幅広い投資ができ一般NISAと、堅実な長期投資に適したつみたてNISA。2つのNISAは併用できない。それぞれの制度の特徴と向いている人のタイプ、切り替えの方法、切り替え後の資産扱いについて詳しく解説する。

目次
1.一般NISAとつみたてNISAの違い
2.一般NISAとつみたてNISAのどっちがいいか
3. NISAの併用はできないので切り替えを行う
4.一般NISAとつみたてNISA変更前の口座の資産は?
5.NISAはできるだけ継続したほういい
6.NISAは2024年以降、2階建ての新NISAに

1.一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)の違い

国が推進しているNISA(少額投資非課税制度)には、一般NISAとつみたてNISAがある。一般NISAは2014年1月、つみたてNISAは2018年1月に導入され、どちらも金融商品への投資で得られた運用益が非課税になるが、それぞれ目的が違うため、制度が適用される期間や対象商品など異なる点が多い。

一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)の比較

一般NISA つみたてNISA
対象者 日本在住の20歳以上 日本在住の20歳以上
非課税期間 最長5年 最長20年
非課税投資枠 毎年120万円(最大600万円) 毎年40万円(最大800万円)
対象商品 国内外上場株式、
投資信託、ETF
一定の条件を満たす
投資信託、ETF
口座開設可能期間 2014~2028年 2018~2042年
投資方法 一括購入、積立 定期的な積立

※筆者作成
 

両者の大きな違いは、一般NISA目的が「活発な金融取引を促す」であるのに対し、つみたてNISA目的が「長期的な資産形成を促す」であることだ。制度の仕組みも、その目的に沿ったものになっている。

一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)の非課税期間の違い

一般NISAの場合、非課税の恩恵を受けられるのは購入した年から数えて5年目の12月末までと決められている。一方でつみたてNISAは20年目の12月末までであり、非課税の恩恵が受けられる期間が長い。

一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)の非課税投資枠の違い

つみたてNISAの非課税投資枠(年間40万円)に物足りなさを感じる人は多いだろう。しかし、少額での積立投資をすることで安定的な資産形成ができるという点は、制度の方針に一致する。

一方で一般NISAの非課税投資枠(年間120万円)を毎年フルで活用すれば、かなりの投資額を非課税で運用することができる。ただし、非課税で投資できる期間はつみたてNISAのほうが長いので、累計ではつみたてNISAのほうが非課税枠は大きい。

一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)の対象商品の違い

一般NISAとつみたてNISAは、対象商品の範囲も異なる。一般NISAは国内株式、海外株式、投資信託、ETF、REITと幅広い。ネット証券大手のSBI証券では、投資信託だけでも2,578本の取り扱いがある(2020年8月19日現在)。

一方つみたてNISAでは、金融庁が許可した投資信託およびETF、計182本に限られる(※2020年8月時点)。手数料が安く、極端な値動きが少ないインデックス型の投資信託が中心だ。

一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)の投資方法の違い

一般NISAとつみたてNISAは、投資方法にも違いがある。つみたてNISAは、その名のとおり毎月・毎週定期的に買い付ける積立投資であり、対象商品はすべて積立投資向きの投資信託になっている。

一般NISAでは、上場株式や投資信託を120万円以下の範囲で購入することができる。積立投資に対応している投資信託であれば、少額の積立で買い付けることもできる。一般NISAのほうが、投資方法の自由度は高い。

2.一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)のどちらがいいか

NISA口座は1人1口座と決められているため、一般NISAとつみたてNISAのどちらかを選ぶ必要がある。どちらを選ぶべきか迷う人が多いので、以下に判断基準をまとめた。

一般NISAを選ぶべき人

  • まとまった資金を投資したい
  • リスクを取って非課税効果を最大化したい
  • 外国株やREITにも投資したい

積極的な運用を考えている人は、一般NISAを選ぶといいだろう。例えば手元にあるまとまった資金をすぐに投資に回したい人や、せっかく非課税になるのだからできるだけ多くの運用益を得たいと考える人、外国株やアクティブ型投資信託、REITなど多様な金融商品への投資に興味がある人などだ。

一般NISAでは少額からコツコツ積み立てる積立投資もできるが、非課税投資期間が5年しかないため、長期的な資産形成よりも投資スキルの向上やより多くの節税効果を得たい場合に向いている。ただし、リスク許容度はしっかり検討する必要がある。

つみたてNISA(積立NISA)を選ぶべき人

  • 少額で投資したい
  • 初心者なので銘柄選びが難しい
  • できるだけ安全に長期投資がしたい

つみたてNISAは、初心者や多忙な人でも確実に長期分散投資ができるように設計されている。つみたてNISAの対象商品は、金融庁の基準を満たす低コストで安全性の高いものに限られているため、銘柄探しに迷う必要がない。毎月自動的に買い付けられるので、売買のタイミングで悩むこともない。

