実際、BDSMのような行動を安全に楽しむためには、パートナーとのコミュニケーションが欠かせません。
例えば、プレイをする前には必ずお互いに話し合って、どこまでがOKでどこからはダメなのかという許容範囲を決めます。
さらに、途中で嫌になったり、やめて欲しいと思ったときにすぐ伝えられるように、あらかじめ特別な「合図」を決めておくことも一般的です。
こうしたやりとりは、相手に安心感や信頼がないと難しいため、コミュニケーション能力が非常に重要になります。
つまりBDSMは、単に変わった遊びをするだけではなく、互いの気持ちを確かめ合いながら信頼関係を深めていくプロセスでもあるのです。
このように考えると、今回の研究結果は、「BDSMに興味がある人=心に問題がある人」という、これまでの間違ったイメージを覆す重要な発見と言えるでしょう。
これまでBDSMという言葉にはネガティブな印象がつきまとい、「何か心の傷や問題を抱えている人が好むもの」といった誤解が根強くありました。
しかし実際には、むしろ他人と安心して親しくなれるような、安定した人間関係を築ける人ほど、BDSMの行動を実際に楽しめる傾向が強いということが今回のデータから明らかになったのです。
とはいえ、誤解してはいけないこともあります。
この研究はアンケート調査によって行われたものであり、「安心して他人と関係を築ける性格」と「BDSMの実践者」の間には相関関係があるものの、因果関係を立証したものではありません。
さらに、文化的な違いによっても今回の結果は変わってくる可能性があります。
この調査はベルギーというヨーロッパの国で行われましたが、性に対してオープンであるベルギーと、性についての話題に抵抗感が強い文化を持つ国では、BDSMへの関心の持ち方や実践のしやすさが異なる可能性があるからです。
それでも、「BDSMを実践する人ほど愛着スタイルが安定している」という発見は、少なくとも相手を思いやるコミュニケーションや信頼こそが刺激的な体験を支える基盤であることを示唆しています。