トランプ氏が泡沫候補として大統領選に名乗りを上げた際、すなわち、共和党の中ですら泡沫候補に過ぎなかった頃、世界はオバマ的価値観、SDGs的価値観に満ちていた。環境を大事にしてCO2を極力減らし、人権を尊重して移民を大切にし、脅しや武力には、脅しで立ちむかうのではなく、対話で臨むのが主流であった。
私は個人的にはオバマ氏的世界観の方が好みであるが、良し悪しは別として、トランプ氏は筋金入りの信念で、そうした世論に対して敢然と主義主張をぶつけた。そしてその迫力は、結果として多くの人を動かすこととなり、世界は一変した。
最近のネット用語では「薪」(たきぎ)と言うらしいが、過去の主義主張はやがて「燃料」となることがある。すなわち、たとえその瞬間は見向きもされない言説であっても、信念を貫いているうちにやがて世間が注目するところとなり、遡上する形で過去に言ったり書いていたりしたものが「薪」となって、ポジティブに「炎上」することがあるそうだ。
この観点から今の自民党に必要なのは、今、ネットでどうバズるかを考えることではなく、確かな人材をリクルートし、育てることに他ならない。急がば回れである。そうした人物の信念があってこそ、SNS戦略も成立する。
もちろん、人材というのは、政治家だけではない。きちんと政策が作れるシンクタンク人材、党のマネジメントが出来る経験豊富な人材、政治とカネの問題などにきっちり対処できる秘書人材のプール(そうした人達を各議員の秘書に付けられるような党の体制)、なども含む。
こうした自民党改革について信念を持ち、具体策を練り、それを訴えられるような人。上記の➀〜④について、たとえ敵が出来ようとも自説を丁寧に訴えられる人。そうした迫力ある人材こそが求められている。
表紙だけではなく、中身を変えることが自民党に求められているし、日本の今後のためにも必要だ。中身を体現する上で、もっともふさわしい表紙は誰なのか。検討すべき順番を間違えてはいけない。