今回の研究から分かることは、まさにこの「フロー」につながるような活動、つまり自分にとって少し難しくて努力が必要な余暇を選ぶことが、重要な意味を持つということなのです。
では、私たちの社会全体にとって、この研究はどのような意味を持つでしょうか?
現代はロボットやAIの登場で、私たち人間の仕事や役割がどんどん減っていく時代になりつつあります。
一見すると自由な時間が増えて良いようにも感じますが、一方で仕事という「生きがい」を失ってしまう人が増えるかもしれません。
そこで重要になるのが、この研究が示した「努力的余暇」の考え方なのです。
今回の発見は、「努力的余暇」が将来的に仕事が減った社会で、人々の「人生の意味」や「幸福感」を支える重要な柱になる可能性を示しています。
つまり、余暇において受け身で楽な娯楽だけに頼るのではなく、趣味や遊びなどであえて自分から「挑戦する」「努力する」という意識を持つことが、人生の充実感や生きがいを高めるカギになるのかもしれません。
また、この考え方は、教育や子育てにも大切なヒントを与えます。
子どもに自由時間を与える際にも、テレビやゲームばかりではなく、パズルを解かせたり、工作やスポーツなど、楽しみながら少しだけ難しいことに挑戦させることが、子どもの将来の幸せや生きがいにつながる可能性があります。
もちろん、このような教育的効果については、今回の研究とは別にさらなる検証が必要ですが、将来の指針として重要な手がかりになるでしょう。
ここまでの話をまとめると、余暇の過ごし方一つで、私たちの人生は大きく変わる可能性があるということです。
「努力的余暇」の考え方は、楽な娯楽ばかりを選んでいる私たちにとって、「少し難しいけれど、自分が楽しめる挑戦をしてみよう」と呼びかけるものです。
皆さんも次の休みには、「少し頑張ってみようかな?」と感じるような活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。