こうした職業では、強い責任感が求められるとともに、一つの問題を解決しても次から次へと別の問題が舞い込んでくるため、長期にわたって強いストレスにさらされやすく、ゴールの見えない状況に精魂尽き果ててしまいやすいのです。

これと同じことは何も職場だけではなく、家事や育児、介護に迫られる家庭内でも起こりえます。

しかし燃え尽き症候群の恐ろしい点は、なかなか発症前に問題に気付けないことです。

燃え尽き症候群を起こす人は、先にも延べた通り仕事にやりがいを感じており、熱心に取り組んでいる場合が多いため、発症は前はむしろ他の人よりも意欲的で元気があります。

そのため本人を含め何も問題を抱えていないように見えるのです。

ところがあるとき突然、灰になってしまったようになんの気力も湧かなくなってしまうのです。

では、燃え尽き症候群の前段階に見られる初期サインや、燃え尽き症候群に陥った後に起こる具体的な症状について見てみましょう。

初期サインや具体的な症状はどんなもの?

燃え尽き症候群の初期兆候とは?
燃え尽き症候群の初期兆候とは? / Credit: canva

燃え尽き症候群を発症する前段階には、主に3つの初期サインがあらわれます。

1つ目は「情緒的消耗感」です。

これは体の疲労感とは別に、心が消耗して疲れ果ててしまったと感じる状態を指します。

専門的には「仕事を通じて、情緒的に力を出し尽くし、消耗してしまった状態」と定義されており、ストレスによる単なる疲労感というよりも、感情的なエネルギー源が擦り切れてしまうことが根幹にあります。

こうなると今まで感じていた仕事へのやりがいが薄れ、あまり喜びを感じられなくなり、人との対面も億劫になり始めます。

2つ目は「脱人格化」です。

これは仕事仲間や顧客に対して、感情のこもっていない機械的で非人間的な対応をしてしまう状態を指します。

脱人格化は上の情緒的消耗感の結果として引き起こされる行動で、他人との情緒的なコミュニケーションが煩わしくなり、公私において人と距離を置きたくなります。