮慶之/提供元・JPRIME

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