近年、中国船が日本の領海に侵入し、時には日本の漁船に接近しているとして問題になっています。中国海警局の船が連日沖縄・尖閣諸島周辺に現れている事態に、外務省局長は厳重に抗議し対応を求めていますが、依然として領海侵入が続いている状態です。

台湾は年間4,000船を駆逐

中国船の領海侵入は日本だけの問題ではありません。台湾当局によると、2020年に駆逐した中国船舶は前年比6倍以上の約4,000隻だったといいます。

2018年は71隻、2019年には600隻だったことを考えると、異常事態といえる状況です。

日本も対岸の火事ではない

台湾ほどではないにせよ、日本でも中国による領海侵入が深刻な事態となっています。

海上保安庁がホームページ上で公開している「尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向と我が国の対処」によると、2017年、2018年には比較的落ち着いていた中国海警局に所属する船舶等による領海侵入が2019年春から急増しています。

2021年に入っても連日中国船の接続水域内、または領海内への侵入が確認されており、海上保安部が警戒を続けています。

2020年の中国海警局に所属する船舶等の領海侵入件数は88件でした。2009年、2010年には年間0件だったものが、これだけ増えているのです。

コロナ禍の水面下で始まっていた新たな局面

2020年、世界中が新型コロナウイルスへの対応に追われる中、中国の尖閣諸島付近での活動に変化がみられるようになりました。

その一つが、「船の大型化」です。海上保安庁が大型船と位置付ける総トン数1,000トンを超える、3,000~5,000トンの船が現れているといいます。中には大型の機関砲を装備した船もあるようです。

さらには、日本の漁船を中国船が追尾して接近する事態にも発展しています。海上保安庁の巡視船が間に入り接近を防ぐことはできましたが、その後も漁船の動きを見て追尾するような行動を続けていました。

なぜ中国は尖閣諸島付近への領海侵入を繰り返すのでしょうか。中国側から見れば、尖閣諸島(釣魚島)は中国の領土であり、そこで日本の漁船が漁を行うことこそが「違法操業」だというのです。

尖閣諸島の領土については、1970年代から長らく日中間で問題となっています。近年では、日中間、米中間に何らかの問題が生じると、中国はしばしば尖閣諸島付近で行動を起こしています。

中国の動きは活発になる可能性大

英国の「経済ビジネス・リサーチ・センター」は、2020年末に「中国は2028年までにアメリカを抜き世界最大の経済大国になる」という報告書を発表しました。日本への威嚇ともとれるような行動は、経済の成長にともない今後も活発化する可能性があります。

尖閣諸島問題が過熱化した2012年、中国では日本製品の不買運動が広がり、日本企業が中国から撤退するなど、日本経済に大きな影響をおよぼす出来事が起こりました。尖閣諸島問題から日中間の衝突が激しくなれば、再び日本経済に波及するかもしれません。

提供元・YANUSY

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