“1%クラブ”宣言:2027年に21万BTCという野心

 同社は2025年末3万BTC、2026年10万BTC、そして2027年に21万BTC(ビットコイン総供給の約1%)という工程表を示しています。これが達成されるかは市場次第ですが、目標の明文化は資本市場との対話において効果的。大胆なマイルストーンを公開し、資金と人材を呼び込む“磁力”として機能させるのがこの種のトレジャリー戦略の肝です。

背景にある潮流:なぜ日本企業がビットコインに振り切るのか

 メタプラネットは本来ホテル事業から出発した企業ですが、2024年以降は“ビットコイン・トレジャリー・カンパニー”として戦略転換を進めてきました。英フィナンシャル・タイムズは、同社がマイクロストラテジー(現Strategy)の路線に学びつつ、BTCを担保にM&Aなどキャッシュ創出事業を取り込み、長期的な積み増しを狙う構想を解説しています。

 国内外での資金調達環境や米国の政策ムードも追い風となり、株価面でも話題を集めてきました。国内市場の低金利・過剰貯蓄という構造の中で、“BTCを基軸資産に据える企業”が出てきたこと自体がニュースだといえます。

投資家が押さえたい数字の“意味”

 まず、BTC Yieldは会計上の利益ではありません。希薄化を含む株式構造に対してどれほどBTCを積み増せたかを見る、企業特有のKPIです。

 次に、ランキング報道は“対象の取り方”で順位が動きます。ETFや非公開企業、関連当事者を含むか否か、データの更新時刻の違いで変動しやすいのが実情です。最後に、メタプラネットの収益化はオプション・プレミアムに依存する度合いが高く、相場のボラティリティと資金管理が鍵に。

 華やかな数字の裏側にある“定義・前提・反復性”を確認してから評価する姿勢が、Q3以降のニュースを読み解く力になります。