ニューイングランドの「暗黒の日」(1780年)

 歴史上、最も有名な「暗黒の日」の一つが、1780年5月19日にニューイングランド一帯を襲った現象だ。その日、太陽はいつも通り昇ったが、間もなく空は厚い雲に覆われ、光が遮られた。当時ニュージャージーで独立戦争を戦っていたジョージ・ワシントンは、日記に「雲は暗く、同時に赤みがかった明るい光が混じり、明るくなったり暗くなったりを繰り返していた」と記している。

 マサチューセッツにいたジョン・アダムズの妻アビゲイルは、まるで皆既日食のようだったと語る。「11時までには、どの家でもロウソクが灯され、牛は牛舎に戻り、鳥はねぐらに帰り、カエルが鳴き始めました」と彼女は書いている。

 あまりの異常事態に、コネチカット州議会では休会が検討されたが、議員エイブラハム・ダベンポートはこれを一喝した。「審判の日が近いのか、そうでないのか。もしそうでないなら、休会の理由はない。もしそうなら、私は自分の義務を果たしているところを見られたい。だからロウソクを持ってきてもらいたい」

 この原因も長年謎だったが、近年の研究で、カナダで発生した大規模な森林火災の煙が原因であるという説が有力となっている。

バグダッドの暗転(1857年)

 1857年5月20日、イラクのバグダッドで外交官として勤務していたイギリス使節チャールズ・A・マレーは、不可解な闇に遭遇した。「星も月も見えない真夜中よりも強烈な暗闇」だったと彼は語る。漆黒の闇は短時間で終わり、その後「世界のどこでも見たことのない、赤く不気味な薄明かり」に変わったという。

 さらに奇妙なことに、その後、空から大量の赤い砂が降ってきた。砂嵐の一種である「シムーン」ではないかと推測されたが、マレーは何度もシムーンを経験しており、これは全くの別物だと否定している。

太陽が“消えた”日 ― 世界が暗闇に包まれた、歴史上“最も奇妙な8つの記録”の画像3
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))