水は気体・液体・固体の3つの状態を取るが、圧力と温度によってはその3つの状態が共存する状態になり、臨界点と呼ばれる。臨界点の水はわずかショックで気体・液体・固体のどれかに移行する。今は、ちょうどその臨界点に似た状態にあると考えられる。このような状態は珍しく、記録に残す価値があると思って行ったのが本調査である。臨界点が崩れるきっかけが何になるかは石破首相次第であり、どうなるかいまはまったくわからない。
最後に、感想を一つ述べる。関係者は皆、合理的に行動していると述べたが、1つだけ行動が理解しにくいグループがある。それは自民党内で石破氏を支える党内左派の人々の行動である。
昨年の衆議院選、今年の参議院選で自民党内の右派議員の多くが落選し、自分たちの勢力が強まったのは良いが、同時に右派についていた支持者も自民党を去ってしまった。これは政権党としては自殺行為である。
自民党は党内に右派と左派を支え、それぞれが交代で政権担当することで幅広い国民の支持を得てきた。長く続いた安倍政権は右派であり、その後に岸田政権が左派的な政策を取り入れた。次は右派に戻してバランスを取るのがこれまでの自民党らしい対応方法である。
しかし、自民党内の左派はこれに抵抗しているように見える。支持者の保守度が下がり、リベラル寄りの人が増えて自分たちには都合が良いかもしれないが、その先に展望があるとは思えない。これ以上リベラル系有権者の支持を増やそうとすれば、リベラルの本家本元である立憲民主党の支持者を奪うしかなく、それは元々が保守政党である自民党には無理な相談である。
ここから先どこに行こうとするのか、自民党内の左派の思惑が読めない。あるいは右派に主導権を渡した時の報復を恐れているのかもしれないが、そうだとすればコップの中の争いであり、国民から見ると小さな話である。
■ ※1)石破内閣支持率 7ポイント上がり38% 不支持は45% NHK世論調査 | NHK | 選挙 ※2)「石破降ろし」65%が反対◆ 自民支持層-時事通信8月世論調査【解説委員室から】(時事通信) – Yahoo!ニュース ※3)ただし、ウエイトから投票率を外しても数値が多少変わるだけで、結果の大勢に影響はない。 ※4)「参政党研究」の第一人者・古谷経衡氏が語る“支持者の本質” 「大半は人生で初めて投票に行く“無関心層”だが300万~500万票は動く」 ※5)参政党の支持者はどこから来たか?|Tatsuo Tanaka ※6)参政党の支持者はどこから来たか?|Tatsuo Tanaka