よりよいパフォーマンスを出すためには、「睡眠」は非常に重要な要素です。ただ「睡眠偏差値」を調べたあるレポートによれば、職種や役職、年代によって、睡眠の実態は一定程度の差があります。
睡眠時間が「世界ワースト」の日本人
OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本人の平均的な睡眠時間は7時間22分(2018年)で世界ワーストとされているほか、厚生労働省の近年の調べでは、睡眠時間が1日6時間未満の日本人は4割にものぼるといわれています。
こうした状況の中、「スリープテック」に取り組むブレインスリープ社(本社:東京)が日本人の「睡眠偏差値」のレポートを2020年3月に発表しました。睡眠の質は睡眠環境や生活習慣によっても変わるため、睡眠偏差値は睡眠時間以外のさまざまな要素(日中の眠気、職場での生産性やストレスなど)も加味されています。
睡眠偏差値は職種や役職、年代ごとに算出されており、どういった属性の人が睡眠の質が低く、もしくは高いかの参考になります。
全役職・職種の睡眠偏差値ランキング
以下が役職・職種ごとの全年代の平均値ランキングとなります(「パート・アルバイト」「仕事をしていない人」「専業主婦(主夫)」「学生」を除く)。
50.76:自営業
48.93:経営者・役員
48.74:公務員
48.46:会社員(事務・企画)
48.42:自由業
48.08:会社員(専門職・技術職)
47.34:会社員(営業)
46.91:生産工程の職業(工場勤務など)
44.64:職業運転手
43.83:建設・採掘の職業
ワーストは「建設・採掘の職業」で43.83。「職業運転手」も44.64と低くなっています。ブレインスリープ社はレポートのなかで、こうした職種の人の睡眠課題が大きな産業事故につながる可能性を指摘しています。
「経営者・役員」、30~40代の数値は悪くないが……
「経営者・役員」の睡眠偏差値は48.93と決して低くありません。ただ「20代の経営者・役員」に限っていえば35.77で、全職種・役職で最も数値が低くなっています。
経営者・役員も30~40代になれば睡眠偏差値は48.01となり、同世代の全職種・役職の平均値(49.31)に近づくものの、若いうちは睡眠に大きな課題を抱えていることが分かります。
ちなみに20代の経営者・役員の睡眠時間は平均5時間32分で、前述の日本人の平均より1時間50分も短くなっています。
国や企業も睡眠不足対策に動く
役職・職種ごとの睡眠偏差値をみると、低所得層の睡眠偏差値が低くなる傾向にあることがわかります。こうした状況のなか、国や企業も危機感を持ち、睡眠不足対策に動いています。
例えば、2018年6月の貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正では、睡眠不足のバスやトラックの乗務員を乗務させてはいけないことが明確化されました。具体的には、点呼簿に記録が必要な事項に睡眠不足の状況が追加されるなどしました。
運送業界に限らず最近では大手企業も、従業員の健康を重視する「健康経営」の一環として、従業員の睡眠状況を改善しようと睡眠研修や仮眠室の有効活用に取り組むケースも目立ち始めています。
OECDの加盟国のなかではまだまだの日本ですが、睡眠状況の改善に向けた取り組みは着実に進んでいるといえるでしょう。
文・MONEY TIMES 編集部
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