つみたてNISAは投資期間が10~20年程度で、できるだけリスク分散をしたい人に向いている。ただし、長期分散投資だからといって必ず儲かるわけではない。

3. 一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)の併用はできないので切り替えを行う

一般NISAをしている人がつみたてNISAを始めたくなったらどうすればよいか。一般NISA口座とつみたてNISA口座を併用することはできない。同じ証券会社内はもちろん、A証券で一般NISA、B証券でつみたてNISAといった持ち方もできないため、NISA口座を切り替えて使用する。

切り替えは1年に1回のみ可能で、同じ年に両方の投資を行うことはできない。まだ買い付けをおこなっていない場合は口座のある証券会社に「金融商品取引業者等変更届出書(勘定変更用)」を提出すれば年内に切り替え可能だ。

期限は証券会社によって異なるが、9月末までが目安となる。期限を超える場合、もしくはその年の枠をすでに一部でも使ってしまっている場合は、翌年から切り替えるための「非課税口座異動届出書」を提出する。手続きの手順は、一般NISAからつみたてNISAの場合でもその逆でも同じである。

4.一般NISAとつみたてNISA(積立NISA)変更前のNISA口座の資産は?

例えば一般NISAからつみたてNISAに切り替えた場合、一般NISA口座にある資産は自動的に換金されると誤解している人もいるようだが、実際には次の3つの選択肢から選ぶことになる。

売却する

今のNISA口座にある株や投資信託を売却し、含み益があれば利益を確定し、含み損があれば損失を確定させる方法である。NISA口座なので売却益にかかる20%の税金は非課税。損失が出ても現行口座と損益通算して節税につなげることはできない。

課税口座に移す

一般口座や特定口座といった課税口座に移すという方法もある。移管時の時価が取得価額となるため、当初の購入価格より値上がりしていた場合、その差益には課税されない。ただしNISAでの購入時より値下がりしている場合には移管時の低い価格が取得価額となるため、その後値上がりした場合は課税の対象となる。

保有を継続する

切り替えをしても取得後5年以内なら切り替え前の商品を非課税で保有し続けることができる。2018年に一般NISAで買い付けた商品なら、2022年まで非課税扱いのままだ。その間つみたてNISAで買い付けをおこなうと、一般NISAとつみたてNISAの両方で運用するのだが問題ない。そういう意味では一般NISAとつみたてNISAの「併用」は可能なのだ。

5.NISAはできるだけ継続したほういい

年に1回切り替えが可能ということで、一般NISAからつみたてNISAに区分変更してすぐにまた元に戻すことも可能だが、あまり一貫性なく切り替えを繰り返すことは意味がない。

つみたてNISAは長期的な資産形成を目的とした制度であるため、こつこつと少額ずつ積み立てて運用することに意味があり、短期的なリターンを求めるには適さないからだ。

一般NISAは新興国株式やレバレッジ商品を扱うなど比較的ハイリスク・ハイリターンな商品も購入可能である。非課税制度の最大のメリットは売却益に税金がかからないことなので、積極的にリターンを取りに行く投資スタイルも決して間違いではない。

大切なのはそれぞれの特徴を十分に踏まえた上で、計画的に使い分けることである。一般NISAは5年、つみたてNISAは10年、20年でどう運用するかを考えたい。どちらが儲かるか、どちらが得かといった話ではなく、どのようにNISAを活用するのかイメージができてから選択するのが良いだろう。

6.NISAは2024年以降、2階建ての新NISAに

2020年度税制改正大綱で、NISAは2024年に新NISAに刷新されることが盛り込まれた。新しいNISAは積立枠(1階)と、株式などに投資できる枠(2階)の2階建て構造になる。原則として1階部分の積立投資を行わないと2階部分の投資はできないことになっているが、過去にNISAでの投資経験があれば、いきなり2階部分での投資ができる。

新NISAの2階部分が、現行の一般NISAにあたると考えるといいだろう。ただし新制度では、レバレッジをきかせている投資信託や整理・管理銘柄に指定されている上場株式は対象商品から除外される。

現在一般NISAで保有している商品がある場合、新NISAではどのように扱われるのだろうか。2028年に現行NISAが終了する際、以下の3つから選ぶことになる。

(1)ロールオーバー
(2)売却
(3)課税口座に移管

ロールオーバーとは、非課税期間の延長のことだ。新NISAの2階部分の投資枠を使って、保有を続けることができる。また、売却することも課税口座に移管することもできる。

一方つみたてNISAは、2037年までの期限を2042年まで5年延長し、2023年までに始めれば20年間の投資期間を確保できる。一般NISAが終了しても継続され、しばらくは新NISAと併存することになる。ただし併用はできないため、新NISAかつみたてNISAのどちらかを選ぶ必要がある。

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篠田わかな
執筆・篠田わかな
外資系経営コンサルティング会社にて製造・物流・小売部門のコンサルタントとして業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。
外資系経営コンサルティング会社にて製造・物流・小売部門のコンサルタントとして業務/システム改革プロジェクトに参画。退職後独学でFP技能士の資格を取得。開業して個人事業主となり、マネー・ビジネス分野の執筆、企業からの請負業務を手がける。

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