総括の内容より総裁の顔。石破総理は辞めるのか辞めないのか。つまり、本に例えれば、中に何が書いてあるかという中身より、その表紙に関心が向かってしまっている。冒頭の伊東正義氏のように、自民党内に「表紙より中身だ」と一喝する迫力ある政治家がいれば良いのだが、どうもそれも見当たらない。

真の敗因とSNS活用の本質

結論から書こう。私は、参院選での自民党の敗北の真因は、上記の①〜④のいずれでもないと思う。より正確に書けば、①〜④も敗因は敗因だが、メタレベルに立って見渡せば、①〜④について、かなり重厚に詳しく政策を書き連ねていたからといって自民党が勝っていたとは(或いは今後、各種選挙に勝てるとは)、到底思えないのである。

①〜④について、色々な案を策定し、それを実施するとしても、そもそも案も見えないし、それをやり切る迫力を自民党の誰からも感じない。それで、消去法的に、「そうであるならば、まだ、ボロボロになっても政権にしがみついている石破さんの方が良いではないか」という世論調査の結果になっていると思われる。

“迫力ある対案”なき単なる“引きずり下ろし”は、いじめのようにも感じられ、判官贔屓な日本人の国民性に鑑みて、自民党内と世論の乖離を産んでいるようにも見える。

政治には、政策を貫くには迫力が必要である。自民党の最大の敗因は一言で言えば迫力不足に他ならない。例えばSNSの活用が不十分だったということが良く敗因として挙げられる(上記④)。それは確かにそうなのだが、私に言わせれば、SNSの活用というのは、あくまで「迫力」があっての話なのである。

SNSの活用というと、直近の参院選では、党首の玉木氏に代表される国民民主党や、神谷氏が代表を務める参政党が良く取り上げられる。また、その向こう側には、泡沫候補から大統領にまで駆け上がったトランプ氏が有名だ。

ただ、良く考えて欲しい。彼らが、ネット上で「バズった」のは、果たしてSNSに精通していて、その戦略に長けていたことが主因であろうか?