結果、驚くべきことに交尾回数やオスの射精回数が、脳が絆形成状態にあるかをもっとも正確に予測する因子になりました。

つまり交尾回数が多く射精回数が多いほど、絆形成によって脳の再配線が進んだわけです。
米スタンフォード大学が発表した最近のマウス研究では、メスにはオスの射精を検知して活性化するニューロン集団が存在することが判明しています。
今回の研究でも、射精が行われていると、オスとメスの両方で同様の深い感情状態が出現することが示されました。
研究者たちは「脳と行動のデータはオスメスともにオーガズムのような反応を示しており、こうした「オーガズム」が脳を再配線して絆の形成を高める因子になっている」と語りました。
人間の場合も、セックスを繰り返しながら、カップルの関係が深まるパターンは一般的なものと考えられています。
また性科学ではオーガズムには単なる快感の極としてだけではなく、心理的効果がある可能性が示唆されてきました。
そのため研究者たちも「同様のオーガズムによる絆形成と脳の再配線の仕組みは、人間にも備わっている可能性が高い」と述べています。
オーガズムで絆が形成される仕組みが人間を含め生物の中に存在しているという事実は、身分制度や特定の家柄同士の結婚が政略の一部であった時代に、結婚まで貞操を守るべきという考え方が重要視されていた理由としても納得できるかもしれません。
関係を持ってしまった相手と絆が深まり易いメカニズムが脳内に存在しているなら、家が決めた相手とだけ婚姻を許すという社会の中では、結婚まで安易にセックスをされては困ることになります。