研究4では、260人ほどの参加者に1週間ふだん通りの生活を送ってもらい、スマートフォンを使って、その瞬間に「何をしているか」「その活動がどれくらい大変か」「どれくらい意味を感じるか」「どれくらい楽しいか」についてリアルタイムで答えてもらいました。
この方法を使うと、人々がまさにその活動をしているその瞬間に、どんな気持ちなのかを正確に知ることができます。
調査の結果、人は「努力が必要な余暇」をしている瞬間に、やはり「意味深さ」をより強く感じていることがわかりました。
例えば、料理をしているときに「頑張って凝った料理を作る」と、単に「レンジで簡単に温める」よりも意味や充実感を感じやすかったのです。
さらに注目すべきは、「楽しさ」についての結果でした。
仕事や家事のように「やらなくてはいけないこと」では、努力が大きくなると楽しさが下がってしまう傾向があります。
しかし、余暇の範囲では、努力をするほど楽しさが下がることはほとんどありませんでした。
つまり、自分が好きで自主的に選んだ「努力的な活動」は、努力をしてもむしろ楽しさを維持できるということです。
これらの結果をまとめると、私たちが普段抱いている「努力的な活動は楽しめない」という考えは間違いであることが示されています。
余暇においては、むしろ少し努力した方が、「楽しさ」と「意味深さ」「充実感」「目的感」を同時に手に入れられる可能性があるのです。
ただし、重要な注意点もあります。
努力が増えれば増えるほど意味がどんどん大きくなるわけではありません。
あまりに難しすぎたり、過度に頑張りすぎたりすると、意味深さや充実感の感じ方が頭打ちになってしまいます。
つまり、適度な難しさを選ぶことが大切なのです。
あくまで「自分が無理なく楽しんでできる範囲で、少し頑張る」ことが、最も良い方法だと言えます。
ちょっとだけ頑張る余暇
