しかし、この声明は発表直後にUAE政府によって公式に否定され、「ナイジェリアとUAEの間の渡航制限に変更はない」と明言された。その後も情報大臣は「解禁は近い」とする声明を繰り返したが、ビザ規制は事実上続いたままであった。
この混乱に乗じ、偽のUAEビザ申請サイトが次々と立ち上がり、違法な移民ブローカーが暗躍する事態に発展した。
とりわけ問題となったのが、モハメド・イドリス大臣自らが推奨した「DV Hub」というオンライン・ビザ申請サイトである。
しかしUAE当局は後に、このサイトがUAE政府とは一切無関係であることを公式に否定した。
スキャンダルとマッチポンプ疑惑
現地ジャーナリストの調査によれば、DV Hubを通じて徴収された高額な手数料の一部がイドリス大臣周辺の政府高官や移民ブローカーに還流していた疑惑が浮上している。
現地メディアの中には、「毎月、数億ナイラ(数千万円)規模のキックバックが同大臣や関係者に流れている」と指摘する報道もある。
こうした経緯から、ナイジェリア国内では「UAEビザ解禁フェイクは政権幹部の利権目的で仕組まれた可能性が高い」との見方が強まっている。
要するにマッチポンプだ。
この混乱の中で、他の偽ビザ申請サイトや違法ブローカーが横行し、多くの国民が被害に遭う詐欺事件に発展した。
しかし、イドリス情報大臣は責任を問われず、今も権力の座に居座っている。
日本特別ビザ偽情報は「既視感のある構図」
今回の「日本特別ビザ」偽情報は、このUAEビザ問題と構造が驚くほど似ている。
外交成果の水増し 事実と異なる政府発表 国民への過剰な期待喚起 移民ビジネスと政権幹部の利権疑惑
うがった見方をすれば、今回の偽情報も大統領の日本訪問成果を“演出”する狙いに加え、
将来的に日本向けの偽ビザ申請サイトや移民ブローカーの信用性を高め、政権幹部がキックバックを得るための布石だった可能性も否定できない。