ちなみに、鮭4種のうち、2種類だけでアニサキスが増え、残り2種では変化がなかった理由を推察するのは難しいようです。
なぜなら、アニサキスは数十種存在しており、種類によって寄生する宿主も異なるからです。
鮭缶から発見されたアニサキスは、製造工程で劣化しており、種を識別することが難しく、この点を詳しく調査するのは不可能です。
それでも、「古い鮭缶に含まれるアニサキスの数から、食物連鎖や海洋哺乳類の変化を知ることができる」というアイデアは、非常に興味深いものです。
研究チームは、同様のアプローチが、イワシなど缶詰にされる他の魚の寄生虫の数を調べるのにも役立つと考えています。
なお、再度述べますが缶詰の寄生虫は製造工程で死んでいるため、食べても安全です。安心して缶詰を楽しんでください。
もし、鯖缶や鮭缶の中にアニサキスを発見したなら、「気持ち悪い」かもしれませんが、同時に「食物連鎖が正しく働いているのだな」と海の生態系に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
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参考文献
What four decades of canned salmon reveal about marine food webs
https://www.washington.edu/news/2024/04/04/canned-salmon/
Expired Cans of Salmon From Decades Ago Reveal a Big Surprise
https://www.sciencealert.com/expired-cans-of-salmon-from-decades-ago-reveal-a-big-surprise
元論文
Opening a can of worms: Archived canned fish fillets reveal 40 years of change in parasite burden for four Alaskan salmon species
https://doi.org/10.1002/ece3.11043