南部氏と同様、2種類以上の鉱物に名前が付けられた人物は、櫻井欽一(さくらいきんいち)氏(櫻井鉱、欽一石)、逸見千代子氏(逸見石、千代子石)などがいます。
原田石(ハラダイト)

「原田石(はらだせき)」または「ハラダイト」は、1982年に岩手県の野田玉川鉱山と鹿児島県の大和鉱山から発見された鉱物です。
バラ輝石(ロードナイト)、菱マンガン鉱(ロードクロサイト)、石英(クォーツ)などの赤や白の鉱脈の中に、ひときわ目立つエメラルドグリーンの鉱物として発見されました。
原田石の名前の由来は、鉱物学者の原田準平(はらだじゅんぺい)氏です。
原田氏は北海道大学の教授や旧日本鉱物学会(現・日本鉱物科学会)の初代会長を務めたという経歴の持ち主で、その功績を讃えて名前が付けられました。
ちなみに、この鉱物には成分がよく似た「鈴木石」というそっくりさんがいます。
原田石も鈴木石もバリウムとストロンチウムを含んでいるのですが、鈴木石よりもストロンチウムの比率が高いのが原田石の特徴です。
松原石(マツバライト)

「松原石(まつばらせき)」または「マツバライト」は、新潟県糸魚川市の小滝川で発見され、2002年に発表された鉱物です。
糸魚川市にあるフォッサマグナミュージアムの鉱物学者である宮島宏氏らが、糸魚川市流域で産出する翡翠(ジェダイト)の中から発見しました。
名前の由来は、国立科学博物館の鉱物学者である松原聰(まつばらさとし)氏です。
松原氏は自身の著作『新鉱物発見物語』にて、宮島氏らによる松原石の発見から命名までの経緯を残しています。
「新鉱物に松原さんの名前を付けてもよろしいか」という連絡が来た時の松原氏の気持ちを考えると、こちらまでワクワクしてきますね。
こんな鉱物もある!「県名」が付けられた鉱物
