「フェミニスト批評」をも企てる戦後批評の正嫡であるから、ルッキズム悪いっすよね~でオワリみたいな、安直な議論はしない。実効性のある解決策をも提示しているので、行ってみよう。

ペーパーテストの点数が低いのに、見た目がよいからと大学に合格させるのは、ルッキズムである。「学力」を問うべき場面で、容姿を優先しているからだ。しかし最初から「容姿」を問うている仕事に、ルッキズムの概念をあてはめて批判するのは、用語の使いすぎなのだ。

もちろん「容姿を問う仕事」なるもの自体があってはいけない、とする立場もありうる。ではどうするか。イスラム原理主義の国のように、女性全員にブルカをかぶせれば、見た目で女性が差別されることはなくなるが、もっと大きな差別が生まれる。

あるいはこの際、むしろ男性にかぶせてみるか。女性の権利の伸長を示すとともに、「弱者男性」にもワンチャン選ばれるチャンスを与える、一挙両得の策である。むろん完全な平等をめざすなら、男女双方にかぶせることが望ましい。

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いやぁ、まさにフェミニスト批評である。というか、弱者男性や職業差別の問題もちゃんと扱ってるから、インター・セクショナリティーでもある。もはや死角なしの、カミ(神)ニスト批評かもしれないとさえ思う。