結論として、釧路湿原メガソーラーは「中止・原状回復」を真剣に検討すべき案件である。CO₂削減は他の手段で代替可能だが、湿原の炭素貯蔵庫としての価値は失えば戻らない。
「工事が始まったから止められない」のではなく、今からでも立ち止まって見直すことこそが、日本社会の成熟した判断だと思う。
こうした話は、ここ釧路湿原のメガソーラーに止まらない。日本の各地で進んでいる大規模メガソーラー事業についても同様である。
おわりに
そもそも、こうしたメガソーラーの問題の根本には、CO₂が温暖化の原因だとする、我が国のネット・ゼロ政策がある。本当に気温を下げる効果があるのだろうか。数百兆円の税金を投入しても、その効果はわずか0.006℃程度だといわれている。
日本の周辺には、10倍以上のCO₂を排出し、2049年までに世界一の製造強国を目指している中国がいる。中国は、「2030年前後にCO₂排出ピーク」「2060年カーボンニュートラル」を国際公約に掲げているが、この目標実現のために「必要なだけ石炭火力を増設する」姿勢を見せている。実際、2021年以降の石炭火力認可(累計289 GW)は、再エネ拡大の裏返しとして安定電源確保の安全弁の性格が強い。ネット・ゼロ信奉者にとって、日本の削減努力など、“屁の突っ張り”にもならないだろう。
政治家や官僚も、地政学的な視点からエネルギー政策を見直すべきではないだろうか。そうすれば、全国で問題を起こしているメガソーラーなど、無用の長物だということが分かるはずだ。国民の税金は、コスパをよく考え、先ずは減税、そして国内の貧困、経済、教育などの社会問題の解決、防災や防衛など、我が国強靭化のために使えば、どれだけ国民のためになるのだろうか。