その結果、解像度を落としたもの(中央列)と実際のアルマ望遠鏡の観測データが(右列)見事に一致し、ベテルギウスの表面はシミュレーション通りにボコボコと沸騰している状態にあることが示されました。

そして問題の自転速度は、アルマ望遠鏡の現状の解像度が低いために、地球から見えるベテルギウス表面の「赤方偏移」と「青方偏移」をうまく識別できずに混同して、あたかも高速で自転しているように見えてしまったのだろうと結論づけられました。

ただし研究チームは、今回の結果があくまでシミュレーションから得られたものであり、「ベテルギウスが超高速で回転していないという確かな証拠にはならない」と指摘しています。

ベテルギウスの実際の自転速度を知るには、より解像度の高い望遠鏡での観測が必要になるようです。

とはいえ、ベテルギウスが近くで見た場合、かなり劇的な状態になっている可能性は高いようです。

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参考文献

Betelgeuse’s Wild Surface Seems to Be Baffling Our Telescopes
https://www.sciencealert.com/betelgeuses-wild-surface-seems-to-be-baffling-our-telescopes

A new spin on Betelgeuse’s boiling surface
https://www.mpa-garching.mpg.de/1094283/hl202403

元論文

Is Betelgeuse Really Rotating? Synthetic ALMA Observations of Large-scale Convection in 3D Simulations of Red Supergiants
https://doi.org/10.3847/2041-8213/ad24fd

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。