「平均年収が高い職業」に医者がある。これには異論がないだろう。しかし、医者よりも平均年収が500万円以上も高い職業がある。どの職業かわかるだろうか。ここでは、職業別の年収ランキングを紹介しつつ、「正解」がどの職業か見ていく。

職業別の平均年収TOP10ランキングを紹介

職業別の年収を知る際は、厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」が参考になる。職業ごとの平均年収と平均賞与が公表されているため、平均年収を算出できるわけだ。

この賃金構造基本統計調査の最新版である「令和元年度(2019年度)」版では、医師の平均年収は1,169万2,300円で全職種中2位。1位の職種は平均年収が1,694万6,100円で、医師の平均年収よりも500万円以上高い。

では早速、職業別の平均年収のトップ10ランキングを紹介する。

<職種別の平均年収トップ10>

1位 航空機操縦士 1,694万6,100円
2位 医師 1,169万2,300円
3位 大学教授 1,100万6,200円
4位 大学准教授 872万3,600円
5位 記者 792万2,200円
6位 不動産鑑定士 754万5,900円
7位 弁護士 728万5,600円
8位 高等学校教員 709万3,600円
9位 一級建築士 702万8,800円
10位 公認会計士、税理士 683万5,500円
※企業規模が「10人以上」のケース
※出典:令和元年賃金構造基本統計調査

1位の職種は「航空機操縦士」、いわゆるパイロットだ。平均月給は122万4,300円、平均賞与は225万4,500円で、平均月給を12倍した金額に平均賞与の金額を足すと、平均年収は1,694万6,100円となる。

「大学教授」や「弁護士」なども高年収の職業として知られているが、大学教授と比べると600万円近く、弁護士と比べると1,000万円近く高いパイロットの平均年収は飛び抜けている。

ちなみに日本のナショナルフラッグキャリアである日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)の機長は、年収3,000万円以上も珍しくない。

なぜパイロットの平均年収は高いのか?

なぜ、パイロットの平均年収は高いのだろうか。それは、パイロットが高い専門技術を必要する職種である上に、人の命を預かるという重い責任を負っており、精神的負担も非常に大きい職業であるからだ。

パイロットの仕事には、体力も求められる。国際線などのフライトでは、フライト時間が10時間以上に及ぶこともある。もちろん他のパイロットも同乗しているため休憩を取る時間はあるが、だからといって飛行中に気を緩めることは許されない。

また、パイロットは自身が命の危険と常に隣合わせであることも忘れてはならない。危険手当としての意味合いもある「乗務手当(フライト手当)」を受け取っているため、パイロットの平均年収は他の職業よりも高くなる傾向がある。

また、パイロットには乗務前の飲酒に関する規定もあるなど、就業時間外での生活もある程度制限される。

コロナ禍でパイロットの平均年収が変化?

平均年収が高いパイロットだが、新型コロナウイルスの感染拡大によって各航空会社が減便を余儀なくされており、それによって年収にも影響が出ている。基本給が変わらない場合でも乗務手当が減ることで、手取り額が大きく減るからだ。

賞与にも影響が出ている。例えばANAは2020年、減便や搭乗率の低下による経営状況の悪化で、冬の賞与の全額カットを決行した。JALも、ボーナスを8割カットしている。

そのため、コロナ禍におけるパイロットの平均年収は、乗務手当が減ったこととボーナスのカット・減額によって、大きく下がっている。2021年の単年では、パイロットの平均年収は医師を下回るかもしれない。

コロナ禍が長引けば、最悪の場合職を失う可能性も

新型コロナウイルスの感染が収束し、日本国内での移動や他国間の往来が通常に戻れば、パイロットの年収もいずれは元の水準に回復するだろう。

しかし、新型コロナウイルスの感染がすぐに収束するとは限らない。日本国内でもワクチン接種が始まったが、ワクチンが効かない変異株が猛威を振るう状況になれば、日本を含め世界で再びパンデミックが起こるかもしれない。

そのような状況になれば、航空会社で人員整理が行われることも考えられ、最悪の場合は経営破綻の陥る可能性もある。現在は平均年収が高いパイロットであっても、このような将来不安を抱える状況になっているのだ。

執筆・

国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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