官僚は国の政策決定にも大きな影響力を持つが、官僚には「高給取り」というイメージがあるのではないだろうか。この記事では官僚の年収に焦点を当て、役職別の年収についても紹介していく。
そもそも「官僚」とは?中央省庁に勤める国家公務員のこと
「官僚」とは一般的に中央省庁に勤める国家公務員を指すが、中央省庁に勤める国家公務員は「国家総合職」と「国家一般職」に分かれており、官僚と呼ばれるのは「国家総合職」の人たちだ。
ちなみに、国家総合職は「政策の企画立案等の高度の知識、技術または経験等を必要とする業務に従事する職員」と定義されており、「キャリア官僚」「キャリア公務員」と呼ばれることもある。
官僚の平均年収(俸給)は?1,500万円超えも
国家公務員の給与体系において、国家総合職で行政事務を行う人は「行政職」、各省庁の審議官や公正取引委員会の事務総長、警視総監などになった最高幹部クラスの人は「指定職」に分類される。
このような職に就く人の給料は、国家公務員の給与を示す「俸給表」から調べることができる。行政職の人には「行政職俸給表(一)」が適用され、指定職の人には「指定職俸給表」が適用される。
人事院が発表した「平成30年(2018年)国家公務員給与等実態調査」の結果によれば、「行政職俸給表(一)」の適用者と「指定職俸給表」の適用者の平均月収は以下のとおりだ。
<「行政職俸給表(一)」と「指定職俸給表」における平均月収>
対象となる俸給表 | 平均月収 | 対象人数 |
行政職俸給表(一) | 41万940円 | 14万93人 |
指定職俸給表 | 102万6,485円 | 915人 |
上記の表からは平均月収がわかり、これに民間企業の賞与に当たる「期末・勤勉手当」を加算すると、官僚の年収を計算できる。
2018年度は6月期と12月期の支給を合わせると、行政職俸給表(一)が適用される本府省課長などには月収の4.4ヵ月分、指定職には月収の3.3ヵ月分が支給されている。
上記を考慮して算出した平均年収は、以下のとおり。最高幹部クラスに相当する指定職俸給表の適用者の平均年収は、1,500万円を超えている。
<「行政職俸給表(一)」と「指定職俸給表」の適用者の平均年収>
対象者 | 平均月収×12ヵ月 | 期末・勤勉手当 | 平均年収 |
行政職俸給表(一) の適用者 |
493万1,280円 | 180万8,136円 | 673万9,416円 |
指定職俸給表 の適用者 |
1,231万7,820円 | 338万7,400円 | 1,570万5,220円 |
指定職でも役職によって月給に大きな差がある
世間でいうところの「官僚」は指定職俸給表が適用されるため、その平均年収が1,570万5,220円であることは計算によって明らかになったが、指定職でも役職によって給与にはかなり差がある。
内閣官房が公表している「国家公務員の給与(2018年版)」に記載された金額を、月給ベースで見ていこう。
役職 | 月給 |
本府省の局次長、部長、審議官、外局の次長 | 70万6,000〜81万8,000円 |
本府省の局長 | 89万5,000〜96万5,000円 |
外局の長官 | 103万5,000円 |
内閣府審議官など | 110万7,000円 |
事務次官 | 117万5,000円 |
国家公務員の給与(2018年版)では、係員、係長、地方機関課長、本府省課長補佐、本府省課長、本府省局長、事務次官の年収モデルも紹介されている。
役職 | 年齢 | 月額 | 年収 |
係員 | 25歳 | 18万9,400円 | 309万5,000円 |
係長 | 35歳 | 27万600円 | 448万円 |
地方機関課長 | 50歳 | 41万1,800円 | 668万6,000円 |
本府省課長補佐 | 35歳 | 43万7,120円 | 723万1,000円 |
本府省課長 | 50歳 | 74万5,680円 | 1,255万円 |
本府省局長 | - | 107万4,600円 | 1,772万8,000円 |
事務次官 | - | 141万0,000円 | 2,327万4,000円 |
「本府省課長」になると平均年収は一気に跳ね上がり、1,255万円になる。各省庁の「事務方のトップ」などと呼ばれる「事務次官」は、2,327万4,000円だ。
過重労働も問題に……
この記事では、官僚の平均年収について紹介した。最高幹部クラスに上り詰めた官僚の平均年収は、1,000万円をゆうに超える。
ただし、最高幹部クラスになれるのはほんの一握りだ。また、昨今は官僚の長時間労働も問題なっていることを考えると、必ずしも「官僚は高給取り」とはいえないのではないだろうか。
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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